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アメリカン・ユートピア

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(原題:David Byrne's American Utopia 2020年/アメリカ 107分)
監督/スパイク・リー 製作/デビッド・バーン、スパイク・リー 製作総指揮/ジェフ・スコール、デビッド・リンド、ダイアン・ワイアーマン、レン・ブラバトニック、デビッド・バイザー、チャーリー・コーエン、カート・ドイチェ、ビル・ポーラッド、クリスタ・ゾフシン・ワークマン、ジョン・カーメン、メレディス・ベネット、クリスティン・カスケイ、マイク・アイザックソン 撮影/エレン・クラス 編集/アダム・ガフ 振付/アニー・B・パーソン 字幕監修/ピーター・バラカン
出演/デビッド・バーン、ジャクリーン・アセベド、グスタボ・ディ・ダルバ、ダニエル・フリードマン、クリス・ジャルモ、ティム・ケイパー、テンダイ・クンバ、カール・マンスフィールド、マウロ・レフォスコ、ステファン・サンフアン、アンジー・スワン、ボビー・ウーテン3世

概要とあらすじ
元「トーキング・ヘッズ」のフロントマンでグラミー賞受賞アーティストのデビッド・バーンが2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」を原案に作られたブロードウェイのショーを、「ブラック・クランズマン」のスパイク・リー監督が映画として再構築。同アルバムから5曲、トーキング・ヘッズ時代の9曲など、全21曲を披露。バーンは様々な国籍を持つ11人のミュージシャンやダンサーとともに舞台の上を縦横無尽に動き回り、ショーを通じて現代の様々な問題について問いかける。クライマックスでは、ブラック・ライブズ・マターを訴えるジャネール・モネイのプロテストソング「Hell You Talmbout」を熱唱する。パントマイムや前衛パフォーマンスの要素も取り入れた斬新な振り付けを手がけたのは、過去にもバーンの舞台を手がけたアニー・B・パーソン。ブロードキャスターのピーター・バラカンが日本語字幕監修を担当。(映画.comより



カ〜、カッコイイ!

リアルタイムではないけれど、興奮しながら何度も繰り返しVHSで観た『ストップ・メイキング・センス(1984)』。本当にカッコイイ映画でした。トーキング・ヘッズもソロになってからのデイヴィッド・バーンも大好き。というわけで、デイヴィッド・バーンのブロードウェイ・ショーを映画化した『アメリカン・ユートピア』を観てきました。監督はなんとスパイク・リー

『ストップ・メイキング・センス』のなにがカッコイイかと申しますと、まずは最初にデイヴィッド・バーンがアコギ一本抱えてステージに登場し、弾き語りで一曲。そこから曲が進むにつれてトーキング・ヘッズのメンバーがひとりずつ加わるという構成です。当時バンドをやっていたワタクシはこれを真似したくして真似したくして仕方なかったのですが、さすがに一目で真似だとわかるので躊躇したという歯がゆい記憶が。どんどん演奏のボルテージは上がり、トム・トム・クラブを挟んでやがてゲストのバーニー・ウォーレルが加わると、もはやグルーブの洪水に押し流されるのみ(残念ながら、監督のジョナサン・デミは亡くなってしまいました)。

メンバーが少しずつ増えていくという構成そのものが物語的でエモーショナルなのですが、本作でもその発想は受け継がれています。脳みその模型を手にしたデイヴィッド・バーンの語りから始まるあたり演劇的ではありますが、これはあくまでライブ・コンサート。「ステージ上から一番大切なもの以外すべてを排除したら? 何が残る?」というコンセプトに従って、キラキラしたすだれみたいなもので囲われただけのステージで、おそろいのミディアム・グレーのスーツに身を包んだデイヴィッド・バーンをはじめとするメンバーたち。御年69歳のデイヴィッド・バーンが高らかに謳い踊ります。

なんとも斬新なのは、ステージ上にアンプやマイクなどの機材が一切なく、演奏するメンバーたちはすべてワイヤレスで演奏しているということ。だからこそメンバーが自由に動き回る演出が可能になるわけです。どうしても場所が固定されがちなドラムも、バスドラ、スネア、タムと人を分けるとは目から鱗! なんつって一瞬思ったのですが、もともとマーチング・バンドがそうでした。つまり、原初的な音楽の演奏方法をデジタルを駆使して実現しているというわけです。

そもそもトーキング・ヘッズの頃からデイヴィッド・バーンの作る音楽は、複雑なコード進行や難解なビートを刻むものではありません。デイヴィッド・バーンの歌い方だって随分ぶっきらぼうで、うっとりするような歌声とは言いがたいし、ダンスも人を食ったような単純なものです。にもかかわらず観客を惹きつけてやまない魅力がある。これは恐るべきことです。

「シンプル」とは言うは易しで、ややもすればありきたりな表現になりがち。にもかかわらず、デイヴィッド・バーンの手にかかれば新鮮な驚きと共に観客を楽しませてくれます。プロジェクションマッピングによるハイテクな演出も可能になった現在、照明によってフロントマンの影を巨大に映し出す手法など古典的とすらいえるもので単純極まりないのですが……超カッコイイ。

本作のポスターを見れば、原題「David Byrne's American Utopia」の「UTPIA」が上下逆さまになっています(オリジナルのアルバム・ジャケットも)。これはもちろん皮肉で、現在のアメリカが決してユートピアではないことを示唆し、それでもなお「ユートピア」となることを目指すのだという決意表明です。メンバーの出自が多様であることに留まらず、デイヴィッド・バーンはもっと具体的に投票率の低さに警鐘を鳴らし、観客に投票を促します。

さらには、ジャネール・モネイのプロテストソング「Hell You Talmbout」で、白人警官によって理不尽に殺された被害者たちの名前を連呼します。ここでスパイク・リー色が前面に出てきたように感じましたがそれはともかく、「名前を呼べ!」と連呼するのは、黒人というひとくくりにされた存在ではなく、個人を尊重しろという訴え。いまにも号泣しそうでしたが、ギリで耐えました。

すべての演奏が終わると「最高のパフォーマンスだった!」と興奮するメンバーたち。やがて楽屋口から登場したデイヴィッド・バーンは、ファンに見送られながらなんと自転車で帰宅するのでした。カ〜、カッコイイ!

踊りたい欲望を抑えるのがたいへんな作品でした。







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コメント

真空パック

ライブ公演用のコンサート企画
    ↓
NYブロードウェイ進出!(リンク)

に続いての映画化、スパイクが加えた隠し味が効いてましたね!

2021/06/12 (土) 19:03:34 | URL | onscreen #- [ 編集 ]

Re: 真空パック

onscreenさん
コメントありがとうございます。本当にカッコイイ映画でしたね!

2021/06/13 (日) 10:25:52 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

すみません、リンク間違ってました...

こちらのリンクがブロードウェイ公演のとなります!

2021/06/20 (日) 09:52:36 | URL | onscreen #- [ 編集 ]

Re: すみません、リンク間違ってました...

ありがとうございます。リンクは見えませんが。

2021/06/21 (月) 09:53:02 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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