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アド・アストラ

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(原題:Ad Astra 2019年/アメリカ 123分)
監督/ジェームズ・グレイ 製作/ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー、ジェームズ・グレイ、アンソニー・カタガス、ホドリゴ・テイシェイラ、アーノン・ミルチャン 製作総指揮/マーク・バタン、ロウレンソ・サンターナ、ソフィー・マス、ユー・ドン、ジェフリー・チャン、アンソニー・モサウィ、ポール・コンウェイ 脚本/ジェームズ・グレイ、イーサン・グロス 撮影/ホイテ・バン・ホイテマ 美術/ケビン・トンプソン 衣装/アルバート・ウォルスキー 編集/ジョン・アクセルラッド、リー・ハウゲン 音楽/マックス・リヒター 音楽監修/ランドール・ポスター、ジョージ・ドレイコリアス
出演/ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、リブ・タイラー、ドナルド・サザーランド、キンバリー・エリス、ローレン・ディーン、ドニー・ケシュウォーズ

概要とあらすじ
ブラッド・ピット主演で、太陽系の遥か彼方で消息不明となった父親を捜しに旅立つ宇宙飛行士の姿を描いたSF大作。地球外生命体の探求に人生をささげ、宇宙で活躍する父の姿を見て育ったロイは、自身も宇宙で働く仕事を選ぶ。しかし、その父は地球外生命体の探索に旅立ってから16年後、地球から43億キロ離れた海王星付近で消息を絶ってしまう。時が流れ、エリート宇宙飛行士として活躍するロイに、軍上層部から「君の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。さらに、父が進めていた「リマ計画」が、太陽系を滅ぼしかねない危険なものであることがわかり、ロイは軍の依頼を受けて父を捜しに宇宙へと旅立つが……。主人公ロイをピット、父親であるクリフォードをトミー・リー・ジョーンズが演じた。リブ・タイラー、ルース・ネッガ、ドナルド・サザーランドが共演。監督は「エヴァの告白」のジェームズ・グレイ。(映画.comより



宇宙と家族と

映画評論家に「ストーリーも演技も非の打ちどころのない完璧な作品だ」(The Hollywood Reporter)とまで言わしめる『アド・アストラ』。つい最近、ブルース・リーをのしたばかりのブラッド・ピットが繊細な(?)演技を披露してくれています。

少し先の未来。宇宙飛行士のロイ・マクブライド(ブラッド・ピット)は、すんごく高い場所で仕事をしています。機機に故障が発生したということで修理に向かうロイたち。はるか下の地上を見下ろすショットに金玉が縮み上がります。ところがそこで更なる事故が発生。それでも冷静なロイは自ら空中に身を投げ出し、難なく地上へと舞い降りるのでした。掴みとして十分にスペクタクルなオープニングです。

とにかく優秀で冷静沈着なロイは軍の上層部に呼び出され、最重要機密の任務を任されることに。その任務とは、16年前、地球外生命体の探索を目的とした「リマ計画」のために海王星まで旅立ったあと消息を絶っていたロイの父クリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)がじつは生きていて、どうやらあらゆる生物に危険を及ぼす「サージ」という電磁波(?)を放っている、と。お前、息子だから海王星まで行ってちょっと見てきてくれ、というのです。

よく言われているとおり、『2001年宇宙の旅』と『地獄の黙示録』(ていうか、原作の『闇の奥』)がモチーフになっているのは明らか。「優先させるべきもの以外は除外する」というロイは、つねに感情と脈拍をコントロールしています。おそらくそれは宇宙飛行士という職業にとって大切な素養なのでしょう。しかし、ロイは自分の感情を抑圧することによって、何事にも動じない精神状態をかろうじて維持していたのです。

オープニングの金縮シーンに始まり、月面マッドマックスなど、序盤はかなりエンターテイメント。しかし、本作は基本的に内省的(哲学的とは言いたくない)で観念的。地球から月、火星を経て海王星へと向かう道程は、あくまでロイが自分を見つめ直し、やがて父親と対峙するための準備期間でしかありません。最後に待ち受けているのは、何度も語られてきた「父殺し」の物語です。

『2001年宇宙の旅』では、もともとあった説明的なモノローグをキューブリックが採用しなかったため、非常に難解な作品となりましたが、本作では終始ロイの「内なる声」がモノローグとして流され、非常にわかりやすい≒説明的になっています。ちょっと心情を語りすぎじゃないかとは思いましたけど。

ロイにとって父クリフォードはあこがれの英雄であり、家庭をないがしろにした呪うべき存在。愛憎入り乱れた存在で、図らずも父の生き様をなぞった彼自身が愛する人を顧みず、感情を抑えて与えられた任務を遂行する人間なのです。しかし、ロイはずっと自己矛盾と葛藤してきました。反して父クリフォードは自らの野心と探究心のためにルールを破ってまでも邁進する男でした。この身勝手さこそがロイが憧れ、嫌悪する正体ではないでしょうか。

父親の幻影を追い葛藤するロイの姿からは、「男は夢を追いかけるもの」という芳しい旧時代的な「男のロマン」を感じないわけではありません。ロイの母親はほぼ登場しないし、ロイの妻(リヴ・タイラー)はいかにも「亭主を待つ(ことに耐えきれなかった)女」です。そういったそしりを緩和させるためか、本作では要所要所で女性が起用されています。

終盤では、地球外生命体とのコンタクトはうやむやになり、ロイの「そうはいっても父ちゃんに会いたい」モードが全開に。無重力状態にもかかわらず、父クリフォードと再会したロイ流す涙は頬を伝い……。

映画館でこそ味わえる宇宙空間の表現は息を呑むような美しさでしたが、結局、愛する人と一緒にいるのが最高だということを、こんなにも遠回りしないと気がつかないのかという驚きと、だからといって未知なるものへの探究心や冒険心(なんらかの犠牲を伴うかもしれないが)がないがしろにされるのはいかがなものか……などと思いました。まあ、両立が困難だからこその葛藤なのかも。最もマキシマムな宇宙と最もミニマムな家族というのはほぼほぼ同じ構造なのかもしれません。







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