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オン・ザ・ミルキー・ロード

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(原題:On the Milky Road 2016年/セルビア・イギリス・アメリカ合作 125分)
監督・脚本/エミール・クストリッツァ 製作/パウラ・バッカーロ、エミール・クストリッツァ、ルーカス・アコスキン、アレックス・ガルシア 撮影/ゴラン・ボラレビッチ、マルタン・セク 編集/スベトリク・ミカ・ザイッチ 音楽/ストリボール・クストリッツァ
出演/エミール・クストリッツァ、モニカ・ベルッチ、プレグラグ・ミキ・マノジョロビッチ、スロボダ・ミチャロビッチ

概要とあらすじ
「アンダーグラウンド」の名匠エミール・クストリッツアが9年ぶりにメガホンをとり、「007 スペクター」のモニカ・ベルッチをヒロインに迎えて描いた人間ドラマ。クストリッツァ自らが主演を務め、戦争の混乱の中で運命に翻弄される男の波乱万丈な人生を描く。戦時中のとある村。ロバに乗って銃弾をかいくぐりながら兵士たちにミルクを届ける牛乳配達人の男は、村の美しい女性に愛されて幸せな毎日を送っていた。ところがある日、謎めいたイタリア人美女と恋に落ちたことで、男の人生は一変する。イタリア人美女の過去が原因で村が襲撃され、2人は危険な冒険の旅へと身を投じる。(映画.comより



そりゃ、モテるわ。

エミール・クストリッツァ監督作は
『アンダーグラウンド』しか観たことがないのですが、
9年ぶりの新作『オン・ザ・ミルキー・ロード』が公開ということで
いそいそと映画館に足を運びました。
旧ユーゴ激動の50年間をスラップスティックに描きあげた
『アンダーグラウンド』と似ているところが多い本作ですが、
こちらはあくまで架空の土地を舞台にした
寓話性の強い作品です。
とはいえ、登場人物たちはセルビア語を話すので
クストリッツァ監督と切っても切り離せない
バルカン半島あたりのどこかでしょうか。

まずは冒頭のシーンから凄い。
空を飛ぶハヤブサとその視点からのクラクラする空撮映像。
絶妙のタイミングでガチョウの群れがフレームインしてきたかと思うと、
屠殺された豚の血を溜めたバスタブに
なぜか次々と飛び込むダチョウたち。

そして、血まみれになったガチョウにたかる蠅の群れ。
ロバの足下に一匹の蛇が忍び寄ったかと思うと、
急降下したハヤブサが蛇を捕らえて再び飛び立ち、
村を襲うヘリのコクピットに突入する……


これらは村のミルク配達人、
コスタ(エミール・クストリッツァ)が見る夢なのですが、
本作は動物たちの演技(?)が凄いのです。
ハヤブサ、ガチョウ、ロバ、蛇、羊、闘鶏、犬、
ヤギ、猫、テントウムシ、果ては300kgの熊までが登場し、
しかも、蛇に巻き付かれて格闘するシーンを除いて
CGは使われていないとのこと。
コスタが奏でるツィンバロムという楽器のリズムに合わせて
ハヤブサは肩を揺らし、
ロバは愛らしくコスタに寄り添い、
蛇はミルクを飲み、
熊にはクストリッツァが口移しでオレンジを与えます。
クストリッツァは
長い時間をかけて動物たちと慣れ親しんだそうですが
それにしても彼ら動物たちの自然な振る舞いは驚きです。

目の前で父親を斬殺され、弟が精神病院に入院しているコスタは
いつしか戦争ばかりが続く村へたどり着き、
ミルクの配達人をやっているのでした。
まともに時間を刻めず、すぐに故障して危険極まりない
巨大な掛け時計があるミルク屋のミレナ(スロボダ・ミチャロビッチ)
コスタと結婚したいと考えています。
どうやら元体操選手だったらしいミレナは
いつも溌剌として明るく活発で、とても魅力的♥。
ミレナは戦地に赴いている兵士で英雄の兄、
ジャガ(プレグラグ・ミキ・マノジョロビッチ)の花嫁にと
難民キャンプにいたイタリア系の美女(モニカ・ベルッチ=役名なし)を
非合法に金で買うのでした。
「花嫁」を難民キャンプから連れ帰るシーンでの
妙に寸詰まりのマイクロバスが可愛いし、
その後乗り継ぐ妙にぴかぴかのサイドカーの違和感たるや。

この花嫁(モニカ・ベルッチ)がまた一癖も二癖もある女性で
セルビア人の父親を探しているうちに戦争に巻き込まれ、
彼女を見初めたイギリスの将校は妻を殺害するものの、
花嫁の証言によって将校は監獄行きに。
身を隠しつつ、放浪の旅を続けていたのでした。
とうに50歳を過ぎたモニカ・ベルッチですが
その妖艶な美貌は衰えず。あいかわらず美しい。
ミルク屋で暮らすことになった花嫁とコスタは互いに一目惚れ。
あっという間に恋に落ちるのでした。

『フラッシュ・ダンス』のテーマが流れるラジカセを
窓からにゅっと差し出したかと思うと飛び上がり、
コスタの肩の上に着地して倒立したり、
バルカン・ミュージックに乗せて酒場で謳い踊り、
銃をぶっ放すミレナ
は超キュートでセクシー。
最高なのです。
そんなコに求婚されているのにイマイチ乗り気ではないコスタ。
心はすっかり花嫁に奪われているのでした。
ふたりの美女から好き♡好き♡言われるコスタ……を
自作自演するクストリッツァ。てめえこのやろう。
両手に花ならぬ、両手に鍋なのです。

やっと戦争が終わって戦地からジャガが帰ってくると
いよいよジャガ&花嫁、ミレナ&コスタのダブル結婚式。
しかし、釈放されたイギリス将校によって
花嫁を奪還する(生死問わず)ために派遣された部隊が
結婚式当日に村を焼き尽くしてしまいます。
蛇に助けられて難を逃れたコスタがミルク屋に向かうと、
火炎放射器で丸焼きにされたジャガとミレナが。
凄惨かつ滑稽。

井戸の中に隠れていた花嫁とコスタの逃避行が始まると
ことさら雄大な大自然がスクリーンに広がり、
旅路を通じてふたりはどんどん愛を深めていくのです。
竹(?)を使って息をしながら水中に潜むステルス行動がコミカルですが
花嫁は追っ手の兵士にナイフを突き立てるのをためらいません。
激しい嵐の中、巨木の枝に隠れていたふたりは不意に宙に浮き上がり、
はたまた手を取り合いながら滝壺へとダイブ。
虚実入り乱れたファンタジックなシーンが続きます。

そして、クライマックス。
とうとう追い詰められたふたりは羊の群れの中に逃げ込みます。
絶体絶命かと思われましたが、
なんと、その場所は地雷原だったのです。
コスタはその地雷を利用してふたりの兵士から逃げようと思いつき、
羊たちを地雷のあるほうへと促します。
次々に地雷を踏んでは粉々に飛び散る羊たち!!
なんだこれは!! 笑えないけど笑っちゃいそうだぞ!!
さらに兵士の目をついばむハヤブサ!!
ジャガとミレナの丸焼け死体と同様に
残酷さと滑稽さが混在しているのです。

そしてついに、蛇の制止に従わなかった花嫁が地雷にひっかかり、
花嫁の体が空高く飛び上がります。
しかし、花嫁の体は傷つくことなく、
煙と共に消えてしまうのでした。

15年後、地雷原に石を敷く日々を送るコスタ。

ロマンチックでシニカルでユーモアがあって、
ものすごくエネルギッシュな作品です。
そりゃ、モテるわ。クストリッツァ。





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