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ゆれる人魚

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(原題:The Lure 2015年/ポーランド 92分)
監督/アグニェシュカ・スモチンスカ 製作/ボジミェジュ・ニデルハウス 脚本/ロベルト・ボレスト 撮影/クバ・キヨフスキ 美術/ヨアンナ・マハ 編集/ヤロスワフ・カミンスキ 衣装/カタジーナ・レビンスカ
出演/キンガ・プレイス、マルタ・マズレク、ミハリナ・オルシャンスカ、ヤーコブ・ジェルシャル、ジグムント・マラノウッツ、カタジーナ・ヘルマン、アンジェイ・コノプカ、マルチン・コバルチク、マグダレーナ・チェレツカ

概要とあらすじ
共産主義下にあった1980年代のポーランドを舞台に、肉食人魚姉妹の少女から大人への成長物語を野性的に描いたホラーファンタジー。海から陸上へとあがってきた人魚の姉妹がたどりついた先はワルシャワの80年代風ナイトクラブだった。野性的な魅力を放つ美少女の2人は一夜にしてスターとなるが、姉妹の1人がハンサムなミュージシャンに恋をしたことから、姉妹の関係がおかしくなっていく。やがて2人は限界に達し、残虐な行為へと駆り立てられていく。監督は本作が長編デビュー作となるポーランドの女性監督アグニェシュカ・スモチンスカ。「第10回したまちコメディ映画祭 in 台東」(2017年9月15~18日)の特別招待作品として上映。(映画.comより



潔くて気持ちがいい

『RAW 少女のめざめ』が公開されたばかりなのに
またしても食人を通じて少女の成長を描いたポーランド映画、
『ゆれる人魚』
グロさでは『RAW〜』に軍配が上がるけれど
(とはいえそんなにグロくはなかったけど)
こちらはポップなホラーで
ファンタジックなミュージカル
という
てんこ盛りのヘンテコ映画となっております。
最近のポーランド映画には
『君はひとりじゃない(2015)』というヘンテコ映画がありましたが、
東欧の映画には
決してアメリカ映画にはない独特の味わいがあります。

アグニェシュカ・スモチンスカ監督
本作が長編デビュー作とのこと。
そもそも本作は
音楽を担当するヴロンスキ姉妹
(「ポーランドのインディー・ミュージックシーンに君臨する」
 ミュージシャンだそうですが、不勉強ゆえ存じ上げません)
自伝的作品として企画されたものの、
姉妹の意向もあり、寓話的フィクションへと
変化していったんだとか。

陰鬱な絵本のようなタイトルのあと、
3人組が海辺(川辺?)で呑気に謳っていると
水中からひょっこり頭を出した人魚の姉妹が
「わたしを連れてって〜♪」と歌い始めます。
男性ふたりが人魚に手を差し伸べようとすると
女性のクリシア(キンガ・プレイス)
キャー! と叫んだところでカット。
この編集が小気味いい。

ところ変わって舞台はワルシャワのナイトクラブ。
「ダンシング・レストラン」と呼ばれるこのような店は
80年代のポーランドで大盛況だったそうです。
キンガ・プレイスが歌う
『I Feel love(ドナ・サマー)』が流れる店内で、
客はもちろん店員や厨房の料理人まで
小さく踊っているのがかわいい。
なんだか魚臭いと思った店の支配人が楽屋に行くと
そこには、冒頭シーンのバンドメンバーが連れ帰った
シルバー(マルタ・マズレク)
ゴールデン(ミハリナ・オルシャンスカ)と名乗る
人魚姉妹がいたのでした。
ていうか、全裸。
人魚姉妹は本作のほとんどのシーンで
美しい乳房を惜しげもなく披露しておられます。
しかし、ちゃんと足がある。
さらには人間の下半身にあるはずの穴がありません。
姉妹に水をかけると、あら不思議。
ふたりの下半身は魚(人魚)状態になるのです。
(この下半身が長い!)
支配人もバンドメンバーも
この姉妹が人魚であること自体にはまったく驚きをみせず、
魚(人魚)状態から人間の足へと変化する過程も
まったくみせません。
そのような理屈の部分をさっぱり無視しているのが
とても潔くて気持ちがいい
のです。

どうやらこの人魚姉妹は
アメリカへと向かう途中でポーランドに立ち寄ったようす。
さらにはイルカのように超音波(?)を使って
ふたりだけで会話することもできる
のです。
ふたりとも終始ご機嫌でニコニコしているのですが、
まだ幼さの残る可愛い姉シルバーと
大人っぽい顔立ちのゴールドは
それぞれがとても魅力的。
とにかく、ふたりは
ナイトクラブで人魚ダンサーとしてデビューし、
瞬く間に人気者に。
ふたりが人間らしい服を買いに行ったときの
ミュージカル・シーンは多幸感に溢れています。
全編に流れる80年代風の音楽はどれもカッコイイ。

やがてベーシストのミーテク(ヤーコブ・ジェルシャル)
恋に落ちたシルバーは
人間になって彼と結婚したいと思うようになります。
奔放な妹ゴールドはダイア製を誘惑して食し、
シルバーにミーテクとの結婚を
思いとどまるよう説得しますが
シルバーは人間の下半身の移植手術を受けることに。
ただ胴体を真っ二つに斬って繋げるという
非常に大雑把な手術シーンがやっぱり潔い。
下半身を提供した人間の女性はなんなの? と
思わなくはないが、そんなことはどうでもいいのです。

角をなくしたトリトンによれば
恋をした人間の男性が別の女性と結婚してしまうと、
人魚は海の泡となってしまい、
人魚の下半身を失うと
歌が歌えなくなってしまうらしいのですが、
ミーテクに夢中のシルバーは実行に移してしまいます。
そして案の定というべきか、はじめての合体がうまくいかず、
ミルトンは他の女性と結婚。
シルバーに残された望みはミルトンを食べてしまうことでしたが
彼女は自ら海の泡となることを受け入れたのでした。

という、大人の女性へと成長する直前の少女による
儚くも切ない悲恋の物語
なのでした。
人魚が陸に上がること自体が成長を思わせますが、
少女の成長譚のみならず、
クリシアが人魚姉妹に母乳を吸わせるイメージカットが示すように、
母性とその揺らぎのようなものも
ほのかに描かれているような気がします。
ま、とにかく、可愛くて楽しい作品です。





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