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エンドレス・ポエトリー

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(原題:Poesia Sin Fin 2016年/フランス・チリ・日本合作 128分)
監督・脚本/アレハンドロ・ホドロフスキー 製作/ハビエル・ゲレロ・ヤマモト 撮影/クリストファー・ドイル 美術/アレハンドロ・ホドロフスキー、パトリシオ・アギュラー、デニス・リア=ラティノフ 美術補/佐々木尚 衣装/パスカル・モンタンドン=ホドロフスキー 編集/マリリーヌ・モンティウ 音楽/アダン・ホドロフスキー
出演/アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコビッツ

概要とあらすじ
「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」などでカルト的人気を誇るアレハンドロ・ホドロフスキー監督による自伝的作品「リアリティのダンス」の続編。故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住したホドロフスキー一家。さまざまな悩みや葛藤を抱えたアレハンドロ青年は、後に世界的な詩人となるエンリケ・リンやニカノール・パラら、若きアーティストとの出会いにより、自分が囚われていた現実から解放される。前作に引き続き、ホドロフスキー監督の長男ブロンティス・ホドロフスキーがホドロフスキー監督の父親役を、青年となったホドロフスキー監督役を、末の息子であるアダン・ホドロフスキーが演じる。撮影は、本作がホドロフスキー作品初参加となるクリストファー・ドイル。(映画.comより



「父よ、私はあなたを許す」

ホドロフスキーの自伝的作品『リアリティのダンス』のまさかの続編、
『エンドレス・ポエトリー』
青年へと成長したアレハンドロが
チリを離れてパリへと旅立つまでの物語です。

ホドロフスキーの少年時代を描いた
『リアリティのダンス』では、
子供の目で見た大人たちによる奇怪な世界が描かれ、
とくに、長男ブロンティス・ホドロフスキーが演じる
アレハンドロの父親ハイメを中心とした物語でした。
ホドロフスキー23年ぶりの映画ということも手伝ってか、
健在ぶりを示すぶっとんだシュールレアリスティックな映像に
驚きと喜びを隠せませんでしたが、
『リアリティのダンス』をそのまま引き継いだ本作では
その世界観をすでに周知のものとして受け入れている、
というか、そういう前提をふまえた上で観ているので
(それはボクだけかも知らんが)
たとえ母親サラ(パメラ・フローレス)
全てのセリフをオペラ調に謳っていようとも
まったく違和感を感じませんでした。


物語としても、高圧的な父親への反発から
芸術に目覚めて自立を志し、ほろ苦い失恋を経て
やがて親元を離れて旅立つまでが
とてもわかりやすく語られます。
そのためか、過去の記憶を語るために用いられる書き割りや
大衆の匿名性を表現するためのお面、
母に代表される束縛された女性を解放するために
コルセットを風船に吊して飛ばす
などなど
演出も直接的で非常にわかりやすかった印象です。
(物足りなかったと言えなくもないが……)
虚構と現実、自然と超自然が混在するイマジネーションと
理解を超えた説得力が素晴らしいのです。
ま、なにかと小道具を渡しにくる黒子には笑いましたが。

詩に目覚めたアレハンドロ(アダン・ホドロフスキー)
「オカマ」と罵る父親ハイメをよそ目に家を飛び出し、
さまざまな芸術家仲間と出会います。
なにかを志す若者にとって、
仲間を得るというのは非常に心強く、
また、楽しくて仕方がないもので
アレハンドロと仲間たちの狂騒は微笑ましく、
多幸感に溢れています。
そもそも、ノーベル文学賞受賞者の詩人をふたりも輩出しているほど
チリは伝統的に詩作が盛んだそうで、
本作に登場する詩人たちも実在の人物。
『リアリティのダンス』でも登場した、
独裁で知られるイバニェス大統領
本作ではその第2次政権と重なり、
チリの政治的背景も律儀なほど忠実に反映されています。

「何もくれないことで、あなたはすべてをくれた」
 私を愛さないことで、あなたは愛の絶対的な存在を見せてくれた
 神を否定することで、人生の勝ちを教えてくれた。
 あなたの残酷さで慈悲を教わった。」


自分を束縛し、苦しめ続けてきた父親ハイメに対して
反面教師としての感謝をなかば皮肉交じりに語るアレハンドロ。
(語るのは監督本人)
あれほどまで憎んだ父親に対し、
「父よ、私はあなたを許す」と言い残して、
ひとりパリへと旅立つのでした。
いわば親離れがここまでの物語だったわけですが、
監督の父親や監督自身を演じている監督の息子たちは
一体どんな感情を抱いているのでしょうか。
本人は控えめにしたと語っているけれど、
ここぞというシーンでは背後霊のように登場しては
重要なセリフを残します。

監督が父親ハイメに感じた反撥は彼ら息子たちにはないのでしょうか。
奇才のもとに生まれた運命を積極的に受け入れているのでしょうか。
なんてことがちょっと頭をよぎりました。
とくに、長男ブロンティスは
『エル・トポ』にフリチンで出演させられ、
前作からは監督が憎んだ父親役を演じさせられ、
挙げ句にバリカンで丸刈りにされる
わけで、
一生を通じてオヤジに翻弄されているようにしかみえないのですが
そこはやっぱり、芸術家としての父親=監督に
敬意があるということなんでしょうな。

88歳になるホドロフスキーは
今後もこの自伝シリーズを継続する気満々で
全5部作を構想しているそうです。
第3部となる次回作は
パリに渡ったアレハンドロが切磋琢磨したのち、
メキシコで『エル・トポ』を撮るまでの物語になるそうで
今から楽しみで仕方ありません。





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