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午後8時の訪問者

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(原題:La fille inconnue 2016年/ベルギー・フランス合作 106分)
監督・脚本/ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ 製作/ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ ドゥニ・フロイド 製作総指揮/デルフィーヌ・トムソン 撮影/アラン・マルクーン 美術/イゴール・ガブリエル 衣装/マイラ・ラメダン・レビ 編集/マリー=エレーヌ・ドゾ
出演/アデル・エネル、オリビエ・ボノーオリビエ・ボノー、ジェレミー・レニエジェレミー・レニエ、オリビエ・グルメオリビエ・グルメ、ファブリツィオ・ロンジョーネファブリツィオ・ロンジョーネ

概要とあらすじ
「ロゼッタ」「ある子供」でパルムドールを受賞し、カンヌ国際映画祭の常連として知られるベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督作品。ある日の夜、診療受付時間を過ぎた診療所のドアベルが鳴るが、若き女医のジェニーはそのベルに応じなかった。しかし翌日、身元不明の少女の遺体が診療所近くで見つかり、その少女が助けを求める姿が診療所の監視カメラに収められていた。少女はなぜ診療所のドアホンを押し、助けを求めていたのか。少女の死は事故なのか、事件なのか。そして、ジェニーはなぜドアホンに応じなかったのか。さまざまな疑問が渦巻く中、ジェニーは医師である自身の良心や正義について葛藤する。主人公のジェニー役を「スザンヌ」のアデル・エネルが演じ、ジェレミー・レニエ、オリビエ・グルメ、ファブリツィオ・ロンジョーネらダルデンヌ兄弟作品の常連俳優たちが脇を固める。(映画.comより



最も難しいこと

ある子供(05)』や『サンドラの週末(14)』などのダルデンヌ兄弟による『午後8時の訪問者』。ダルデンヌ兄弟らしい、市井の人々によるささやかな機微や諍いを繊細に描いた作品です。

体調を崩した高齢の医師の代理として小さな診療所に勤めることになったジェニー(アデル・エネル)。そつなく仕事をこなし、患者からの評判もよさそうですが、彼女の助手を務める研修医ジュリアン(オリヴィエ・ボノー)はなにやら気に入らないようす。てんかんの発作を起こした少年を目の前にしてなにもできずに立ちすくんでしまい、ジェニーに至らないところを指摘されるとむくれて、帰ってしまいます。なんというクソガキだと思っていると、診療時間を1時間以上過ぎた午後8時、診療所のベルが鳴るのです。ジェニーは時間外だからと、迎えでようとするジュリアンを制止してしまいます。結果的に、そのベルを鳴らした少女は翌朝工事現場で遺体となって発見されるのでした。

あのとき自分がドアを開けていれば……という自責の念に駆られたジェニー。しかし、医者もひと。聖人ではないし、間違いも犯します。夜になれば寝るし、診療時間を問わず突然やってくる患者のために常に待機しているわけにもいきません。それでもジェニーはその少女を死なせてしまったのは自分に責任があると考え、身元不明のまま葬られる少女の「名前を知る」ために探偵まがいの捜査に乗り出してしまうのでした。

防犯カメラにとらえられた少女の写真をスマホに入れて、彼女を知っている人物を探すジェニー。その姿はいかにも危なっかしい。真相に近づけば近づくほどジェニーは危険にさらされるようになります。劇判がないドキュメンタリーちっくな演出が非常に緊張感を高めます。

やがて、自分が診療している少年から目撃情報を得たジェニーは、気色の悪い同調圧力のようなものに直面。彼女をあからさまに恫喝してくるものまで現れます。娼婦だったらしい被害者と関わりがあった人間たちは、ことごとく少女と事件を忌避しているのです。

それでも、ジェニーの危なっかしい追求に触発された人々は、やはり自責の念に駆られて苦しみ、ぽつりぽつりと少女にまつわる証言をしはじめます。結果的に、少女と最後に会っていたのはジェニーの患者であるブリアンの父親でした。しかし、彼とてその少女を意図して殺したわけではありません。だからこそなおさら彼らは責任逃れを繰り返し、それ故に少女の記憶に苦しむことになるのです。

恐ろしいのは、ジェニーは捜査にいったネットカフェの受付嬢が、じつは死んだ少女の姉だったということ。ジェニーが見せたスマホの少女の写真を見れば、すぐに自分の妹だとわかったはずですが、まったく表情を変えずにしらばっくれていたのがおぞましい。とはいえ、のちに彼女はジェニーの元を訪れて真相を明かしました。妹に対する嫉妬があったと。

これは冒頭でジェニーがマウントを取ろうとして研修医ジュリアンに対してキツくあたったことと対比されます(ま、だからといってジュリアンは繊細すぎると思うが)。診療所で寝泊まりしはじめ、ひっきりなしに患者から直接電話がかかってくるジェニーが疲弊しないか心配ですが、彼女は正義感によって行動しているのではなく、懸命に事実に忠実かつ真摯であろうとしているように思いました。しかし、それこそが最も難しいことなのではないでしょうか。







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