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大統領の陰謀

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(原題:All The President's Men 1976年/アメリカ 132分)
監督/アラン・J・パクラ 製作/ウォルター・コブレンツ 原作/カール・バーンスタイン、ボブ・ウッドワード 脚本/ウィリアム・ゴールドマン 撮影/ゴードン・ウィリス 美術/ジョージ・ジェンキンス 編集/ロバート・L・ウォルフ 音楽/デビッド・シャイア
出演/ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォード、ジャック・ウォーデン、マーティン・バルサム、ジェイソン・ロバーズ、ハル・ホルブルック、ジェーン・アレクサンダー、ネッド・ビーティ、スティーヴン・コリンズ、メレディス・バクスター、リンゼイ・クローズ、F・マーリー・エイブラハム、ジェームズ・カレン

概要とあらすじ
ウォーターゲート事件の知られざる真相を暴き、ニクソン大統領を失脚に導いたワシントン・ポスト紙の記者カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードの回顧録を映画化した社会派サスペンスドラマ。1972年6月、ワシントンD.C.のウォーターゲートビルにある民主党本部に不審な5人組が侵入し、逮捕される。ワシントン・ポスト紙の新米記者ウッドワードは裁判を取材し、当初は単なる窃盗目的と思われた犯人たちの裏に何か大きな存在をかぎとる。先輩記者のバーンスタインと組んで事件の調査にあたることになったウッドワードは、情報提供者ディープ・スロートの助言や編集主幹ブラッドリーの後ろ盾を得て徐々に真相に迫るが……。第49回アカデミー賞で作品賞をはじめ計8部門にノミネート。ブラッドリーを演じたジェイソン・ロバーズの助演男優賞ほか計4部門を受賞した。(映画.comより



この国の未来を守れ

ニクソン大統領を退任に追い込んだ「ウォーターゲート事件」に迫る新聞記者の実話を描いた『大統領の陰謀』

「ウォーターゲート事件」とは、簡単にいうと民主党本部があるウォーターゲート・ビルに侵入した5人の男が、警備員(本作では本人が出演)の通報によって逮捕。単純な物盗りだと思われていた5人は十分すぎるほどの現金を保持していて、さらにはニクソンの再選委員会の職員だとか、元CIAだとかの事実も含まれていたことで、これはニクソンの息がかかった大疑獄ではないかと大問題になった事件です。

詳細はググっていただくとして、たがだか盗聴器を仕掛けるために5人もの、しかもすぐに身バレするような男たちが実行犯となり、あっさり逮捕されることからしてグズグズな案件ではあります。しかし、それが現役大統領に直結する事件となると、幾多の壁が立ちはだかるのでした。

ワシントン・ポスト紙の実在の記者カール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)が、関係者に対する地道な取材を積み重ねて真相に迫る過程は、間違いなくスリリング。しかし、名前だけの人物も含めてあまりにも多くの関係者が登場し、本作を観ながら頭の中で人物相関図を描くのは困難です。あらかじめウォーターゲート事件の全貌を把握している人なら次々と名前が挙がる関係者を思い浮かべることもできるのかもしれませんが、かなり難易度が高いと言わざるを得ないでしょう。本作のラストには、真相を追究するカタルシスはまったくなく、かなり唐突にその後の経過をタイプライターの文字で表現して終わります。

つまり本作は、複雑怪奇に絡み合った人物相関図や事件のあらましを総体的に伝えることをあらかじめ放棄し、ふたりの新聞記者の奮闘を通して、メディアの重要性を説いているのではないかと思いました。それでも、派手な演出がないにも関わらず、ふたりの記者の活躍はとてもサスペンスフルです。

とくに序盤の新聞社のオフィスでは、パンフォーカス(ディープフォーカス)が多用され(正確にはパンフォーカスではないらしいが、表現の仕方がわかりません)、手前と奥の被写体の両方にピントが合っている撮影技法が多用されています。単なる映像的トリックではなく、いろんなことが同時に進行しているのを表現するのに一役かっているのではないかと思いました。それよりもなによりも、広大なワシントン・ポストのオフィスはセットで、遠近法を利用している(つまり、奥に行くほど小さいデスクと小柄な俳優を配置している)という事実に驚きました。

少しずつ薄皮を剥がすように取材を進めるカールとボブ。彼らが政治部の記者ではなく、社会部の記者だというのもなにをか況んやという感じですがそれはともかく、ふたりに厳しく当たっていた局長編集主幹のベン・ブラッドリー(ジェイソン・ロバーズ)がふたりに「合衆国憲法修正第一条で保証されている報道の自由を、そしてこの国の未来を守れ」という台詞が胸を打ちます。

要は、ベン・ブラッドリーはふたりの若手記者に慎重さを求めると共に、政権を監視するという報道機関の使命に忠実だったということです。それに引き替え、首相との会食に足繁く通う日本の新聞社社長たちはどうでしょう。本作でも、CIAやFBIまで大統領の息がかかっていることがわかります。人事を握られた官僚たちは保身のためにどんな嘘でもつくのです。それでも、ワシントンポストの執拗な取材を機に世論が盛り上がり、ニクソンを退陣にまで追い込んだのは、報道の自由と民主主義がかろうじて機能している証左でしょう。

権力は必ず腐る。日本の記者たちにはベン・ブラッドリーの言葉を、そして報道機関たる矜持を胸に、頑張っていただきたいものです。


[参考]町山智浩の映画塾!「大統領の陰謀」<復習編>







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