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アースクエイクバード

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(原題:Earthquake Bird 2019年/アメリカ 106分)
監督/ウォッシュ・ウエストモアランド 製作/リドリー・スコット、ケビン・J・ウォルシュ、マイケル・プラス、アン・ロアク、ジョージナ・ポープ 製作総指揮/磯村健治 原作/スザンナ・ジョーンズ 脚本/ウォッシュ・ウエストモアランド 撮影/チョン・ジョンフン 美術/種田陽平 衣装/小川久美子 編集/
ジョナサン・アルバーツ 音楽/アティカス・ロス、レオポルド・ロス、クラウディア・サーン
出演/アリシア・ヴィキャンデル、 ライリー・キーオ 、小林直己、ジャック・ヒューストン、祐真キキ、佐久間良子、岩瀬晶子、山村憲之介、室山和廣、クリスタル・ケイ

概要とあらすじ
「リリーのすべて」「トゥームレイダー ファースト・ミッション」のアリシア・ビカンダーが主演、1980年代の日本を舞台に描いたNetflixオリジナル映画。原作は、日本在住経験のあるイギリス人作家スザンナ・ジョーンズの同名小説。日本人の写真家と恋に落ちた外国人女性が、三角関係に悩まされ、行方不明の末に殺された友人の殺人容疑をかけられてしまう様子を描いたサスペンスミステリー。ある時、日本で暮らしていた外国人女性リリーが行方不明になり、やがて死体となって発見される。友人であるルーシーに容疑がかけられるが、2人の女性の間にはミステリアスな日本人カメラマン、禎司の存在があった。主人公ルーシー役をビカンダー、友人リリー役に「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」のライリー・キーオ、鍵を握る日本人カメラマンの禎司役に「EXILE」「三代目 J Soul Brothers」の小林直己。監督は「アリスのままで」のウォッシュ・ウエストモアランド、製作にリドリー・スコット。Netflixで2019年11月15日から配信。日本では配信に先立つ11月8日から、東京・アップリンク渋谷ほかにて劇場公開。(映画.comより



旅行系Youtube動画?

日本を舞台にした『アースクエイクバード』を眉に唾しながら見てみました。Netflixオリジナルだから配信だけなのかと思っていたら、劇場公開もされていたんですね。これからこういうパターンが増えていくんでしょうか。

1989年という微妙な時代設定は原作に則ったものなんでしょうか。野暮ったい衣裳で30年前の日本を再現しようとする努力が窺えます。それはともかく、地下鉄に乗って会社に出勤するルーシー(アリシア・ヴィキャンデル)。スウェーデン生まれの彼女は日本で翻訳の仕事をしているのですが、彼女が担当しているのは本作のプロデューサーでもあるリドリー・スコット監督の『ブラック・レイン』の字幕。『ブラック・レイン』の公開は同じ1989年……。今頃翻訳作業をやってて間に合うのか! とちょっと心配になりました(『ブラック・レイン』の映像使用料はタダだったんだとか。リドリー太っ腹!)。

新聞では、東京湾で女性の死体が発見されたことを伝えるニュースが。同僚の日本人女性が「もしかしてこれ、リリーじゃないの?」なんつってると、警察が現れ、リリーと友人だったルーシーは参考人として連行されるのでした。リリーは行方不明なのです。

取調室では、リリーと最後に会ったのはルーシーだとして強引に彼女に尋問します。この取り調べシーンは何度か登場しますが、本当に酷いと言わざるを得ません。ルーシーを演じるアリシア・ヴィキャンデルは、かなりの訓練を重ねて日本語の発音や台詞回しを習得したそうですが、問題は彼女の日本語が片言なことでではなく、日本人刑事ふたりの演技と演出です。「なんだ、日本語話せるのか?」みたいなことは「ガイジン」あるあるなんでしょうけど、彼らの台詞そのものもネイティブな日本人とは思えない、非常に居心地の悪いヘンテコな言葉遣いなのです。ていうか、東京湾に浮かんだ死体がリリーだと断定されたわけでもなく、最後に会っていた(というのもどうやって調べたのか。死体は発見されたばかりだし、なにしろリリーは行方不明なのに)からといって、あんなに高圧的に尋問する状況が理解できません。もしかしたら、このような理不尽で不可解な扱われかたも日本における「ガイジン」あるあるのひとつなんでしょうか。まあ、日本生まれ日本育ちであっても、顔が「ガイジン」というだけで職務質問を受ける国ですからね。

で、ルーシーの回想形式(供述の映像化かもしれないが)で物語が進んでいくのですが、時間軸の交錯の仕方もいまいちぼんやりしていて語り口が立体的でないため、興味を持続するのが非常に困難なのはさておき、カメラマン……というか、ただカメラが趣味だという蕎麦屋の店員、禎司(小林直己)とルーシーは出会うのです。小林直己という人は「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」のメンバーだそうですね。三代目魚武濱田成夫とは関係あるんでしょうか。ないですね。

ま、そんなことはどうでもいいのです。一目会ったその日から恋の花咲くこともあったルーシーは、そのまま禎司が働いているという蕎麦屋へ(仕事するのかと思ったらソバ食うんかい)。そしてそのまま、お決まりのサイバーパンクちっくな掘っ建て小屋にある禎司のアトリエ兼自宅へ。ふたりはやんわりとつきあい始めるのでした。

禎司は謎めいているといえば聞こえはいいけれど、ただスカしているだけのフリーターにしか見えません。それでもルーシーは禎司にぞっこん。わからないものです。禎司があまりにも謎めいているもんだから、ルーシーは禎司のアトリエに忍び込み、鍵がかかった引き出しをクリップを使っていとも簡単に開き(なぜそんな技術を…)、禎司のかつての恋人の写真を発見します。そこへ蕎麦屋の仕事を抜け出した禎司が帰ってきて、ルーシーを咎めるのですが、禎司はすぐさま蕎麦屋の仕事へと戻っていきます。え? じゃあ禎司はなんのためにアトリエに帰ってきたの……? まあ、いいや。とにかくふたりは徐々に親密になっていくのですが、日本に来たばかりの奔放なリリー(ライリー・キーオ)がふたりの関係に亀裂を生むのです。

基本的にはルーシーが募らせる嫉妬心を推進力に物語が進んでいきます。禎司とリリーの関係を怪しんだルーシーは、再び禎司のアトリエに忍び込んで、ファイルの中からリリーがアトリエの床に横たわって死んでいる写真を発見します。リリーを殺したのは禎司だということになり、証拠となる写真を警察に届けようとするも担当刑事は留守。仕方なく自宅に帰るとそこには禎司がいたのでした。禎司はルーシーの部屋には来ないはずだったのに、どうやって入ったんでしょうか。あいかわらずスカしていた禎司でしたが、ルーシーの「もう終わり」という一言に突然逆上。ルーシーの首を絞めますが、ルーシーは傍らにあった金魚鉢で禎司の頭をかち割り、禎司はノックダウン。こういう最後の反撃に出るアイテムって結構重要だと思うので、この金魚鉢ももうちょっと丁寧に伏線をひいてほしかったところ。縁日デートで禎司に買ってもらった金魚だったとか、どうですか? 社長。

ていうか、なにがミステリーになってサスペンスになっているのか、さっぱりわからないし、ちっともドキドキしないまま物語が進んでいくので、禎司はサイコパスでした〜的な唐突な幕引きに開いた口がふさがりませんでした。少し遡れば、自責の念に駆られすぎなルーシーが、取り調べで「リリーを殺したのは私です。レンガで殴りました」と自白したあと、東京湾で見つかった死体はリリーじゃなかったことが判明し、無罪放免。この取り調べ自体がなんだったんだよと混乱するばかりです。リリーの死体が見つかった→ルーシーのものとわかるモノを死体が所持していた→ルーシーが犯人か? なら、まだわかるけど。

冒頭に、眉に唾しながら観始めたと書きましたが、やっぱりどうしても抜けきらないオリエンタリズムに辟易しました。蕎麦、カラオケ、赤提灯が並ぶ飲み屋街、東京タワー、富士山(「日本最高〜!」)、混浴風呂、振り袖……。まるで旅行系Youtuberの動画を観ているよう。原作者も監督も日本に滞在していた経験があるそうで、日本好きがあだになった気がしないでもありません。そうかと思えば、ルーシーが暮らすアパートがしょぼい外観のわりには中は一軒家かよと思うほど広かったり、たとえ1980年代だったとしても現実の東京とは思えないシチュエーションが多く、いちいちひっかかりました。で、佐渡の祭りねぇ。困惑する主人公が異国の地の土俗的な祭りのなかを彷徨うシーンって、何度観たことか。それでも、駅の雑踏なんかは、どうやって撮ったんだろうと感心しましたが。

展開的にも、ライブの帰り道でルーシーが、14歳のころ友達の父親にレイプされ、その後その父親は溺死体で発見されたという、ディープな話を唐突かつあっさりと打ち明けるし、6人もいる兄弟のうちひとりを誤って死なせてしまったという過去のエピソードも、思いのほか軽い。その後居たたまれなくなったルーシーは家族から離れるために11歳から日本語の勉強を始めたとのことですが、なぜ日本なのか……なんてことはさっぱりわからないし、11歳から始めたわりにはたどたどしい日本語だなとは思いました。ルーシーの右頬にある傷は、なにやら撮影に入る前にアリシア・ヴィキャンデルが本当にケガをしてできた傷だそうで、それをそのまま脚本に生かしたそうですが、余計な要素になっている気がします。あと、佐渡に行ったときにルーシーのクビにできた発疹はなんだったの? さらに、恋人同士+1の3人で行った旅行で布団をくっつけて雑魚寝するかね? しかも+1を真ん中にして?

タイトルの「アースクエイクバード」とは、地震の後に聞こえる鳥のさえずりだそうですが、日本にそんな伝説があるわけでもないし、なんだかなといった感じ。本作では小さい地震が2回起きるだけだし、何かを象徴しているようには思えません。せめてグラスのひとつでも割れればいいのに。それこそ、金魚鉢が倒れて床で金魚がペチペチとか。

エピソードやモチーフは盛りだくさんなわりに、それらが有機的に絡み合っているとは思えませんでした。それにしても、ルーシーが自分のせいで死なせてしまったと思っていた山本さん(佐久間良子)が階段から転落したのは、じつはワックス塗り立てだったからかも……て。バナナの皮的な? 脱力するわ。







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