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マリッジ・ストーリー

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(原題:Marriage Story 2019年/アメリカ 136分)
監督/ノア・バームバック 製作/デビッド・ハイマン、ノア・バームバック 脚本/ノア・バームバック 撮影/ロビー・ライアン 美術/ジェイド・ヒーリー 衣装/マーク・ブリッジス 編集/ジェニファー・レイム 音楽/ランディ・ニューマン 音楽監修/ジョージ・ドレイコリアス
出演/スカーレット・ヨハンソン、アダム・ドライヴァー、ローラ・ダーン、アラン・アルダ、レイ・リオッタ、アジー・ロバートソン、メリット・ウェヴァー

概要とあらすじ
「イカとクジラ」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」のノア・バームバック監督が、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーを主演に迎えて描いたNetflixオリジナル映画。女優のニコールと夫で映画監督・脚本家のチャーリーが結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく姿を描いたヒューマンドラマ。結婚生活がうまくいかなくなり、円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、それまで溜め込んでいた積年の怒りがあらわになり、弁護士をたてて争うことになってしまう。ニコール役をヨハンソン、チャーリー役をドライバーが演じるほか、ローラ・ダーン、アラン・アルダ、レイ・リオッタらベテラン実力派俳優が共演。2019年・第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。Netflixで2019年12月6日から配信。日本では配信に先立つ11月29日から、一部劇場にて公開。(映画.comより



「負けず嫌い」もほどほどに

「結婚物語」というタイトルながら、その実、離婚を描いている『マリッジ・ストーリー』。NETFLIXオリジナルだけれども、ちょこっとだけ劇場公開するという、最近よくあるパターン。これはやっぱり映画賞対策なんでしょうか、どうなんでしょう。

離婚&親権争いものといえば、古くは『クレイマー、クレイマー(1979)』がありますが、すぐに思いつくのは『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで(2008)』や『ブルー・バレンタイン(2010)』。もう、その陰惨さたるや、目を覆うばかりのどろどろ離婚劇です。ご多分に漏れず、本作もノア・バームバック監督がかつての妻ジェニファー・ジェイソン・リーとの間における離婚騒動の実体験をモチーフにしています。

すでに離婚を前提として話し合っている、NYの舞台演出家チャーリー(アダム・ドライバー)と女優のニコール(スカーレット・ヨハンソン)の夫婦。まずはカウンセラーの指示に従った彼らは、お互いの好きなところを書き出してレポートにします。ちょっとがさつだけど、無邪気なところが愛おしいニコールと几帳面で才能に溢れるチャーリー。ふたりはそれぞれの短所を補うかのようなナイスカップルです。共通しているのは「負けず嫌い」なところ。

愛し合っていたからこそふたりは結ばれて、ひとり息子を授かったわけで、カウンセラーとしてはふたりの蜜月時代を思い出させて仲を取り持とうとしたわけですが、一度噛み合わなくなった歯車は、そう簡単に元には戻らないのです。

かつて映画出演で名を上げたニコールは、その後パッとしない女優生活を送っていたところチャーリーと出会い、2秒でフォーリンラブ。チャーリーが率いる劇団の看板女優となったのです。ニコールのわずかな名声も手伝って、チャーリーの劇団は徐々に評価を上げていました。しかしその反面、自分がチャーリーの操り人形にすぎないのではないかと鬱屈を感じ始めたニコールは、出身地でもあるLAでのドラマ撮影に参加することを決意するのです。ひとり息子を伴って。

ニコールは、夫チャーリーの束縛から解放されて自己実現を願ったようにみえますが、やっぱり最も腹に据えかねているのはチャーリーの浮気ではないでしょうか。少なくともチャーリーの浮気が彼女に離婚を決意させる最も重要なトリガーになっているのではないかと思います。まあ、浮気はよくないとは思うけどさ。けどさぁ。

で、もうドロドロに関係が悪化するのかと思いきや、チャーリーとニコールのふたりはわりとフェア(という表現が適切かどうかわからないが)で、相手をおとしめてやろうとか財産を奪い取ってやろうとかいう考えはなく、息子を最優先してできるだけ円満にことを治めたいと考えているようす。チャーリーは我慢強く対応しているし、ニコールにいたってはことあるごとに涙を流す始末。このふたり、本当は互いに離婚なんてしたくないのです。

ところが息子を巡る親権問題になってくると法に頼るしかなく、セレブ御用達の弁護士ノーラ(ローラ・ダーン)が登場してから泥沼化。重箱の隅をつついてでも「戦い」を有利に進め、戦利品を獲ようとします。対するチャーリーもレイ・リオッタ扮する腕利き弁護士を立てて対抗します。レイ・リオッタなら暗殺でも気安く請け負ってくれそうですがそれはともかく、チャーリーとニコールの本当の想いとは別に争いが激化していくのでした。

まあ、捉え方はいろいろだと思いますが(ていうか、まれにいただくコメントからすると、女性と男性ではとくに恋愛映画の受け取り方が全然違ったりするので愕然とする)、ボクからすればふたりは未だ愛し合っている状態にみえました。チャーリーが電動式門扉を修理してやったり、ニコールがチャーリーの髪を切ってやったり、なんだかんだとお互いが信頼しつつ頼り合っているように思えます。これらの描写のことを、TBSラジオ『たまむすび』の解説で町山智弘氏は「やっぱりいままで家族だったわけだから、どんなに嫌いになってどんなに憎んでも、完全にその愛はゼロにはならないんですよ。」とおっしゃってましたが、離婚経験者のボクから言わせると……そうでもないっすよ。自分の場合は、かつての「相手」に対する愛はゼロどころか著しくマイナス。二度と顔も見たくないし、再び髪や身体に触れる(触れられる)ことを想像するだけでもぞっとします。

『ブルー・バレンタイン』では、よりを戻そうとする夫(ライアン・ゴズリング)にセックスを求められた妻(ミシェル・ウィリアムズ)は、拳を握って耐えていました。たとえ元は愛し合った夫婦でも、一旦嫌いになるとそれはそれは生理的に受け付けなくなるのです。それに比べると、チャーリーとニコールのふたりはまだまだ復縁の余地ありと思えるのですが、どうでしょう。これも男の独りよがりなのかな? だとしたら、そういうちょっとでも気を持たせるようなことはやめてくんないかな。ラストシーンでは、ニコールがほどけたチャーリーの靴紐をわざわざ駆け寄って結んでやりますが、すでに愛情がない別れた夫にそんなことしますかね? 少なくともチャーリーとニコールのふたりの場合は、そのくらいの愛情が残っていたということではないでしょうか。だから、お前らとっとと仲直りしてだな……。

まあ、ノア・バームバック監督の実体験に基づいているとはいうものの、息子も妙にママにべったりだったりして、いかにもチャーリーが理不尽な状況に翻弄されている印象が強いし、元妻(ジェニファー・ジェイソン・リー)の言動に対する受け止め方も監督が「好意的に」脳内変換した結果によるものの可能性は否定できません。

あくまで本作はちょっぴりビターなコメディとして観るのがいいのでしょう。それはともかく、ここぞというシーンで見せる長回しによるスカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーの演技は見事でした。ふたりがののしり合うシーンも壮絶でしたが、もっと早い段階で本音をさらけ出していれば、ここまでこじれることはなかったのにね、という相思相愛ぶりなだけに、「負けず嫌い」もほどほどにしないとなといったところ。







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