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悪女 AKUJO

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(原題:The Villainess 2017年/韓国 124分)
監督・製作/チョン・ビョンギル 製作総指揮/キム・ウテク 脚本/チョン・ビョンギル、ユン・ビョンシク 撮影/パク・ジョンフンアクション 指導/チョン・ビョンギル、クォン・ギドク
出演/キム・オクビン、シン・ハギュン、ソンジュン、キム・ソヒョン

概要とあらすじ
「渇き」のキム・オクビンが女暗殺者を熱演したスタイリッシュアクション。日本で「22年目の告白 私が殺人犯です」としてリメイクされた映画「殺人の告白」で知られるチョン・ビョンギル監督が手がけた。犯罪組織の殺し屋として育てられたスクヒは、いつしか育ての親ジュンサンに恋心を抱き、やがて2人は結婚するが、ジュンサンが敵対組織に殺害される。怒りにかられたスクヒは復讐を果たすが、国家組織に拘束されてしまい、国家の下すミッションを10年間こなせば自由の身になるという条件をのみ、国家直属の暗殺者として第2の人生を歩み始める。やがて、新たな運命の男性と出会い、幸せを誓ったスクヒだったが、結婚式当日に新たなミッションが下され……。(映画.comより



アクションは申し分なし

またしても凄い韓国映画の登場と評判の高い
『悪女 AKUJO』
予告編を観るだけでワクワクが止まりませんでした。
しかもヒロインは美しきキム・オクビンというわけで、
半端じゃないほど期待値が上がっておりました。
ま、追っかけていたわけじゃないけれど、
パク・チャヌクの『渇き(2010)』をみて
一目惚れした次第。
それにつけても、
強い女性がばったばったと男を殺していくのをみるのは至福の極み。
ていうか、今の時代において、
屈強な男が強くてもなんの面白味もないのではないでしょうか。

冒頭からFPS的主観映像の疑似長回しシーン
はったりをかましてきます。
まずは、汚いビルの狭い廊下を直進する設定がナイス。
進むべき先が限定されることによって
「なぎ倒す」感が半端ないのです。
次々と襲いかかってくる敵を銃で的確に仕留め、
階段ダイブなどを経たのち、
わざわざカメラの前に弾が切れた銃をみせると
今度はドスの二刀流で黒スーツ&白マスク集団を滅多刺し。
接近戦で激しく飛び散る血の生々しさによって
韓国映画持ち前の痛さ表現を発揮し、
『ハードコア(2016)』の臨場感を軽々と超えてみせます。
ビルの階を上ると、また新しい敵集団がいる
『死亡遊戯』的なクリア感も効果的。
やがて本丸(かどうか知らないが)の
筋トレジムのような一部屋に侵入し、
あいかわらず暴れ回っていると、
すでに満身創痍の主観映像の主=スクヒ(キム・オクビン)
鏡に頭を突っ込まれる寸前の顔が映し出され、
潔く客観的な映像に突如として視点が変わるのです。

主観映像を単に映像的な面白さとして採用し、
手法に縛られるがあまり
余計な齟齬を生んでしまうのを回避した演出は
非常に好感が持てます。
あえて深読みすれば、
自分の姿が鏡に映った瞬間に客観映像にすることで
それまでの主観映像が本当に主観なのかという疑問を提示し、
虚像と実像の曖昧さという、本作の物語の根幹を示唆するような
演出でもあるでしょう。

『アトミック・ブロンド』的な
敵を縛り付けたロープを掴んで窓の外にどーん!
というアクションのあと、
(この時点ですでに『アトミック・ブロンド』を超えていると思うけど)
スクヒは駆けつけたパトカーに取り囲まれるのでした。

チョン・ビョンギル監督が明らかにしているように
『ニキータ(1990)』に多大なインスピレーションを得た本作は
殺し屋として育てられた少女が
国家の秘密諜報組織に捕らえられ、
葛藤しながらも命じられた任務を遂行するというもの。
顔の整形手術を受けた(受けさせられた)スクヒは
バレエに料理にメイクという
なんだか花嫁修業教室的な特訓を受けつつ、
なんと、かつての夫との間に授かった子供を出産します。
エコー検査の写真を見せられただけで
それが自分の子供だと確信するのは強引だと思うが、
整形前と後とでのスクヒ=キム・オクビンの
違いに愕然。

というか、正直に言うと、
そげえそっくりだけど別の女優だよな……、
似すぎてて紛らわしいわ! と思っていたので
どちらもキム・オクビンだと(らしいと)知って驚愕しました。
全然、イメージが違うんですけど……。
髪型か? メイクか?
それとも本当にプチ整形したのか?(そんなわけない)

出所の条件としてスクヒが命じられた任務は
どうやら日本人らしい「会長」を殺すこと。
なんとか「会長」を仕留めたものの、
その場を会長の娘に目撃され、
かつて父親が殺される瞬間にベッドの下に隠れていた
まだ幼かった自分を思い出すのでした。
ほぼほぼ『KILL BILL』のアニメパートと同じ状況
そのシーンには、
彼女が復讐の炎を燃やす発端と
父親殺しに隠された秘密が込められているのですが、
その後成長した会長の娘と相対するわけでもなく、
物語を複雑にするだけで、かなりうやむやなままです。

スクヒの夫であり「おじさん」の
ジュンサン(シン・ハギュン)
(『渇き』でもキム・オクビンのダメ夫だった)
スクヒの父親を殺した真犯人であり、
自分の死を偽ってスクヒに殴り込みをさせてもいるし、
さらに国家の秘密組織を牛耳る存在でもあるので、
スクヒがどれの何に対して裏切られたと感じているのか
わかりづらくなっています。

それはともかく、
会長を殺した後のバイク&カーチェイスはやはり見所。
日本刀を振り回すバイク集団といえば
『ブラック・レイン(1989)』を思い出しますが、
さまざまなアクションのアイデアが盛り込まれ
(なにがどうなっているのか見失いそうになるが)
馬鹿馬鹿しさ溢れる迫力満点のシーンとなっております。

今後10年間、組織の指示に従う条件付きで
晴れて(?)出所したスクヒでしたが、
すぐに監視役の隣人ヒョンス(ソンジュン)が登場。
おそらくコミカルなパートなんだとは思いますが、
ぶつかって、わぁすみません、じつは隣の部屋です〜という
スクヒとこの韓流イケメンによる
ラブコメ的やりとりが非常にむずがゆくもかったるく、
互いに心惹かれていく過程をみせる必要があるので
おのずから尺は長くなってしまうのでしょうが
完全に物語が停滞してしまいます。

また、「平凡な暮らし」を装うスクヒの職業が舞台役者なのは
「演じる」という点においては効果的なのかもしれませんが、
突然現れたスクヒがどうやって劇団の主演にまで上り詰めたのか、とか
目立ちすぎないか? それは「平凡な暮らし」といえるのか? とかの
疑問が湧かないではありません。

美人局で仲間が死んだり、花嫁姿でスナイパーしたり、
いろいろありましたが、
一気にクライマックスのカーチェイスへ。
格闘の末、逃げるジュンサンを追おうスクヒは
思いっきり車にはねられても全然平気。
むしろその車を乗っ取ってフロントガラスを破り、
斧を片手にボンネットに乗ったまま、
後ろ手でハンドルを操るという
ゾーイ・ベル顔負けのスタント!

(もちろんアクション監督が隠れて運転してるそうで)
馬鹿馬鹿しいけど、かっこいいからこれでいいのです。
さらにはジュンサンが乗るバスに飛び移って、車内に侵入。
激しいバトルを繰り広げます。
なんで運転手は車を止めないんだろうと
疑問に思い始めたのを察してか、運転手も仕留められてバスは横転。
ついにジュンサンにとどめを刺したスクヒは
警察に取り囲まれながら、「ニヤリ」と笑ってジ・エンド。

「ニヤリ」そのものの外連味は期待通りだったものの、
それまで、ことあるごとに涙を流し、
脇の甘さを露呈していたスクヒが
もっとも恨めしきかつ最愛のジュンサンを殺したあとだけに
最後の「ニヤリ」は腑に落ちませんでした。
時系列を巧みに操った構成は見事ですが
全ての謎はほぼあらかじめ観客に提示され、
過去のフラッシュバックのシーンが
補足説明のようになってしまい、
ことの真相を知って驚けないのは物足りませんでした。
せめて韓流イケメンの正体くらいは
もっとひた隠しにしてもいいんじゃないでしょうか。
結局、盗まれたハードディスクには
どんな秘密が隠されていたのかよくわからないし、
スクヒの父親が持っていた宝石(?)の重要性も不明。
スクヒの復讐の動機がウェットかつ漠然としたものに
なっていたのは残念でした。
とはいえ、
至る所に映像的なアイデアが込められているし、
アクションは申し分のない作品です。







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