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ディザスター・アーティスト

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(原題:The Disaster Artist 2017年/アメリカ 104分)
監督/ジェームズ・フランコ 製作/ジェームズ・フランコ、ビンス・ジョリベット、エバン・ゴールドバーグ、セス・ローゲン、ジェームズ・ウィーバー 原作/グレッグ・セステロ、トム・ビゼル 脚本/スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー 撮影/ブランドン・トゥロスト 美術/クリス・スペルマン 衣装/ブレンダ・アバンダンドロ 編集/ステイシー・シュローダー 音楽/デイブ・ポーター
出演/デイブ・フランコ
、ジェームズ・フランコ
、セス・ローゲン
、アリソン・ブリー、アリ・グレイナー
、ジョシュ・ハッチャーソン
、ジャッキー・ウィーバー


概要とあらすじ
“史上最大の駄作”としてカルト的人気を集めた2003年製作の映画「ザ・ルーム」(日本未公開)の製作過程を、「127時間」などの俳優ジェームズ・フランコの監督・主演で映画化。1998年、サンフランシスコ。俳優を目指す19歳のグレッグ・セステロは、演劇クラスでトミー・ウィソーという風変わりな男と出会い、その型破りな言動に興味を抱く。同じ夢を目指す仲間として意気投合した2人は、俳優としての道を切り開くべく一緒にロサンゼルスへ引っ越すことに。しかし現実は厳しく、2人とも成功とは程遠いまま月日だけが過ぎていく。しびれを切らした2人は、自分たちで映画を制作することを思いつき、実行に移すが……。トミーとグレッグをジェームズ・フランコと実弟デイブ・フランコが演じるほか、セス・ローゲン、ザック・エフロン、シャロン・ストーンらが共演。(映画.comより



そういうことじゃないんだよ……

「史上最大の駄作」と言われる『THE ROOM』を自主制作で作り上げた謎の人物、トミー・ウィソーの実態に迫る(?)『ディザスター・アーティスト』

1988年、サンフランシスコの俳優養成所で『ゴドーを待ちながら』を題材にした授業を受けている19歳のグレッグ(デイブ・フランコ
)。彼は俳優を目指しているものの、どうやらアガリ症でうまく演技ができず、演出家からダメ出しをくらってしまいます。「誰でもいいから代わりにやってみるひとはいない?」と演出家が生徒たちに呼びかけると、すっくと立ち上がってステージに向かう男がひとり。それがトミー・ウィソー(ジェームズ・フランコ)でした。長髪でナポレオン・ジャケットを羽織ったトミーは、「ステラー!」と叫ぶとステージ上で悶絶しはじめ、壁によじ登ったりと破天荒。演技もへったくれもなくただ暴れているだけなのですが、その姿を見たグレッグは感銘を受け「君のようになりたい!」と声をかけると、トミーと懇意になるのでした。

トミーのように自信過剰で誇大妄想的かつ楽天的な人物は確かに存在していて、ボクも同じようなタイプの人間に遭遇したことがありますが、概ね夢や希望や精神論なんかの抽象的ななにかを威勢よく語るばかりでまともに働かず努力もせず、実際には、気の優しいひとに寄生してかろうじて生活していたりするものですが、どういうわけかトミーは「無尽蔵の」財力を持っているのです。これが非常に厄介。

高級車を乗り回し、立派なアパートに住んでいるトミー。突然、500km離れたジェームス・ディーンが死んだ場所に行こうと言い出したり、役者になるならLAに行こうと言い出したり(しかもLAにもアパートを所有)する破天荒さに、グレッグは惹かれてしまったのでしょう。しかし、約束の徴として交わす指切りにトミーの幼児性は表れていると思います。

LAに移り住んだトミーとグレッグは、それぞれオーディションに精を出し、グレッグは徐々に演劇の仕事が入ってくるようになりますが、出自不明の訛り(本人はニューオリンズ出身だと言っているけれど)と、とてつもない演技の下手さで相手にされないトミーはすっかり自身をなくします。ああやっと自分の能力のなさに気づいたのかと思っていると、彼はそれを「みんながオレを馬鹿にしている」と、他者(世の中)のせいにしていじけるのでした。さもありなん。慰めるつもりのグレッグは「自分で映画を作ればいいじゃん」と余計なことを口走ってしまいます。するとすっかりその気になったトミーはついに「THE ROOM」という脚本を書き上げるのでした。

演技も映画作りのこともな〜んにも知らないけど金だけは無尽蔵にあるトミーは、撮影機材をレンタルするのではなくすべて購入し、35mmフィルムとデジタルカメラの違いもよくわからないから2台同時に回します。キャリアのあるスタッフも集まってすっかり監督気分ですが、「ハリウッドといえばセット撮影」だとか監督専用のトイレを作ってみたりだとか、とにかくわずかな知識で彼がイメージしている映画作りと監督像に従って行動するので、ま、撮影がうまくいくはずもありません。

恋人ができたグレッグが、居候していたトミーの部屋から出て行くことにキレたトミーは、さらに傍若無人ぶりを激しくします。トミーがゲイだったかどうか定かではありませんが、彼は唯一信頼していたグレッグが自分から離れていくことに我慢ならなかったようす。トミーの夜郎自大な振る舞いは、過剰なさみしがり屋で小心者な性格に由来しているのです。役者やスタッフを乱暴に扱う彼が「キューブリックやヒッチコックも役者に理不尽な要求をしていた!」みたいなことを言い訳にしていますけど、そういうことじゃないんだよ……。離れていこうとするグレッグに対しては「おれがLAに連れてきてやったのに!」と恩着せがましくなる始末。

それでも映画はなんとか完成し、大々的に広告を打って、ついにプレミア上映へ。押しに弱いグレッグもリンカーンに乗せられて映画館に連れて行かれます。そして上映された『THE ROOM』をみた観客たちは、あまりのひどい出来にざわつき始め、徐々にクスクス笑いが広がり、やがて大爆笑から大喝采へと変化していくのです。

いたたまれなくなって劇場から逃げ出したトミーに「ヒッチコックはこんなにウケたか?」というグレッグ。いや、そういうことじゃないんだよ。そういうことじゃないんだけれど、それで気をよくしたトミーはステージに上がって一言「どうでしたか? ボクのコメディは!!」。コメディのつもりで作ったわけじゃないくせに。

その後、現実で『THE ROOM』はカルト映画となるわけです。最終的に本作の主張は、「表現は自由で素晴らしい」「夢見ることの何が悪い」「たとえ結果が悪くてもその熱意をリスペクト」みたいな方向を向いているのですが、果たして本当にこれでいいのでしょうか。

酷すぎてむしろ面白いという映画は確かにあります。しかし、プレミア上映の観客やカルト化されたあとの上映会にこぞって集まる観客たちの「笑い」は、どう考えても嘲笑でしかありません。それをまたトミー本人が「ウケている」と思い込んでしまうから、話がややこしいのです。

冒頭でJ・J・エイブラムスなどの実在の映画関係者が登場し、「こんな映画は作れないよ」みたいなことを言ってましたが、そりゃあそうでしょう。酷い映画なんですから。自分も「『○○』は酷すぎて面白い!」「どんなに酷いか観てやろう」みたいな冷やかしで映画を観てしまうこともあるけれど、それで盛り上がったりむしろ褒め称えたりするのは、逆にトミーを馬鹿にしすぎだし、まるで見世物小屋のようで、やっぱりいい気はしないです。だから本作を観た後で『THE ROOM』を観たいとは思いません。

エンディングでは、本作が『THE ROOM』のシーンをいかに忠実に再現しているかが画面を分割して表され、最後にはトミー・ウィソー本人が登場。なんだか、いたたまれない気持ちになりました。







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