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ジェラルドのゲーム

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(原題:Gerald's Game 2017年/アメリカ 103分)
監督/マイク・フラナガン 製作/トレバー・メイシー 製作総指揮/D・スコット・ランプキン、イアン・ブリック、マット・レビン 原作/スティーブン・キング 脚本/マイク・フラナガン、ジェフ・ハワード 撮影/マイケル・フィモナリ 美術/パトリック・サリバン 美術/リネット・メイヤー 編集/マイク・フラナガン 音楽/ザ・ニュートン・ブラザーズ
出演/カーラ・グギノ、キアラ・オーレリア、ブルース・グリーンウッド、カレル・ストレイケン、ヘンリー・トーマス、ケイト・シーゲル

概要とあらすじ
『ジェラルドのゲーム』(原題:Gerald's Game)は2017年に配信されたアメリカ合衆国のホラー映画である。監督はマイク・フラナガン、主演はカーラ・グギノが務めた。本作はスティーヴン・キングが1992年に発表した同名小説を原作としている。(Wikipediaより



「思ったより小さいわね」

またしても(?)スティーブン・キング原作のNETFLIXオリジナル作品『ジェラルドのゲーム』です。倦怠期を迎えた夫婦がここはひとつ回春! とばかりに、疑似SMプレイに及んだものの、手錠をかけられて身動きが取れなくなった妻がエラい目に遭うというシチュエーション・スリラーです。

弁護士のジェラルド(ブルース・グリーンウッド)ジェシー(カーラ・グギノ)の夫婦は、アラバマ州の人里離れた湖畔の別荘にやってきます。その目的は、停滞しているセックスライフを取り戻すこと。到着早々、バイアグラを飲んで準備万端のジェラルドは、用意していた手錠でジェシーをベッドに拘束し、コトを始めようとします。ジェシーもスリップを新調したりして、この計画には前向きでしたが、疑似とはいえレイプに及ぼうとするジェラルドに嫌悪感を示し抵抗するのです。それでも引き下がらないジェラルド。彼は、レイプのような高圧的なシチュエーションでしか興奮しないタチなのでした。ジェシーが拒否しているにもかかわらず、のしかかってくるジェラルドでしたが、突然胸の痛みを訴えてうめきだし、ベッドから転げ落ちたついでに頭を打って急死してしまうのです。手錠でベッドに繋がれたままのジェシーはどうなんの? というお話。

導入がサクサクしていてとても心地よい。哀れに思って一切れ200ドルの神戸牛を与えた野良犬(首輪はついてるけど)が、開けっ放しだったドアから家の中に侵入し、ジェラルドの死体にかぶりついてきます。と思うと、突如としてすっくと立ち上がるジェラルド。すわ、お前生きてたのかよと思いきや、蘇ったジェラルドはジェシーの脳内で再生されている虚像なのです。やがて彼女自身の虚像も現れ、死を目前にしたジェシーの脳内における葛藤が視覚化されます。幻のジェラルドとジェシーは、あれやこれやと現実のジェシーに語りかけてきますが、なにひとつ実行に移すわけではなく、おちょくったりヒントを与えたりするのが巧みで面白い。派手な演出がないのでじれったく感じるかもしれませんが、絶妙にコントロールされた会話劇が味わえます。

虚像になっても高慢ちきなジェラルドが発した「マウス」という一言によって、ジェシーは記憶の奥に葬り去っていたはずの過去を思い出します。それは、彼女が12歳のとある皆既日食の日。ジェシーの一家は海辺にバカンスでやってきましたが、家族でボートに乗るのを嫌った(初潮の影響か?)ジェシーは、大好きな父トム(ヘンリー・トーマス)と一緒に砂浜のベンチで皆既日食をみることにしたのです。ところが、ジェシーを膝の上にのせたトムは彼女に欲情し、自慰を始めてしまうのでした。

しかし、彼女にとって重要なトラウマになっているのはそのあとの出来事で、父トムは言葉巧みにそのことを秘密にするよう説得し、ジェシーも同意するのです。ジェシーは一連の事件を恐怖に感じながらも、やはり父トムと同じようにペドぎみな父権を振るうジェラルドを選んで結婚してしまったのでした。彼女のファザコンはかなり重傷なのです。

子供の頃にグラスで手を切ったことを思い出したジェシーは、ジェラルドが残したグラスを割って自分の手首を切り、なんとか手錠を外すことに成功。このシーンが本作唯一といっていいゴア描写ですが、かな〜りエグいです。這々の体で車に乗り込み逃げ出したジェシーはかろうじて近隣住民に助けられるのでした。

ここで終わる映画もありそうですが、本作には後日談があります。衰弱していくジェシーの脳内を視覚化したジェラルドとジェシー自身とはべつに、暗がりに出現していた死神のような男は、実在する墓荒らしの変態ジュベール(カレル・ストレイケン)だったのです。

手錠から抜け出した直後、現れたジュベールにジェシーは結婚指輪を渡しました。あれは貢ぎ物なのか、それとも死を免れる代金なのか……わかりませんが、ここで手錠=結婚指輪だったことがわかります。ジェシーは、父親とのトラウマやそれを引きずった挙げ句のマッチョな男との結婚など、あらゆる束縛から文字通り解放されたのでした。手錠というモチーフは、単にSMプレイに用いられる道具ではなく、ジェシーを束縛していたものの象徴であり、そこから抜け出すには、多少の痛みを伴ってでも彼女が自らの人生と向き合う必要があったのです。「守ってくれるべき人がいなくなった」という台詞は、愛すべき父親に対する失望であり、皆既日食(守ってくれるべき太陽=父親が隠れてしまう)という非日常的な現象を通して見事に表現されていると思います。

逮捕されたジュベールが出廷している裁判所に現れたジェシー。すっかり自立した彼女はジュベールを見て一言。「思ったより小さいわね」。あからさまに男(=男根)を侮辱する台詞であり、かつて自分が恐れていたものがさほどたいしたことではなかったと悟ったジェシーの勝利宣言です。

こぶりなシチュエーション・スリラーかもしれないけれど、中身は濃厚な女性解放の物語でした。さすがキング先生。マイク・フラナガン監督にも拍手です。







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