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レッドタートル ある島の物語

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(原題:La tortue rouge 2016年/フランス・日本合作 81分)
監督・原作・脚本/マイケル・デュドク・ドゥ・ビット プロデューサー/鈴木敏夫、
バンサン・マラバルアーティスティックプロデューサー/高畑勲 音楽/ローラン・ペレズ・デル・マール 製作/スタジオジブリ、ワイルドバンチ

概要とあらすじ
2000年に発表した短編「岸辺のふたり」でアカデミー短編アニメーション賞を受賞したオランダのマイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督が、8年の歳月をかけて完成させた初長編作品で、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で特別賞を受賞。スタジオジブリが、同社としては初となる海外作家の映画製作に参加し、高畑勲監督がアーティステックプロデューサーとして、シナリオや絵コンテ作りなどに関わっている。嵐で荒れ狂う海に放り出された男が、九死に一生を得て無人島に漂着する。男は島からの脱出を試みるが、不思議な力で何度も島に引き戻されてしまう。そんな絶望状況の中、男の前にひとりの女が現れ……。(映画.comより



くっさいおっさんだったら

『岸辺のふたり(Father & daughter)』という
短編アニメーションを観たジブリの鈴木プロデューサーが
監督のマイケル・デュドク・ドゥ・ビット
ぜひ長編を作らせたいということで始まったという
『レッドタートル ある島の物語』
なんと制作に8年の歳月を費やしたということですから、
アニメーション作家の執念というか我慢強さというか粘りには
計り知れないものがあります。
興行的にはあまり振るわなかったようですが、
まあ、可愛いキャラクターがぴょんぴょん飛び回るような作品じゃないし、
冷ややかな反応もある程度は織り込み済みでしょう。
「ジブリらしくなかった」という感想を目にしたときは
腰が砕けましたが、
興行的に成功しそうにないからといって
この手のアーティスティックな作品が作られなくなったとしたら、
それはそれで問題だと思います。

水の表現にこだわる作家は多くいると思いますが、
本作冒頭の荒れ狂う暗い海の描写がまず素晴らしい。
ボートに乗っていた男はうねる波に翻弄されるうち、
いつしか無人島の砂浜にたどり着くのでした。
無人島は、原始的=純粋な生へ回帰するための装置でしょう。
息づかいやわめき声しか発せず、まったくセリフがありませんが
男が少しずつ無人島の生活に順応していくさまが
カニをマスコットにして、コミカルに描かれます。
やがて、一念発起した男は竹で筏を作り、
どこかへ旅立とうとします。
おそらくは戻るべき集落があるのでしょう。
しかし、沖合まで出ると筏は音を立てて壊れてしまいます。
再び筏を作り直して出航するも、また同じ羽目に。
3回目も同じように筏が破壊しそうになったとき、
海の中に赤い甲羅の亀を発見し、
この赤い亀こそが自分の出航を邪魔していたと怒り狂った男は、
棒で亀を殴り、仰向けにひっくり返して放置します。
でも、なんだかやり過ぎたような気になった男は
身動きしなくなった亀に水を与え、世話を焼いていると
なんと、亀の腹部が割れてひとりの女性が現れるのでした。

男と女は当然のように結ばれ、息子が生まれます。
息子はすくすくと成長し、やがて父の身長を超えるまでに。
しかし、無人島を突然の津波が襲い、島の営みを破壊します。
(いつまでたっても映画における津波のシーンは動揺しますね……)
命だけは助かった3人家族は流木を集め、火をつけます。
(これは宗教的儀式のはじまりのようなものだろうか)
いつしか息子は無人島以外の外の世界を夢見るようになり、
親元を旅立つ決意をします。
快く息子を送り出した男と女はふたりきりの生活を送り、
やがて年老いた男は静かに息を引き取ります。
すると女は再び赤い亀へと姿を変え、海に還っていくのでした。

ひとつのシチュエーションを設定して
ひとりの人間の人生を俯瞰するストーリー
監督の出世作『岸辺のふたり』と同じです。
『岸辺のふたり』のラストでは、父の帰りを待ち続ける娘が
年老いて死んでしまったあとで父との再会を果たしますが、
どこかスピリチュアルな展開が用意されているのも
マイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督の作家性なのかもしれません。

まあ、正直にいうと
人生を俯瞰したまるで神さまのような語り口が
気にならないわけではありません。
亀が姿を変えるのが美女なのも、男にとって都合がいい気がします。
現れるのがくっさいおっさんだったらどうするんでしょうか。
食料を奪い合ったりして。そんな無人島、地獄ですよ。
そう考えると、すべては
無人島脱出が叶わなかった男の妄想なのかもしれません。







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