" />
fc2ブログ

ハッチング 孵化

hatching.jpg



(原題:Pahanhautoja 2021年/フィンランド 91分)
監督/ハンナ・ベルイホルム 製作/ミカ・リタラハティ、ニコ・リタラハティ、ニマ・ユーセフィ 脚本/イリヤ・ラウチ 撮影/ヤルッコ・T・ ライネ 美術/パイビ・ケットゥネン 編集/リンダ・イルドマルム 音楽/スタイン・ベルグ・スベンドセン、
出演/シーリ・ソラリンナ、ソフィア・ヘイッキラ、ヤニ・ボラネン、レイノ・ノルディン

概要とあらすじ
長女が見つけた謎の卵の孵化をきっかけに起こる恐ろしい事件により、家族の真の姿が浮き彫りになっていく様を描いたフィンランド製ホラー。北欧フィンランドで家族と暮らす12歳の少女ティンヤ。完璧で幸せな家族の動画を世界へ発信することに夢中な母親を喜ばすため、すべてを我慢し自分を抑えるようになった彼女は、体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。ティンヤが家族には内緒で、自分のベッドで温め続けた卵は、やがて大きくなり、遂には孵化する。卵から生まれた「それ」は、幸福に見える家族の仮面を剥ぎ取っていく。監督は世界の映画祭で短編作品が高い評価を受け、今回が長編デビューとなる新鋭女性監督ハンナ・ベルイホルム。(映画.comより



女性特有のファンタジック・ホラー

フィンランドのホラー映画『ハッチング 孵化』でございます。監督は本作が長編デビューとなるハンナ・ベルイホルム

SNSで「幸せな家族」をアピールするため、今日も今日とて家族を動画に収める母親(ソフィア・ヘイッキラ)。体操選手の娘ティンヤ(シーリ・ソラリンナ)がリビングで練習していると、こちょこちょこちょ〜とくすぐり、父親(ヤニ・ボラネン)をくすぐります。「おい、やめろよ〜♪」なんつってはしゃぐ家族。すでに気持ち悪い。最後は息子も含めた家族4人でソファに座り、ソマホに向かってまたね〜なんつってると、突然窓ガラスに突撃してくるカラス。ティンヤが恐る恐る窓を開くと、家の中に入ってきた手負いのカラスが飛び回り、花瓶やグラス、果てはシャンデリアを落下させてガラステーブルが粉々に。一気にたたみかけてくるオープニングが楽しい。カラスがガラスを……などというしょーもないダジャレが頭をよぎったのはここだけの話。

承認欲求がゴリゴリに強い母親(役名はない)が虚飾にまみれた家族像をSNSに投稿しているのはわかりますが、SNSそのものの画面が写ることはなく、再生回数やいいねやフォロワー数に一喜一憂するディティールに乏しかったのはさておき、とにかく周囲の人間をすべて自分のコントロール下に置きたい母親の迫力に、息子はやや反抗的な態度をみせるものの、父親は言われるがまま。そして、最も母親の支配下に置かれているのが娘ティンヤでした。母親はかつてスケート選手で挫折した過去があり、その遺恨を体操選手である娘ティンヤに託し、ティンヤもそれに応えようと隷従しています。

家の中に飛び込んできたカラスは母親に絞め殺されたはずでしたが、ティンヤが捨てたゴミ箱からいつのまにか逃げ出したもよう。森の中を探しに出たティンヤは息絶え絶えのカラスを石で撲殺します。ところが、カラスの巣に残されていたひとつの卵を持ち帰ってベッドで温めはじめるのでした。

成長にあわせて卵が巨大化することはないと思うのでちょっと笑っちゃいましたが、ファンタジーの範疇でしょうか。とにかく殻を破って「孵化」したのは三等親くらいの鳥人間。その造形がまたファンタジックでやっぱりちょっと笑っちゃいましたがそれはともかく、アッリと名付けられることになるその鳥人間は、明らかにいままで母親に隷従してきたティンヤが抑圧していた負の感情であり、オルターエゴ。

本作には3組の「母娘(母親とティンヤ、カラスと卵、ティンヤとアッリ)」が登場します。当初、ティンヤは醜く汚いアッリを受入れて愛するようになりますが、結果的に母親と同じように暴走するアッリをコントロールしようとし始めます。ただ母親と違うのはティンヤとアッリは分かちがたく同期している分身なので、彼女の内面における葛藤を表現しているようにも見えます。

母親は父親公認の愛人を作り、「今、恋してるの♡」なんてティンヤに打ち明けるほどあいかわらずイカれてるんですがそれはともかく、アッリは日を追うごとに容姿が人間化し、ティンヤと瓜二つになっていきます。ついには凶暴性を増したアッリを殺そうとした母親が誤ってティンヤを殺してしまい、かわりにアッリがほぼティンヤの姿で生き残るという、その後が心配なエンディングとなっております。

現代の映画らしく、全方位的に社会問題を定義する作品であり、初潮・妊娠・出産・母性という女性特有の身体的変化をファンタジックなホラーとして表現したところは『RAW 少女のめざめ』や『TITANE チタン』のジュリア・デュクルノー監督とも通じるところがあるんじゃないでしょうか。ティンヤにほのかな恋愛の要素があったりしてもよかったんじゃないかな〜なんてことも思いますけど。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

アーカイブ

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンター