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ヒットマン:インポッシブル

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(原題:Tiszta szivvel 2016年/ハンガリー 99分)
監督/アッティラ・ティル 製作/ユディ・スタルタール 脚本/アッティラ・ティル 撮影/イムレ・ユハス 編集/マールトン・ゴタール 音楽/チャバ・カロタス
出演/サボチ・チューローチ、ゾルタン・フェンベシ、アダム・ファケテ、モーニカ・バルシャイ、デュシャン・ビタノビッチ、リディア・ダニス

概要とあらすじ
第89回アカデミー賞の外国語映画賞にハンガリー代表としてエントリーされた話題作。車椅子に乗った殺し屋と、彼のアシスタントになる障害者の青年2人。彼らの友情と危険な運命をスリリングかつオフビートに描いた、ハンガリー産の異色クライムアクション。ハンガリー。かつて消防士だったが3年前の事故で下半身が不自由になって退職したルパゾフは、ある事件を起こしたために刑務所へ入れられ、出所した今はギャングのラドシュから暗殺の仕事を引き受けていた。そんなルパゾフはリハビリのために通う施設で、障害者の青年2人、やはり車椅子に乗るゾリと、その親友バルバに出会い、自分の仕事を手伝わせるようになる。ラドシュは敵対する組織のボスを始末するようルパゾフに依頼する。(WOWWOWより



原題「純粋な心で」

DVDスルーのB級アクション映画を思わせる
『ヒットマン:インポッシブル』という邦題は
本作の内容を驚くほど反映しておりません。
まあたしかに、殺し屋は登場するけれど、
本作は身体障害者の若者の葛藤を描いた
ファンタジックかつハートウォーミングな作品で、
まったく的外れな邦題をつけたどこぞのバカは
本作を観ていないんじゃないかと疑われても仕方ないし、
B級アクション映画を観たい人にとっても、
ハートウォーミングな作品を観たい人にとっても
期待を裏切る結果しかもたらさない、
これぞ誰トク? な邦題です
ハンガリー語の原題をグーグルで翻訳してみると
「純粋な心で」とのこと。

かっこいいオープニング・タイトルに登場するイラストは
主人公ゾリ(ゾルタン・フェンベシ)
バルバ(アダム・ファケテ)が共同で描いたコミック。
ふたりは自作のコミックをコミケに持ち込んでは
なんとか出版できないかと考えているオタクなのですが、
ゾリは脊椎に障害があり、下半身が脆弱で車椅子生活。
バルバは自力で歩けはするものの歩行が困難で、
筋肉の動きを制御できない身体で、
演じているのはふたりとも実際の障害者です。

かれらが描くコミックの主人公として創作したのは、
ルパゾフ(サボチ・チューローチ)という元消防士で、
やはり下半身の神経が麻痺し、車椅子で生活しています。
ルパゾフは消火活動のさいに負傷したという設定なのか、
かつての同僚である救急看護師の恋人と上手くいかず、
生活費にも困窮する状態であることから
マフィアのラドシュ(デュシャン・ビタノビッチ)に雇われて、
殺し屋をやっていたのでした。

ルパゾフが創作された人物でありながら、
当たり前のようにゾリとバルバのふたりと
行動を共にする
のが奇妙で面白いところ。
障害者であることを逆手にとって
次々と殺しの指令を果たしていくルパゾフに
まるで助手のようについて回るゾリとバルバ。
ルパゾフは明らかにふたりの、
とくにゾリのイマジナリー・フレンドであり、
オルターエゴ
です。
高額な手術を頑なに拒否するゾリは
自立したいという強い思いはあるものの、
それができないジレンマに陥っていて、
彼を庇護しつつ、ともに戦ってくれる同志として
ルパゾフを思い描いているのでしょう。
ルパゾフの人生がままならず、
スーパーヒーローではないのも、
自分も助ける側になりたいという
ゾリの自立心の表れではないでしょうか。

これ見よがしではないけれど
身体障害者ならではの描写も豊富で、
バルバがストローで酒を飲んだり、
車椅子で坂道を上ることの過酷さ
が描かれます。
パトカーのサイレンが聞こえるなか、
押し入ったマフィアの邸宅から一刻も早く逃げようとするシーンでは
自動車に分解して乗せていた車椅子を
もたもたと組み立てるゾリをルパゾフが急かし、
車椅子サスペンスにひやひやします。
広場で敏腕弁護士を暗殺するシーンでは、
車椅子のゾリをみた善意の老婦人による施しを
やんわりと拒絶するゾリ
の姿からは
自分たちは他人の世話になるけれども、
なにかを恵んでもらう存在ではないという
意志を感じました。

殺しのギャラは払わないし、
ゾリとバルバを殺せというし、
ルパゾフに首を吊らせて殺そうとしたマフィアのラドシュに
報復するクライマックスで
ルパゾフはついに息絶えてしまいます。
しかしこれは、ゾリが描いたコミックの物語。
自ら作品の中でルパゾフを殺したゾリは
自身が抱える葛藤を克服
し、新たな一歩を踏み出すのです。
手術を受け入れた彼が完成したコミックを送った先は、
母親と離婚した父親(=ルパゾフ)。
一枚の写真からまだ若い父親をモデルにして
ルパゾフを創り出したゾリは
父親に対する反撥とあこがれを
コミックのストーリーテリングを通じて消化し、
自立した前向きな人生を獲得したのでした。

せっかくいい映画なんだから
観て欲しいなら、観たくなるような邦題をつけような。





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