" />
FC2ブログ

アイリッシュマン

irishman.jpg



(原題:The Irishman 2019年/アメリカ 209分)
監督/マーティン・スコセッシ 製作/マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ジェーン・ローゼンタール、エマ・ティリンジャー・コスコフ、アーウィン・ウィンクラー、ジェラルド・シャマレス、ガストン・パブロビッチ、ランドール・エメット、ガブリエル・イスレイロビッチ 原作/チャールズ・ブラント 脚本/スティーブン・ザイリアン 撮影/ロドリゴ・プリエト 美術/ボブ・ショウ 衣装/サンディ・パウエル、クリストファー・ピーターソン 編集/セルマ・スクーンメイカー 音楽/ロビー・ロバートソン 音楽監修/ランドール・ポスター エグゼクティブ音楽プロデューサー/ロビー・ロバートソン 視覚効果監修/パブロ・ヘルマン
出演/ロバート・デ・ニーロ
、アル・パチーノ
、ジョー・ペシ
、レイ・ロマノ
、ボビー・カナベイル
、アンナ・パキン
、スティーブン・グレアム
、ハーベイ・カイテル
、ステファニー・カーツバ


概要とあらすじ
「タクシードライバー」「レイジング・ブル」など数々の名作を生み出してきた巨匠マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロが、「カジノ」以来22年ぶり9度目のタッグを組み、第2次世界大戦後のアメリカ裏社会を生きた無法者たちの人生を、ひとりの殺し屋の目を通して描いた力作。伝説的マフィアのラッセル・バッファリーノに仕えた実在の殺し屋で、1975年に失踪した全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファをはじめ、多くの殺人事件に関与したとされるフランク・“アイリッシュマン”・シーランをデ・ニーロが演じるほか、ジミー・ホッファ役のアル・パチーノ、ラッセル・バッファリーノ役のジョー・ペシと、ハリウッドのレジェンド級俳優が豪華共演する。脚本は「シンドラーのリスト」「ギャング・オブ・ニューヨーク」のスティーブン・ザイリアン。Netflixで2019年11月27日から配信。日本では第32回東京国際映画祭のクロージング作品としても上映。配信に先立つ11月15日から一部劇場にて公開。(映画.comより



レジェンドたちの終活

3時間半という長尺に怖じ気づいて後回しにしていたのですが、やっと観ました『アイリッシュマン』。スコセッシの真骨頂ともいうべき犯罪組織クロニクル。とはいっても、本作の主人公たちはイタリアン・マフィアではなく(マフィアも大いに絡んでくるけれど)、1975年に失踪した全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファを巡る物語です。大統領に次ぐ権力者といわれたジミー・ホッファは、トラック運転手の組合を牛耳ることでアメリカの物流を支配していた超大物なのです。当然、裏では悪行三昧だった彼は突然行方不明となり、いまだに遺体も発見されないままなのですが、彼のボディガードだったフランク・シーランが、長い時を経て「自分がホッファを殺した」と打ち明けたため、世間は騒然となったのです。もちろんフランクの証言でしかないので、真偽は定かではありませんが。

やっぱり話題は、ロバート・デ・ニーロ
、アル・パチーノ
、ジョー・ペシの老優たちの共演。さらにはハーベイ・カイテル
もとなれば、かなり胃もたれする豪華なメンツが勢揃いです。ジョー・ペシにいたってはすでに俳優業を引退していたにもかかわらず引っ張り出されたかたち。スコセッシとアル・パチーノ
が初顔合わせというのは意外でしたが、なんだか若い頃にやっていたバンドのメンバーが老境を迎えて再集結した感があります。

しかし、ただ昔を懐かしむだけの作品ではなく、最先端のVFXを使って皺だらけの顔になった老優たちを若返らせるというチャレンジングな作品でもあります。若干、若返ったデ・ニーロから『龍が如く』的なCG感を感じないわけではありませんでしたが、それでもまったく違和感のないCGメイクに驚きです。ただ、監督を含めた4人が本作について談笑するNETFLIXの番組を観てもわかるとおり、70代の彼らが動くスピードばかりはCGをもってしても若返らせることができなかったもよう。既存曲を多用した演出はまさにスコセッシ節というべきものですが、尺が長いせいか、かつてのテンポと比べると随分ゆったりしていると感じました。これも年のせいか?

トラック運転手のフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ
)は、荷物の牛肉を横流しするようになったのをきっかけに、マフィアのラッセル(ジョー・ペシ)と知り合い、その腕と献身性を買われてやがてジミー・ホッファ(アル・パチーノ)と懇意な間柄になり……という物語は、『グッドフェローズ(90)』の主人公ヘンリー・ヒル(レイ・リオッタ)の半生を描く語り口とほぼ同じ。違うのは、老人ホームにいるフランクが、間近に迫った死を前にして自分の人生を振り返るという点です。それは同時に、アメリカの近現代史を振り返る「裏社会版『フォレスト・ガンプ』」的な要素も含まれます。

ジミー・ホッファが実刑を食らったのをきっかけに、少しずつ組織の秩序がほころびていきます。シミーはあいかわらず「組合はオレのものだ!」と強権を発動していますが、仲間たちはかれの傍若無人ぶりを「心配」し始め、ついにジミーを消す方向へ。そこで不本意な仕事を任されるのがフランク。フランクは、一介のトラック運転手から徐々に待遇がよくなっていくのですが、いつまでたっても結局はボディガードであり、調整役であり、すなわち「パシリ」なのです。伝書鳩のように、ラッセルに言われたことをジミーに伝え、ジミーに言われたことをラッセルに伝えるフランクの立場のなさといったら、気の毒になってきます。最後には、互いに家族同然の信頼関係があったジミーを殺す役目を担わされるのですから。

とはいえ、フランクが数々の悪事を働いてきたことは事実で、それを糾弾する外部の視線として存在したのが、フランクの娘ペギー。フランクは「家族のために」と繰り返しますが、ペーギーを咎めたスーパーの店主をフランクがボコボコにする序盤のシーンで、すでに彼の愛情の歪さが示されています。

かつての仲間はみな他界し、老人ホームでひとり生き残っているフランクはようやく(?)信仰に目覚め、自らの人生を悔いるように。それでも「謝りたい」という彼が「何を?」と聞き返されると、しどろもどろになってしまいます。彼には誰にも言えない秘密が多すぎるのです。

最後は「少し開けておいてくれ」といったドアの隙間から車椅子に乗ったフランクをとらえます。フランクとはじめてホテルの同室に宿泊したジミーも同じことをしていましたし、フランクが銃を品定めするときは、ペギーがドアの隙間からそのようすを覗いていました。「少し開いたドア」は、中にいるものにとっては信頼の証であり、外にいるものにとっては内部(=真実)を知るのぞき窓となります。最後にフランクがドアを閉めさせなかったのは、自分の告白を誰かに(観客に)聞いて欲しかったからではないでしょうか。

脚を痛めたフランクが、杖をつき始め、家の中で転倒して車椅子生活になり、老人ホームに入居してひとりぼっち……という過程が、とても他人事とは思えません。監督、出演者ともども十分に年を重ねてきたからこその「終活映画」のようでした。まあ、今年で90歳になるイーストウッドはまだまだ新作を作り続けているので、みなさんがんばっていただきたいものです。







にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

アーカイブ

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンター