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シン・ウルトラマン

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(2022年/日本 112分)
監督/樋口真嗣 企画/庵野秀明 脚本/庵野秀明 製作/塚越隆行、市川南、庵野秀明 撮影/市川修、鈴木啓造 照明/吉角荘介 録音/田中博信 美術/林田裕至、佐久嶋依里 装飾/坂本朗、田口貴久 スタイリスト/伊賀大介 VFXスーパーバイザー/佐藤敦紀 編集/栗原洋平、庵野秀明 音楽/宮内國郎、鷺巣詩郎 主題歌/米津玄師
出演/斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり、田中哲司、西島秀俊、山本耕史、岩松了、嶋田久作

概要とあらすじ
日本を代表するSF特撮ヒーロー「ウルトラマン」を、「シン・ゴジラ」の庵野秀明と樋口真嗣のタッグで新たに映画化。庵野が企画・脚本、樋口が監督を務め、世界観を現代社会に置き換えて再構築した。「禍威獣(カイジュウ)」と呼ばれる謎の巨大生物が次々と現れ、その存在が日常になった日本。通常兵器が通じない禍威獣に対応するため、政府はスペシャリストを集めて「禍威獣特設対策室専従班」=通称「禍特対(カトクタイ)」を設立。班長の田村君男、作戦立案担当官の神永新二ら禍特対のメンバーが日々任務にあたっていた。そんなある時、大気圏外から銀色の巨人が突如出現。巨人対策のため禍特対には新たに分析官の浅見弘子が配属され、神永とバディを組むことになる。主人公・神永新二を斎藤工、その相棒となる浅見弘子を長澤まさみが演じ、西島秀俊、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、早見あかり、田中哲司らが共演。劇中に登場するウルトラマンのデザインは、「ウルトラQ」「ウルトラマン」などの美術監督として同シリーズの世界観構築に多大な功績を残した成田亨が1983年に描いた絵画「真実と正義と美の化身」がコンセプトとなっている。(映画.comより



歪なパロディコント

いやはや話題の『シン・ウルトラマン』です。庵野秀明作品に興味がないので二の足を踏んでおりましたが、ひやかし気分で観に行ってまいりました。

オリジナルTVシリーズ『ウルトラQ』および『ウルトラマン』が放送されたのは1966〜1967年。リアルタイムで観ていた人はいまや60歳前後でしょう。なにやら本作の企画書では、その世代を狙ったと書かれているそうでマジかよと思うわけですが、ボクが『ウルトラマン』を観たのはおそらく再放送。マニアでもないのでビデオなどで反芻することもなく、当然子供の頃のことなので内容なんてなんにも憶えておりません。というわけで、映画館に行く前日にAmazon Primeでシリーズを購入し、一夜漬けで予習しました。全39話を一夜で観るのは不可能なので、第3話「科特隊出撃せよ」、第9話「電光石火作戦」、第18話「遊星から来た兄弟」、第33話「禁じられた言葉」、第39話「さらばウルトラマン」を観よというTwitterの指南に従った次第です。結果、大いに役立ちました。

冒頭、ちらっと出てきた「シン・ゴジラ」という文字を見てなんだか不愉快になりました。すでにこの後『シン・仮面ライダー』が公開されるのは知っていたので、これらが「シン」シリーズのなかの一作品ということなのでしょうが、一応「ウルトラマン」を楽しもうとしていたので、気分を削がれたのです。

まあそれはともかく、相も変わらず、細かいカットに読ませる気がない極太明朝体のテロップが入り、『ウルトラQ』の流れを汲んで「禍特対(カトクタイ)」が設けられるまでの流れが説明されます。第3話のネロンガが登場し、現場へ急行した禍特対は状況説明を早口でまくし立てます。庵野作品によくあるこういった軍隊的台詞というかオタク的ウザい話し方になんらかの呼称はあるんでしょうか。いずれにしろ何を言っているのかは判別不可能です。オリジナルのようなオレンジ色の制服ではなく、スーツ姿の「禍特対」の面々は、暴走族の当て字のような「禍威獣(カイジュウ)」と呼ばれる怪獣が出現すると現場へ急行し、自衛隊から指揮権を奪います。これってアメリカ映画なら、地元警察の捜査中にFBIが出張ってくるのと同じことなので、一悶着あってもよさそうなもんですが、自衛隊の指揮官はすんなり従います。とはいえ「禍特対」が現場でやることといえば、ノートパソコンをいじりながら喋るだけなので、わざわざ現場に来る意味はさっぱりわかりません。

ネロンガが暴れるなか、神永新二(斎藤工)が逃げ惑う少年を発見し(第9話)、単独で救助に向かいます。そういうことこそ自衛隊の仕事じゃないの? と思いますが、ここで「銀色の巨人=ウルトラマン」が登場し、ネロンガを退治するのです。このシーンでウルトラマンが放つスペシウム光線が山を貫く瞬間は本作で最もかつ唯一アガる瞬間でした。さりとて、コーヒーとか、ウルトラマンがチョップした手を痛がるとかしつこく繰り返される実相寺アングルなど、基本的にはオリジナルのエピソードとディティールを散りばめたオタクの自慰的ダイジェストの羅列に終始しています。

そして本作の評価をややこしくさせる存在、浅見弘子(長澤まさみ)が「禍特対」に加わります。彼女が出勤する過程を超思わせぶりに後ろからカメラが追うのですが、特別何があるわけではありません。分析官だという浅見は挨拶がてらメンバーの個人情報をまくし立て、自らも「既婚者です」と聞かれてもいないのに打ち明けます。恋愛感情が発生する余地はないとあらかじめ牽制しているのでしょうが、そのわりには神永新二(斎藤工)との間に恋愛感情が芽生えるかのような演出をしていて、中途半端(別に既婚者だって恋愛してもいいとは思うけど)。やたら連呼される「バディ(相棒)」という言葉も、そもそも5人しかいない「禍特対」のうち、このふたりがバディになる必要がないし、神永はほぼ単独行動しているので浅見とバディとしての関係性を築けるはずもありません。もともと「バディ」というのは、コンビを組んだふたりがそれぞれの欠点を補い合って成立するものなので、とんちんかんにも程があります。

そして、巨大長澤まさみが登場するのです。これはもちろんオリジナルの巨大フジ隊員を踏襲しているのですが、こんな馬鹿馬鹿しいエピソードを再現するのかとテンションが上がりました。ここに至るまでも、怪獣の名前は誰が命名してるんだよとか、着ぐるみを使い回してるとか、なんで日本ばっかりなんだよとか、どっからこの部屋に入ってきたんだよ(本作には登場しないけど出入り自由な星野少年とか)というオリジナルの設定に対するツッコミをわざわざ持ち出している以上、これはメタなパロディコントなんだと認識してクスクス笑っておりました。

ところがこれに「セクハラだ!」とご立腹の方が少なからずいらっしゃるようで、物議を醸しているそうです。具体的になにを指してセクハラと言っているのかいまいちわからないのですが、おそらく巨大化した長澤まさみを下から捕らえたアングル、お尻を叩く動作、体臭を嗅ぐ行為あたりでしょう。

巨大化に関しては、オリジナルの巨大フジ隊員のエピソードに倣ったものですが、そもそも巨大女性を愛でる「ジャイアンテス」というジャンルというか性的趣向があってエロ表現であることは間違いないのですが、巨大化したんだから見上げるショットがあるのはむしろ自然だし、フジ隊員はパンツルックだったからいいけど長澤まさみはスカートだぞけしからんみたいな声に関しては、そういう問題なの? と思うだけで、ハラスメントというのはどうもピンときません。

お尻を叩く動作については、性的表現とかいう以前に行動の意味がわかりません。体臭についてもエロいというより単に下品なのは確かだが、それより設定上の理屈が理解できませんでした。直前のシーンで長澤まさみが唐突に「今日はお風呂に入れると思ったのに〜」と言い出すというヘタな伏線の張り方に唖然としましたが。

あえて言えば松本人志の『大日本人』を観ているような気分でそれなりに楽しんでいたのですが、ウルトラマンと戦うメフィラス(山本耕史)の造形がすっかりエヴァの使徒そのものでテンションだだ下がり。宇宙に浮かぶゼットンもなんだかエヴァ的で、すっかり興味を失ってしまいました。そもそもエヴァンゲリオンがウルトラマンをはじめとする特撮ヒーローものの庵野秀明的解釈によって生まれたであろう作品で、ここまでオリジナルを忠実に(茶化しながら)再現してきたのに、結局、庵野的ウルトラマン=エヴァになるのなら、最初からエヴァでいいのではないかという気がして、なんだか歪なねじれを感じました。

そうでなくとも、オリジナル通りとはいえ、メフィラスが途中でバトルを止め、ゼットンにまったく歯が立たないウルトラマンが惨めにもブラックホール(?)に吸い込まれるという終盤の展開は、39話のTVシリーズならいざ知らず、1本の映画としては著しくカタルシスを損なうエンディングでした。

とはいえこれだけ話題になって、いっちょ観てやろうと思わせるだけでも(実際、動員も多いみたいだし)、日本映画の興行的には大事なシリーズなんでしょう。







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コメント

ウケた所

<読ませる気がない極太明朝体のテロップ

このディテールの描写、ウケました!(笑)


映画で最もウケたセリフは、
=「なぜか禍威獣(カイジュウ)は日本にしか現れないんだよ」
でしたが(笑)

2022/05/25 (水) 22:52:32 | URL | onscreen #mQop/nM. [ 編集 ]

Re: ウケた所

onscreenさん、コメントありがとうございます。
ほとんどコメディでしたね。

2022/05/26 (木) 07:35:07 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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