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修羅

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(1971年/日本 135分)
監督・脚本/松本俊夫 原作/鶴屋南北、石沢秀二 制作補/宮川孝至 撮影/鈴木達夫 美術/朝倉摂 音楽/西松文一 録音/太田六敏 照明/海野義雄 編集/岩佐壽彌
出演/中村嘉葎雄
、三条泰子
、唐十郎
、今福将雄
、田村保
、観世栄夫
、松本克平
、江波多寛児
、川口敦子


概要とあらすじ
「東海道四谷怪談」「菊宴月白浪」で知られる鶴屋南北の『盟三五大切』を、「薔薇の葬列」に次いで劇映画の第二目として松本俊夫が脚本・監督した。撮影は「キューバの恋人」「薔薇の葬列」の鈴木達夫がそれぞれ担当。塩治の浪人薩摩源五兵衛は、主君仇討に参加しようと、敵の眼をあざむくため酒色におぼれているように見せかけていたが、芸者小万に対する執心はそれ以上のものがあった。小万もまた腕に「五大力」をほる程に源五兵衛を慕っているかのように見えた…(映画.comより抜粋



クズとバカによるクライム・サスペンス

なかなか気軽に観られない松本俊夫監督『修羅』が早稲田松竹で上映していたので、いそいそと行って参りました。鶴屋南北の原作『盟三五大切』は、『東海道四谷怪談』の姉妹作でもあるとのこと。また、赤穂浪士四十七士=いわゆる忠臣蔵に参加できなかった浪人のお話でもあります。

真っ赤な空に沈んでいく夕陽から始まりますが、カラーなのはこのオープニングのみ。それ以降は全編漆黒の闇の中で物語が進みます。

なにやら慌てふためいて追っ手から逃げている源五兵衛(中村嘉葎雄
)。彼が後ろを振り返るカットが繰り返されます。この手法は本作の中で何度か登場しますが、独特の不気味さを醸し出しています。「御用」と書かれた提灯だけが浮かび上がるショットも幻想的でカッコイイ。源五兵衛がなんとかたどり着いた自宅には死体の山が。

というのは夢オチですが、これはやがて予知夢だとわかります。源五兵衛が目を覚ますと、そこにはいかにも美しい遊女の小万(三条泰子
)がいて、しなだれかかってくるのでした。貧乏の極みで家財道具の一切を売り払ってしまっている源五兵衛は小万にメロメロ。小万も源五兵衛に身受けして欲しがっています。

そこへやってきたのは源五兵衛を慕う家来の八右衛門(今福将雄
)。八右衛門は方々をかけずり回って百両という大金を工面して戻ってきたのでした。その百両とは、源五兵衛が赤穂浪士の仇討ちに加わるために必要な御用金。身を隠すためにあえてぐうたらな生活をしているのだとうそぶいていた源五兵衛も腹を決めるときが来たのです。八右衛門の気持ちを悟った源五兵衛は、すがる小万を追い返し、粛々と傘張りをしているところへ、今度は小万のおつかいだという三五郎(唐十郎)が小万からの手紙を預かったとやってきます。小万にひと目会いに来るよう誘う三五郎、それをたしなめる八右衛門。なんとか小万と縁を切るつもりでいた
源五兵衛でしたが、今夜小万はとある武家に向けされると三五郎から聞いた源五兵衛は、いてもたってもいられなくなり結局小万のもとへと向かってしまうのでした。

いやもう、本当に源五兵衛のだらしなさが目に余る。ほぼほぼコメディだろうと思うほどつねに源五兵衛の心中はぐらんぐらんしているのです。小万が武家に言い寄られているさまを覗いている間も、すたすたと登場して見受け代の百万両をたたきつけ、めでたく愛する小万を連れて帰る妄想を巡らしています。ところが、そんな勇気も気概もない源五兵衛は、無理矢理三五郎に小万の前に連れ出されますが、かろうじて正気を保ち、小万との縁を切るというものの、それならこの場で自決すると凄む小万の勢いに押されて結局大事な大事な百万両を差し出してしまいます。

金を受け取った連中はそそくさと姿を消します。しかし、ひとり残った三五郎はじつは小万には亭主がいます、と。それはオレです、と打ち明けるのでした。なかなか大がかりな美人局。その場に居合わせた連中は全員グルでした。ついさっき、手渡した百万両はまったく意味がないのです。驚く源五兵衛。あまりにバカすぎて笑ってしまいました。

一度は家に帰ったものの、憤懣やるかたない源五兵衛は再び遊郭に舞い戻り、5人を惨殺。白黒ながら、スプラッター描写はなかなか過激です。しかし、かろうじて逃げ延びた三五郎と小万は、三五郎の父親徳右衛門の元へ。三五郎は徳右衛門からの勘当を解いてもらうために百万両が必要なのでした。もとはヤクザだったのかなんなのかわからないけれど、いまは出家している徳右衛門は、匿っている主人船倉宗右衛門が仇討ちに参加するための御用金百万両を必要としていたのでした。

ついに三五郎と小万の住処を突き止めた源五兵衛。とっとと斬り捨ててしまえばいいものを、なぜか毒入りの酒を持参して遠回しに殺そうとします。またしてもふたりの死を妄想する源五兵衛でしたが、小万の兄が奉行所に通報し、お縄になりかけたところで、八右衛門が登場。すべての罪を被った八右衛門は処刑されてしまいます。

この期に及んでやっと一念発起した八右衛門は、三五郎の家を襲撃。小万を惨殺し、さらには生まれたばかりの小万の子供も殺します。持ち帰った小万の生首を前に晩酌する八右衛門の狂気。しかし、そもそも三五郎の父徳右衛門が匿っていた船倉宗右衛門こそが源五兵衛だったのです。つまり、源五兵衛の百万両を三五郎が奪い、三五郎がそれを徳右衛門に渡し、さらに徳右衛門が源五兵衛=宗右衛門に渡すという、そもそもまったく奪い合う必要のない金がぐるぐると動いていただけなのでした。

三五郎と小万は徹底的にクズ、そして源五兵衛は徹底的にバカ。クズとバカによるなんともやるせないクライム・サスペンスです。『薔薇の葬列』のようなエキセントリックさは控えめですが、怪奇映画もしくは内ゲバ映画としてとても引き込まれる作品です。







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