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ナイチンゲール

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(原題:The Nightingale 2018年/オーストラリア・カナダ・アメリカ合作 136分)

監督・脚本/ジェニファー・ケント 製作/クリスティーナ・セイトン、ブルーナ・パパンドレア、スティーブン・ハッテンスキー、ジェニファー・ケント 製作総指揮/ブレンダ・ギルバート、ジェイソン・クロス、アンディ・ポラック、アーロン・L・ギルバート、ベン・ブラウニング、アリソン・コーエン 撮影/ラデック・ラドチュック 美術/アレックス・ホームズ 衣装/マーゴット・ウィルソン 編集/サイモン・ンジョー 音楽/ジェド・カーゼル
出演/アシュリン・フランシオーシ
、サム・クラフリン、バイカリ・ガナンバル、デイモン・ヘリマン
、ハリー・グリーンウッド、マイケル・シーズビー、ユエン・レスリー、チャーリー・ショットウェル


概要とあらすじ
イギリス植民地時代のオーストラリアを舞台に、夫と子どもの命を将校たちに奪われた女囚の復讐の旅を描き、2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞ほか計2部門を受賞したバイオレンススリラー。19世紀のオーストラリア・タスマニア地方。盗みを働いたことから囚人となったアイルランド人のクレアは、一帯を支配するイギリス軍将校ホーキンスに囲われ、刑期を終えても釈放されることなく、拘束されていた。そのことに不満を抱いたクレアの夫エイデンにホーキンスは逆上し、仲間たちとともにクレアをレイプし、さらに彼女の目の前でエイデンと子どもを殺害してしまう。愛する者と尊厳を奪ったホーキンスへの復讐のため、クレアは先住民アボリジニのビリーに道案内を依頼し、将校らを追跡する旅に出る。主人公クレア役はドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のアイスリング・フランシオシ、ホーキンス役は「あと1センチの恋」のサム・クラフリン。ビリーを演じたオーストラリア出身のバイカリ・ガナンバルが、ベネチア映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞。監督は「ババドック 暗闇の魔物」のジェニファー・ケント。(映画.comより



森の中でうずくまっているような

「あまりにも過激な内容とバイオレス描写で、ヴェネツィア映画祭を揺るがし二冠!鬼才ジェニファー・ケントが世界に叩きつける、慟哭のリベンジ・スリラー!!(公式サイト)」という、とてもとても威勢のいい惹句がついた『ナイチンゲール』。そんなこと言われたら観たくなるじゃありませんか。ジェニファー・ケント監督の『ババドック 暗闇の魔物』は世間の評判は高いものの、ボク的にはイマイチでした。タイトルの「ナイチンゲール」は例の看護婦のことではなく、鳥の名前のようです。

イギリス植民地時代のオーストラリア。イギリス軍は囚人を労働力としてオーストラリアに連れてきていたのでした。そのなかのひとりが、アイルランド人のクレア(アシュリン・フランシオーシ
)。クレアは優しい夫と生まれたばかりの赤ちゃんとの3人家族で、虐げられながらもわずかな幸せを感じられる生活を送っておりました。

しかし、以前からクレアに目を付けていた将校ホーキンス(サム・クラフリン
)は、彼女を呼び出しては繰り返しレイプしていたのです。クレアの夫もオレ様があてがったとかなんとか言ってましたから、なんらかの優遇措置をとっていたのでしょう。無能なくせに高慢、まるで麻生太郎のように威張るしか能のないクズであるホーキンスの目に余る悪行は、イギリス軍からも問題視され、目前に迫った大尉への昇格も保留されてしまいます。

そのことに逆上したホーキンスとその子分たちは、腹いせにクレアを急襲。夫の目の前でクレアをレイプし、激高した夫を射殺。さらには泣き叫ぶ赤ちゃんを壁にたたきつけて殺してしまいます。最悪です。観ているだけではらわたが煮えくりかえってどうしようもなくなります。このシーンで退席する人がいるのは不思議ではありません。

凄惨な夜が明け、復讐の炎を燃やすクレアでしたが、ホーキンスとその子分たちは大尉昇格の陳情のためにすでに旅立っていました。クレアはホーキンス追跡を決意しますが、森の中を抜けていく険しい道のりのためにガイドが必要。というわけで、アボリジニのビリー(バイカリ・ガナンバル
)を雇って出発するのでした。

クレアはひどい目に遭ったけれども、アボリジニのビリーはもっとひどい目に遭っています。突然やってきたイギリス軍に家族を殺され、自分たちの土地を奪われた挙げ句、「ボーイ」と呼ばれてまるで家畜のように扱われています。クレアもイギリス人たちと同様にビリーに対して差別的です。しかし、ビリーがいなければなんにもできないクレアは、彼に助けられるたびに少しずつ心を開き、彼の痛みを理解して打ち解けるように。

女性を見ればレイプしか頭にないホーキンスたちは、これでもかというほど極悪非道。ガイド役の幼い少年を手なずけたかと思いきや、ミスすると射殺。徹底的に観客の敵意が向けられる存在です。限界まで貯め込まれた観客の憎悪を、最後にはクレアがすべて清算してくれる……と思っていると、そうでもない。

ついにホーキンスに追いついたクレアは一番下っ端の子分を殺しはしますが、いざホーキンスに直面すると躊躇してしまいます。ここがよくわからない。クレアは単に怖じ気づいたのか、ホーキンスの恐怖による支配が頭に蘇ったのか、復讐という行為そのものへのアンチテーゼを意図した演出なのか……。もしかして、クレアはホーキンスに対してもともと好意的だったとか?……まさか!!

ホーキンスがいる街にたどり着いたクレアは、ビリーの制止も聞かずに酒場へ単身乗り込み、皮肉を込めた歌を歌います。なぜこの期に及んで情や知性に訴えようと思ったのか、理解できません。結局、夜が更けてからウォーペイントを施したビリーがホーキンスのいる宿屋に突入。ホーキンスとその子分を殺します。

ホーキンスの殺され方が呆気なくて、貯めに貯め込まれた鬱憤が解消されずモヤモヤ。というか、決定的な場面でクレアは何にもしていないし、ビリーにやらせてどうするの?

クレアがホーキンスの目の前で歌を歌ってみせたシーンのように、これではまるでホーキンス以外のイギリス軍たちは良識を持った人間たちにみえるし、アボリジニに対してイギリス軍が行なった略奪が、ホーキンス個人の悪行へと矮小化されてはいないでしょうか。本作で描こうとしていたのは、社会構造的な問題や歴史的愚行、または愚かな人間の業のようなもののはずだと思っていたのに、いつの間にやら道に迷って、森の中でうずくまっているような作品でした。







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