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セールス・ガールの考現学

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(原題:Khudaldagch ohin 2021年/モンゴル 123分)
監督・製作・脚本/ジャンチブドルジ・センゲドルジ 音楽/ドゥルグーン・バヤスガラン
出演/バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル、エンフトール・オィドブジャムツ

概要とあらすじ
アダルトグッズショップで働くことになった女性の成長をユーモアたっぷりに描き、第20回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルでグランプリに輝いたモンゴル映画。モンゴルの首都ウランバートルで家族と暮らしながら大学で原子工学を学ぶサロールは、ひょんなことから怪しげなアダルトグッズショップでアルバイトすることに。人生経験豊富な女性オーナーのカティアが営むその店には大人のオモチャが所せましと並んでおり、毎日さまざまなタイプの客たちがやって来る。サロールはカティアや客たちとの交流を通して、自分らしく生きることを学んでいく。オーディションで300人の中から選ばれたバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルが映画デビュー作にして主演を務め、モンゴルを代表するベテラン俳優エンフトール・オィドブジャムツがオーナーのカティアを演じた。(映画.comより



モンゴル発かわいい映画

なかなかお目にかかれないモンゴル映画の『セールス・ガールの考現学』です。モンゴルといえば、テント(ゲル)で暮らす遊牧民が大草原を馬で駆け抜ける……なんていう光景を思い浮かべますが、当然ながらそんなわけもなく(そんなシーンもちらっと出てくるけれど)、本作の舞台となる首都ウランバートルは近代的な都市なのです。

冒頭、ひとりの女性が路上に捨ててあったバナナの皮で滑って転倒し、骨折の大怪我を負います。いまどき、バナナの皮で滑って転ぶなどというあまりにも使い古されたきっかけで始まる映画があろうとは……。というか、バナナの皮で滑って転ぶというのは世界共通なのか(『初めて「バナナの皮」で滑ったのは誰?「バナナの皮」ギャグはいつ生み出されたの?』)。もちろんこのありきたりさは物語が始まるきっかけなんてどうでもいいと意図されたものなんですけど。

とにかく、バナナの皮で滑って骨折した、あまり親しいわけではない大学の同級生からバイトの代役を頼まれたサロール(バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル)。彼女は半信半疑な表情を見せながらも同級生の依頼を受け入れるのですが、そのバイトとは大人のおもちゃを販売するアダルトグッズ・ショップの店員なのでした。

いかにもおとなしくて垢抜けない感じのサロールがさまざまなアダルトグッズに囲まれたバイト先に戸惑うかというとそうでもなく、わりと冷静に平然と店番の業務をこなします。あまりにもサロールが性的に未熟だからそのいかがわしさに無頓着なのかもしれませんが、このあたりの彼女の心象はよくわかりませんでした。

このアダルト・ショップには、カティア(エンフトール・オィドブジャムツ)という中年女性のオーナーがいて、サロールは毎日の売上を届けなければなりません。裕福そうなカティアは高慢な態度をみせますが、どうやら孤独を持て余しているようで、なにかとサロールを連れ回しては指南するようになり(とくに性的なことについて)、サロールもまたカティアに親近感を抱くように。

サロールは両親の勧めに従って原子力工学を学んでいますが、授業中も自宅でも絵ばかり描いているので、彼女が本当にやりたいことが絵を描くことなのは一目瞭然。カティアがそれを知っているわけではないのですが、とにかく自由になるようサロールに説くのです。

サロールにとってのカティアはメンターの役割で、自由な行き方についてなにかと指南するのですが、ピンクフロイド『狂気』のレコードジャケットを嗅いで「70年代の匂い〜」などと悦に浸っている彼女は明らかに過去に囚われたひと。かつてバレエ・ダンサーだった彼女は一世を風靡し、いまだその人気は衰えていないようで、そのおかげで現在の彼女があるのですが、かつて愛した男性との間にもうけた子どもを亡くしてしまった後悔と共に生きているのでした。カティアがサロールの世話をするのは、カティアが果たせなかった夢をサロールに託しているかのようです。

宅配先のおっさんの無礼をきっかけに、サロールがカティアの痛いところを糾弾して一時は決裂するふたり。とはいえ、すでにカティアの薫陶を受けているサロールは徐々に垢抜けていき、どんどん魅力的になっていきます。彼女のファッションの変化に、ジャケットは同じだけどパンツが違うとか、着回し感があるのがナイス。

なんでサロールが店の商品であるバイアグラを持ち歩いてるのかとか、都合のいい展開がなかったとはいえませんが、思春期の少女がリリース・ユアセルフするさまに新鮮味はないけれど爽やかだし、友人男性とのトホホなシーンでも、セックスは滑稽だけれど、だからといって茶化して馬鹿にするわけではない姿勢にとても好感が持てる、かわいい映画でした。ちなみに、ちょいちょい登場するミュージシャンは、本作の音楽も手掛けるモンゴルの人気シンガーソングライターMagnolian(ドゥルグーン・バヤスガラン)だとか。







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