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アナイアレイション 全滅領域

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(原題:Annihilation 2018年/イギリス・アメリカ合作 115分)
監督・脚本/アレックス・ガーランド 製作/スコット・ルーディン、アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライヒ、イーライ・ブッシュ 製作総指揮/デビッド・エリソン、ダナ・ゴールドバーグ、ドン・グレンジャー、ジョー・バーン 原作/ジェフ・バンダミア 撮影/ロブ・ハーディ 美術/マーク・ディグビー 衣装/サミー・シュエルドン・ディファー 編集/バーニー・ピリング 音楽/ベン・サリスベリー、ジェフ・バーロウ 視覚効果監修/アンドリュー・ホワイトホースト
出演/ナタリー・ポートマン
、ジェニファー・ジェイソン・リー
、ジーナ・ロドリゲス
、テッサ・トンプソン
、ツバ・ノボトニー
、オスカー・アイザック
、ベネディクト・ウォン
、ソノヤ・ミズノ
、デビッド・ギヤスィ


概要とあらすじ
「エクス・マキナ」の監督・脚本を手がけたアレックス・ガーランドが「ブラック・スワン」のオスカー女優ナタリー・ポートマンを主演に迎え、SFファンタジー作家ジェフ・バンダミアのベストセラー「サザーン・リーチ」を実写映画化したSFアクションスリラー。不可解な現象が起こる謎の領域「エリアX」がアメリカ国内の海岸地帯に拡大。現地に調査隊が派遣され、元兵士の生物学者レナの夫も加わるが、彼らは音信不通となり行方不明になってしまう。やがてレナの夫だけが生還したものの、瀕死の重傷を負っており昏睡状態に。レナは夫の身に何が起きたのか突き止めるべく自ら調査隊に志願し、エリアX内部の未知の領域に足を踏み入れる。そこで彼女が目撃したのは、生態系の突然変異によって生まれた異様な景色と生き物たちだった。主人公レナをポートマンが演じ、夫のケイン役に「スター・ウォーズ」シリーズのオスカー・アイザック、調査隊のリーダーとなるドクター・ヴェントレス役に「ヘイトフル・エイト」のジェニファー・ジェイソン・リー。Netflixで2018年3月12日から配信。(映画.comより



目的のない自己破壊

タイトルから想像して、宇宙から侵略してきたエイリアンと人類との戦いを描くSFディストピアものだと思っていたら、まったく毛色が違った『アナイアレイション 全滅領域』。ま、SFディストピアものには違いないのだけれど、想像以上に観念的でした。監督・脚本は『エクス・マキナ(2015)』のアレックス・ガーランド。NETFLIXオリジナルなのかと思っていたらこれまた見当違いで、試写の反応が芳しくなかったため、パラマウントが内容(編集?)の変更をガーランド監督に要求したところ、頑として譲らなかったため、配給権がNETFLIXに売却されたとのこと。

医学博士のレナ(ナタリー・ポートマン
)は、任務に赴いてから1年も消息不明の軍人の夫ケイン(オスカー・アイザック
)は戦死したのだと半ばあきらめつつ、愛情が枯れることなく待ち続けています。すると突然ケインは帰ってくるのです。喜びのあまり、彼を抱きしめるレナでしたが、ケインは心ここにあらずでどうも様子がおかしい。やがて、ケインが吐血したため救急車を呼び、慌てて病院へと向かいますが、その行く手を阻むものが現れ、ケインとレナは連れ去られてしまうのでした。

灯台に墜ちたなにかは徐々に拡大を広げ、その一体は「シマー」と呼ばれています。ケインはシマーに向かった調査隊の唯一の生き残りだったのです。対策を講じる施設に連行されたレナは、心理学者のヴェントレス(ジェニファー・ジェイソン・リー
)が率いる新たな調査隊の一員として、女性ばかり5人のメンバーに志願するのでした。

水に浮いた油のように虹色に蠢く壁を越えた先にあるシマー。それはまるでタルコフスキーの『ストーカー』における「ゾーン」のようでもあります。シマーの中では磁石も聞かず、外部との通信も不可能です。一行は多種多様な花が咲いている場所に行き着きますが、その花はひとつの根から生えていることがわかります。あり得ないことが起きている異様な場所であるものの、極彩色に彩られた世界にはなぜか多幸感が漂っています。

ワニや、クマとバッファローを掛け合わせたような動物に襲われたりもしますが、本作は地球外クリーチャーとの戦いを描くものではありません。シマーによって予想外の、場合によっては人類に危害を与えるかもしれないなにかは、人体におけるガン細胞のメタファなのではないかと思いました。ヴェントレスはすでにガンに冒されてもいました。冒頭のレナの講義で、あらゆる生命体はたったひとつの細胞が分裂することによって生まれた……というようなことを語っていましたが、この地球は人体であり、シマーはガン細胞(腫瘍)なのではないか、と思いました。

また、「自己破壊」というワードも登場しました。愛するレナがいるにも関わらず、ケインが生還する希望を持てない任務に就いたこと、そしてレナの浮気も「自己破壊」を希求する本能的な行動なのかもしれません。そこに「目的がない」というのも重要です。本能などよりもさらに先にある生物学的な行動もしくは単なる反応……いかん、馬鹿のくせに踏み込みすぎた。

ついに要所の灯台にたどり着いたレナ。ケインが残したビデオには、白リン弾で自爆するケインのほかに、もうひとりのケインが写っていました。そしてレナの前にも、彼女の動きを模倣する得体の知れない「なにか」が現れます。どうやらこの「なにか」は、レナのDNAを少しずつ学習している最中のよう。ここで「模倣」という行動に遺伝子の継承の意味も含まれているように思われ、それは本作の根源にある細胞分裂の自己破壊とも繋がるようでもあり……。

かろうじてレナが「なにか」から逃れ、外へ脱出すると灯台は火に包まれ、シマーは消滅します。すると、危篤状態だったケインが突然意識を取り戻し、ふたりは久々の再会を果たすことに。ケインが本当のケインではないことはすでにわかっています。しかし、ケインから「君はレナ?」と訊かれたレナも返答を曖昧にします。ふたりの瞳が怪しく光ります。本作の物語は、取り調べを受けるレナの証言によるものなので、とくにレナが「なにか」を倒して生還したというくだりの真相はわかりません。

これ、「オリジナル」とはなんなのか。起源や種のようなものに価値があるのか。なんてところまで掘り下げることができそうな生命体の根源に迫った作品のような気もしますが、なんせ馬鹿なのでこのへんで。生物学の知識のある人はなおさら楽しめるかも。『エクス・マキナ』はAIの物語でしたが、本作も同様にアイデンティティを巡る考察には違いないでしょう。派手なアクションがないにもかかわらず、展開にグイグイ引き込まれました。異世界(?)を表現するビジュアルも斬新で見どころ満載な作品でした。







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