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小さな悪の華

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(原題:Mais Ne Nous Deliverz Pas Du Mal 1970年/フランス 103分)
監督・脚本/ジョエル・セリア 撮影/マルセル・コンブ 音楽/ドミニク・ネイ
出演/ジャンヌ・グーピル、カトリーヌ・バジュネール、ベルナール・デラン、ミシェル・ロバン

概要とあらすじ
ボードレールの『悪の華』に耽溺し、悪の魅惑にとりつかれた十五才の二人の修道院生の数々の悪魔的な所業を描く。監督・脚本は新人ジョエル・セリア、撮影はマルセル・コンブ、音楽はドミニク・ネイが各々担当。修道院・寄宿学校の生徒、アンヌ(J・グーピル)とロール(C・ワグナー)は消燈の時間が来ると二人の秘かな日課を始めた。隠し持った懐中電灯の光で悪の日記を綴るのだ。ふたりは修道院での禁断の書、ボードレール、ランボー、ロートレアモンに耽溺して、悪の快楽を貪る。アンヌはバカンスに行なう“恋魔を祭る儀式”の準備に、聖杯や僧衣を盗む計画を立てた。万端整い、いよいよ待ちうけたバカンスは二人にとって悪魔的想像を実行に移す悦楽の日々だった…(映画.comより抜粋



幼稚で邪悪な純潔

カルト的人気を誇る、というか
問題作として名高い『小さな悪の華』
「悪の華」とはボードレールの詩からだとか。
各国で上映禁止のあおりを受けたのは
内容の過激さからというよりも
主人公の少女ふたりが
役柄とほぼ同じ15歳だった
ことによるようです。

実際に事件をモチーフにしたという本作。
カソリックの寄宿学校に通う
アンヌ(ジャンヌ・グーピル)
「身も心もサタンに捧げる」とうそぶき、
親友のロール(カトリーヌ・バジュネール)とともに
ベッドの中でエロティックな小説を読んだりしています。
ふたりが反抗心を持つようになった動機は語られませんが、
思春期の多感な少女にとっては
周囲の大人や教会の戒律など、目に映るものすべてが
嘲笑し破壊するべき対象
なのでしょうか。
とくに性的な禁忌を犯すことに夢中の
アンナとロールですが
男子禁制の寄宿学校に通っているせいか
同年代の男子は登場しないのは不思議といえば不思議。

ふたりはそれなりに裕福な両親に養われていて、
とくにアンナの家は執事と庭師がいるような金持ち。
そんな家庭環境が影響しているのかどうかわかりませんが、
牧童の前で股を開いて見せたり、
知的障害者の庭師が買っているカナリアを毒殺したり

ふたりが愚弄する相手は立場が弱い者ばかり。
クスクスと笑いながら弱者をからかう姿に
子供らしい愛嬌はまったくありません。
牧童の家に忍び込み、積まれた干し草に
つぎつぎと火を放っていく
さまは、まさに悪。
動機も根拠もない純粋な悪です。

性的好奇心を露わにするアンナとロールは
クスクス笑いながら男性を誘惑するものの、
いざ興奮した男性に襲いかかられると
泣きわめきながら激しく抵抗します。

おそらくセックスの経験がないであろうふたりにとって
(ていうか、襲われるのはいつもロールのほうだが)
誘惑されて動揺する大人の姿をみることこそが快楽で
その結果どういうことになるかまでは
考えが及んでおらず、
非常に幼稚であり、だからこそ邪悪なのでしょう。

つねに他者を愚弄していたアンナは
庭師が飼う小鳥を手のひらの中で圧死させると
激しく動揺し、涙を流します。
彼女はやっと死というものを実感したのでしょう。
この瞬間、得も言われぬ悲しみにとともに
死を司っているような全能感を感じたのではないでしょうか。
ガス欠で往生している男性を
いつものように誘惑した挙げ句、
ロールに覆い被さった男性の頭めがけて
何度も木材を打ち下ろすアンヌ

小鳥を殺したときのような涙はありませんでした。

ついに殺人を犯してしまったアンナとロール。
ふたりのもとにも警察の捜査が及び始めると、
怯えながらも決意を固めたふたりは
教師や父兄が集う学芸会で
ロートモレアン『マルドロールの歌』を詠んだあと、
自らの身体に火を放ち、
抱き合いながら焼身自殺(心中)する
のです。
このような自己完結の道を選ぶのは
サタンへの信仰を誓うママゴトのような儀式を経て
互いを唯一無二の同志として認め合い、
破滅的な世界観に拘泥してしまったからで、
孤独な狂信者ではなく二人組というところが
重要なポイントなのかもしれません。





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