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ドクター・スリープ

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(原題:Doctor Sleep 2019年/アメリカ 152分)
監督・脚本/マイク・フラナガン 製作/トレバー・メイシー、ジョン・バーグ 製作総指揮/ロイ・リー、スコット・ランプキン、アキバ・ゴールズマン、ケビン・マコーミック 原作/スティーブン・キング 撮影/マイケル・フィモナリ 美術/メイハー・アーマッド 衣装/テリー・アンダーソン 音楽/ザ・ニュートン・ブラザーズ
出演/ユアン・マクレガー
、レベッカ・ファーガソン
、カイリー・カラン
、カール・ランブリー
、ザーン・マクラーノン
、エミリー・アリン・リンド
、ブルース・グリーンウッド
、ジョスリン・ドナヒュー
、アレックス・エッソー
、ビリー・フリーマンクリフ・カーティス


概要とあらすじ
スタンリー・キューブリック監督がスティーブン・キングの小説を原作に描いた傑作ホラー「シャイニング」の40年後を描いた続編。雪山のホテルでの惨劇を生き残り大人へと成長したダニーを主人公に、新たな恐怖を描く。40年前、狂った父親に殺されかけるという壮絶な体験を生き延びたダニーは、トラウマを抱え、大人になったいまも人を避けるように孤独に生きていた。そんな彼の周囲で児童ばかりを狙った不可解な連続殺人事件が発生し、あわせて不思議な力をもった謎の少女アブラが現れる。その力で事件を目撃してしまったというアブラとともに、ダニーは事件を追うが、その中で40年前の惨劇が起きたホテルへとたどり着く。大人になったダニーを演じるのはユアン・マクレガー。監督・脚本は「オキュラス 怨霊鏡」「ソムニア 悪夢の少年」やキング原作のNetflix映画「ジェラルドのゲーム」といった作品を手がけてきたマイク・フラナガン。(映画.comより



監督、おつかれっした。

不朽の名作『シャイニング』の40年後を描く『ドクター・スリープ』。最近、旧作の続編とかリブートとかが大量に作られておりますが、『シャイニング』の続編というのは無謀といえるほどハードルが高い。『シャイニング』を上回る、もしくは肩を並べる続編を作るのは至難の業……というよりも、『シャイニング』と比較すること自体が酷なことではないでしょうか。自ずから「あの『シャイニング』の続編だ!」と期待を膨らますわけでもなく、どんなことをやったんだろうなーくらいの気軽さで観て参りました。その結果、本作は決してキューブリック版『シャイニング』の続編ではないと思いました。

原作者スティーブン・キングがキューブリック版『シャイニング』を嫌悪していたというのは有名な話。その大きな理由はダニーの持つ能力「シャイン」に対する説明がないことと、ジャックの葛藤から狂気に至るまでの背景が描かれていないということ。それならばと、自らTVドラマ版を製作もしています。家族とくに父親にまつわるトラウマというのはキング作品の重要なモチーフですから。

ファンから「ダニーのその後はどうなったんですか?」と聞かれたキングが書いたのが、『ドクター・スリープ』。なんと、キューブリック版『シャイニング』の設定を完全に無視したキング初の続編です。で、その『ドクター・スリープ』を映画化するとなったときに、キューブリック版『シャイニング』を無視するのも無理があるというもの。そこで、ビジュアル的にはキューブリック版『シャイニング』を受け継ぎつつ、『ドクター・スリープ』に込められたキングの意志を表現するという難題を果たすために白羽の矢が立ったのが、マイク・フラナガン監督です。彼はキング原作のNETFLIXオリジナル作品『ジェラルドのゲーム』を監督しており、ほかのキング作品にも精通しているとかで、これ以上ない適役なのかもしれません。

何度も目にした『シャイニング』のシーンは、「オーバールック・ホテル」でのクライマックスこそふんだんに登場しますが、序盤はとても控えめ。スピルバーグの『レディ・プレイヤー1』のほうが再現度が高く、よりフェチシズムを感じます。それでも、おなじみ六角形模様のカーペットの上を三輪車でキコキコ走り回る幼いダニー・ロイド、母親役のシェリー・デュヴァルやハロランなど、俳優たちが絶妙に似ていてニンマリします。

『シャイニング』で「オーバールック・ホテル」から逃げ出したダニー(ユアン・マクレガー
)は、すっかり中年のやさぐれたアル中になっておりました。ジャックに殺されたハロラン(カール・ランブリー
)は、今でも魂(霊?)となってダニーの指南役としてアドバイスをしています。

仕事を求めて(というか何かに導かれるようにして)バスに乗ったダニーは、到着してすぐに親切なビリー(クリフ・カーティス)に助けられ、仕事と住まいを見つけます。ところが、以前の居住者のために黒板仕様にしていた部屋の壁に覚えのないメッセージが。それはダニー同様に強力な「シャイン」を持つ少女アブラ(カイリー・カラン
)からのものでした。

断酒セラピーに参加したダニーは、ジョン・ダルトン医師(ブルース・グリーンウッド=『ジェラルドのゲーム』のSM夫)に「シャイン」の片鱗を見せ、ターミナルケアでの職に就きます。そこで彼は忌の際にいる老人に安らぎを与える「ドクター・スリープ」となるのです。8年の時が経ってアル中抜けに成功したダニーは、表彰式の場で、自分と同じようにアル中となった挙げ句に狂ってしまった父親ジャックに対する憐憫を語ります。このあたりこそが、キングが『シャイニング』で語りたかったことなのでしょう。

かたや、ヒッピーのようなサイコ集団が暗躍。魔女ローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン
)をリーダーとする彼らは、「シャイン」を持つ人間(できれば新鮮な子供)をさらっては、彼らの生気を吸い、そのおかげで何百年も生きながられている幽霊というか妖怪というか、とにかくバケモンなのです。口からたちあがるこの生気というやつが、まるで水パイプみたいでいかにもヒッピーちっく。というか、口臭は気にならないのでしょうか。映画館でひとり美人局をやっていた15歳のスネークバイト・アンディ(エミリー・アリン・リンド)を仲間に連れ込んだローズたちは、「シャイン」らしき能力を持った子供を見つけては誘拐し、生気を吸い取っては殺していたのでした。仲間に入れるのか、殺しちゃうのかの判断基準はいまいちよくわかりませんでしたが、それはともかく、自分が口にした言葉通りに相手を操れるアンディの能力って無敵じゃね?

ローズたちの凶行を「シャイン」で察知したアブラは、彼らを阻止しようと行動を始め、ダニーにも協力を求めます。そして始まるサイキック・バトル!! もうすっかり『シャイニング』のテイストをかなぐり捨てていて、むしろ清々しいです。ていうか、このくらい思い切って切り離すほかやりようがなかったのかも。アブラを演じるカイリー・カランが可愛いし演技も素晴らしくて、それなりに楽しいのですが、あえて苦言を呈すると、サイキック・バトルの表現に新鮮みがなかったこと。あいかわらず超能力者が能力を使うときには目に力を込めたり、『ストレンジャー・シングス』みたいに鼻血を出したりしています。なにかしら目に映る表情や動作で力を使っている感じを出さないといけないのでしょうけど、もうそろそろ新しい表現の仕方がないものでしょうかね。あと、バケモンヒッピーたちとの銃撃戦がありましたけど、あ、銃使うんだ……とは思いました。

最後は「オーバールック・ホテル」でのクライマックス。ここに来ちゃうとね、そりゃキューブリック版『シャイニング』をなぞるしかありませんよ。そもそもこのホテルは、ネイティブ・アメリカンの悪霊に呪われていてという裏設定は無視されていましたけど、まあ、仕方ないんじゃないでしょうか。バーでダニーにウイスキー(=ジャック・ダニエル)を呑まそうとするバーテンダーがジャック・ニコルソンになかなか似ているなと思っていたら、なんと彼は『E.T.』の主役ヘンリー・トーマス! 老けたね!(当たり前か) 階段でローズに詰め寄られたダニーが斧を振り回しながら後退するシーンが、『シャイニング』と男女逆になっていてニンマリしましたけれども、超絶有名なエレベーターのドアの隙間から大量の血が流れ出すのを目の当たりにしたローズが、あーはいはいテな感じでニヤッとするのは興ざめでした。そういえば、ローズが引き出しに挟まれた手を引き抜くときに皮がめくれ上がるような演出は、『ジェラルドのゲーム』でもありましたが、好きなのかな? それともセルフパロディ的な?

繰り返しますが「『シャイニング』と比べると……」なんてことを考えなければ、それなりに楽しい作品に仕上がっていると思います。キング先生も本作の出来にご満悦のようなので、マイク・フラナガン監督、おつかれっした。







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