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九龍猟奇殺人事件

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(原題:踏血尋梅 Port of Call 2015年/香港 98分)
監督・脚本/フィリップ・ユン 製作/ジュリア・チュー 撮影/クリストファー・ドイル 編集/フィリップ・ユン
出演/アーロン・クォック、ジェシー・リー、エレイン・チン、パトリック・タム、マイケル・ニン

概要とあらすじ
2008年、実際に起きた猟奇殺人事件を下敷きにしたサスペンス。リアリズムを重視する一方、撮影は「恋する惑星」「ブエノスアイレス」などのウォン・カーウァイ監督作品で知られる名手C・ドイルが担当。ドキュメンタリー風になったり幻想的になったりする凝った映像、物語の時間軸を前後する編集など非常にアート性が高くて濃密だ。主人公の刑事役をA・クォックが渋く好演し、被害者の少女役を新人のJ・リーが体当たりで熱演。監督は「ファイアー・レスキュー」などのP・ユン。WOWOWの放送が日本初公開。(WOWWOWより



「死にたい」「手伝うよ」

つい最近、日本でも
自殺願望を持つ人をターゲットにした殺人事件が話題になりましたが、
こちらは香港で実際に起きた事件を元にした
『九龍猟奇殺人事件』です。
監督は『キョンシー』で脚本を務めたフィリップ・ユン
撮影にはかのクリストファー・ドイルが参加しています。

結果的に被害者となる16歳の少女
ワン・ジェイメイ(ジェシー・リー)の学校生活や
荒んだ家庭環境を描く序盤は
ジェイメイの顔にクローズアップすることが多く、
この子がいかに可愛いかを強調しているようにみえます。
ほぼ新人だというジェシー・リーは
例えるなら真野恵里菜をさらに幼くした感じで、確かに可愛い。
いや、文句なく可愛い。
しかし、そんな褒め言葉では満足しなかった彼女は
身長が低いにもかかわらずモデルを目指していたのです。
いくら「いまのままで十分可愛いのに」といわれようとも
モデルになること以外の選択肢は
彼女にとって人生の妥協でしかなかったのでしょうか。
しかし、普通では満足できないジェイメイは
高みを目指すのとは裏腹に
みるみるうちに普通以下のどん底へと沈んでいくのです。
(実際の被害者は学校の成績もトップクラスだったとか)

モデル事務所のオーディションで採用されたかと思いきや、
スカウトをやらされ、さらにバイトをするジェイメイ。
得たお金はコンサートのチケット代やアクセサリー代に使われ、
とうとう売春するまでに至ります。
まさに絵に描いたような転落人生のなか、
ようやく心から愛せる男性を見つけたかと思いきや、
その男からも裏切られるのでした。

かたや、犯人のティン(マイケル・ニン)
非常にキレやすい男。
切れ長の目をしたデブというのは実際の犯人と瓜二つです。
幼少期に母親を交通事故で亡くしたことが
トラウマになっているらしいティンもまた
彼なりの孤独を抱えて生きているのでした。
互いに人生に絶望しているふたりは
図らずもチャットを通じて出会ってしまい、
「死にたい」というジェイメイに対して
ティンは「手伝うよ」と答えたのでした。

事実がどのくらい映画に反映されているのかわかりませんが、
本作で早々に自首する犯人は
実際には犯行を否認し続けていたそうです。
時間軸を細かく行き来し、
時には幻想的な演出を盛り込む
本作は
技巧的に優れていると思いますが、
かなり情緒的でウェットな印象です。
犯行の動機をはっきりさせていないとはいえ、
心に闇を抱えてしまったであろう背景を描き、
加害者と被害者ともにかなり同情的です。
事件を捜査するチョン刑事(アーロン・クォック)
別れた妻の元にいる娘に対する愛情を被害者に重ねたり、
孤独感ややるせなさを表現しようという試みは
はっきりと伝わってきます。

基本的には、主要な登場人物たちの
心理面に重点が置かれているのですが、
ティンがジェイメイの死体を解体する描写は
かなりグロい。

内臓を取り出してトイレに流し、
顔の皮を剥ぐようすが克明に描かれています。
切断した頭部は海に捨てられましたが、
残った手足の骨は
市場の肉屋の店頭に並べられていた
出汁として使われる「ガラ」に混ぜて捨てられた
そうで
『八仙飯店之人肉饅頭』よろしく、
近隣の飲食店は騒然となったとのこと。

キー・アイテムとして何度も登場する「写真」のなかでも
(タバコもキー・アイテムのひとつ)
とくに最後に語られる「誰かわからない写真館のポスター」
虚像を追いかけるジェイメイの漠然とした心情を表していたし、
自分探しをするジェイメイが
本名と英語名、偽名を使い分けているのも効果的でした。
先述したように、
技巧が悪目立ちする感じや
情緒的な演出が気にならないわけではないけれど
映画としてはそこが面白いといえばその通りだし、
なにしろジェシー・リーの可憐さが
本作に説得力をもたらしていると思いました。





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