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キング・オブ・コメディ

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(原題:The King of Comedy 1983年/アメリカ 109分)
監督/マーティン・スコセッシ 製作/アーノン・ミルチャン 製作総指揮/ロバート・グリーンハット 脚本/ポール・D・ジマーマン 撮影/フレッド・シュラー 編集/セルマ・スクーンメイカー 音楽/ロビー・ロバートソン
出演/ロバート・デ・ニーロ
、ジェリー・ルイス
ダイアン・アボット
、サンドラ・バーンハード
、シェリー・ハック


概要とあらすじ
「タクシードライバー」「レイジング・ブル」のマーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロ主演によるブラックコメディ。コメディアン志望の青年ルパートは、有名コメディアンのジェリーに接触し自分を売り込もうとするが全く相手にされない。そこでルパートは、ジェリーの熱狂的ファンである女性マーシャと手を組んでジェリーを誘拐し、自らのテレビ出演を要求するが……。ジェリー役に往年の名コメディアン、ジェリー・ルイス。(映画.comより



夢か現か「炎上商法」

『ミーン・ストリート(73)』『タクシードライバー(76)』『レイジング・ブル(80)』と続いてマーティン・スコセッシロバート・デ・ニーロとタッグを組んだ『キング・オブ・コメディ』。『ジョーカー(2019)』の元ネタといってもいい作品です。

スタンドアップ・コメディアンのジェリー・ラングフォード(ジェリー・ルイス)は出待ちのファンが殺到するほど超人気者。テレビ番組の収録を終えて帰宅する車に乗り込むのも一苦労。「私の手紙を読んでくれた?」とわめきながら車に乗り込んでくる熱狂的なファンであるマーシャ(サンドラ・バーンハード)を追い払うひとりの男ルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)。車に閉じ込められたマーシャの手をストップモーションでみせるアヴァンタイトルがかっこいい。

マーシャのかわりにジェリーの車に乗り込んだコメディアン志望のルパートは、あいきらかに迷惑がっているジェリーを意に介せず、超積極的に自分を売り込みます。自分には「笑いの才能」があるのだと。

自分の才能にだけはまったく疑いを持たないルパートの狂気がただただエスカレートしていきます。その姿は、当然『タクシードライバー』のトラヴィスと重なります。少し違うのは、トラヴィスは鬱屈を貯め込んだ挙げ句に「正義」に突き動かされ、それが日々虐げられている市井の人々の社会的な不満の発露を代弁するかのようだったのに対し、ルパートの狂気はあくまで自分本位で身勝手だということ。ルパートが世に認められていないのは、彼の高すぎる自意識と怠慢、そして才能のなさが原因です。

こんな頭のおかしいやつが本当にいるのかとお思いの方もいるかもしれませんが、いるんです。ボクは、経験も実績も技術も才能もないのになぜか自信満々で、面と向かって平気で嘘をつく人間を雇っていた経験があります。採用を決めるときには「まさかそんなバカな人間がいるわけない」と思っていたからです。その後、重大な信用を損なう事案が発生したのでクビにしましたが、このような人には地道に勉強し実績を積んで少しずつキャリアアップするという発想がなく、才能のある(自己判定)自分が世間に認められないのは不当だと考えるのです。

鏡を前にしたトラヴィスと同様に、ルパートも自宅でひとり芝居に興じています。ネタの練習でもしていればいいのですが、自室にトークショーの張りぼてを作ってゲストに呼ばれた自分の妄想に浸っているのです。トラヴィスよりルパートのほうが狂気の度合いがより深いのではないでしょうか。しかもルパートは、同居している(らしい)母親からトークショー・オ○ニーを邪魔され、彼の幼稚さが強調されます。

ジェリーの事務所に足繁く通い、休暇中のジェリーの別荘にまで押し掛けるようになったルパート。いつまでたっても名前すら覚えてもらえない彼はいつしか警備員に追い出され、ついにジェリー誘拐へと至るのです。

ジェリーを人質に取ったルパートは、その引き替えにテレビ番組への出演を求めます。あっけらかんと犯行を認めるルパートに対する警察の対応が甘すぎるような気がしないではありませんが、ともかく彼は番組出演を果たすのです。自分の荒んだ生い立ちをジョークにして話すルパート。観客にはそこそこ受けています。番組放送に合わせて愛するリタ(ダイアン・アボット=デ・ニーロの最初の妻)が務めるバーへと急ぎ、「おれはキングだ」とアピールするルパート。

その後ルパートは逮捕されましたが、服役中に書いた自伝がベストセラーになり、出所後は念願の人気者になりましたという皮肉。ただ、このエンディングそのものがルパートの妄想である可能性は否定できません。仮に現実の顛末だったとしたら、ショービジネスというものが実力や才能に裏付けられた世界ではなく、話題性のみによって支えられているという揶揄を感じます。夢か現か、プロセスはどうあれ、有名にさえなればOKというルパートの「炎上商法」は現代にも通じるのではないでしょうか。







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