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ラスト・ムービースター

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(原題:The Last Movie Star 2017年/アメリカ 103分)
監督・脚本/アダム・リフキン 製作総指揮/ブレット・トマソン、エリク・クリッツァー 撮影/スコット・ウィニグ 美術/ブレット・A・スノッドグラス 編集/ダン・フレッシャー 音楽/オースティン・ウィントリー
出演/バート・レイノルズ、アリエル・ウィンター、クラーク・デューク、エラー・コルトレーン、ニッキー・ブロンスキー、チェビー・チェイス

概要とあらすじ
「脱出」「ロンゲスト・ヤード」「トランザム7000」「ブギーナイツ」など数多くの作品に出演し、2018年9月に82歳で亡くなったバート・レイノルズの最後の主演作。劇中にレイノルズの過去作品が多数引用され、落ちぶれたスターという役柄をユーモアたっぷりに演じる。かつては映画界のスーパースターとして一世を風靡したが、今では人びとからほぼ忘れられている状態のヴィック・エドワーズのもとに、ある映画祭から一通の招待状が届く。功労賞を送りたいという映画祭にしぶしぶ参加はしたものの、騙しに近い名もない映画祭であることがわかり、エドワーズは憤慨する。しかし、そこは彼が生まれ育ったノックスビルの町の近くだった。育った家、大学のフットボールで活躍したスタジアム……久しぶりにふるさとの町を訪れたエドワーズに懐かしい思い出が去来していく。監督は「デトロイト・ロック・シティ」「LOOK」のアダム・リフキン。(映画.comより



追悼バート・レイノルズ(なんだけど)

2018年9月6日に82歳で逝去したバート・レイノルズ。おそらく彼の命日に合わせて2019年9月6日に日本公開された『ラスト・ムービースター』は、文字通りレイノルズの俳優人生を振り返る作品で、彼の最後の主演作といわれています。レイノルズが演じるヴィック・エドワーズというかつての「ムービースター」の生い立ちは、ほぼほぼレイノルズ自身のそれと重なっているので、それならわざわざ架空のキャラクターを仕立てることなく、レイノルズが本人役をやればいいのでは? と思ったりするけれども。

最近公開されたばかりのタランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に、レイノルズはスパーン牧場のオーナー役として出演予定でしたが撮影前に死去(代役はブルース・ダーン)。『ワンス〜』でディカプリオが演じたリック・ダルトンはレイノルズがモデルとも言われており、なにかと縁が深い。レイノルズが演じるヴィック・エドワーズが『ワンス〜』のリック・ダルトンのその後の姿のように見えなくもありません。

随分と長い間、レイノルズの姿を見ていませんでしたが、浅黒い肌で口ひげにいやらしい笑顔、セックスシンボルとまで言われたマッチョな魅力は色褪せ、スクリーンに登場した81歳の彼は年相応に老いた姿をさらけ出しておりました。その姿を見るだけでもグッとくるものがあります。

かつて数々のアクション映画で人気を博したヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)もいまや隠居生活中。長年付き添った愛犬が寿命を迎え、いよいよもって意気消沈しております。そんな折り、「国際ナッシュビル映画祭」なる団体からヴィックの回顧上映を催し、特別功労賞を授与したいのでぜひ映画祭にきてほしいという招待状が届きます。なにやら過去にはロバート・デ・ニーロ、ジャック・ニコルソン、クリント・イーストウッドなどの名だたる名優たちが受賞した賞だとかで、友人のソニー(チェビー・チェイス)からも「ちやほやされてこい」と参加を促されます。

その気になったヴィックが空港へ行くと、映画祭側が用意したチケットはファーストクラスではなく、エコノミー。ナッシュビルに到着した彼を出迎えたのはリムジンではなく、メンヘラ・パンクス少女のリル(アリエル・ウィンター)が運転するボロボロの車。宿泊先は高級ホテルではなく、安モーテル。それでもなんとか耐えて映画祭会場に向かうとそこは劇場ではなくバーだったのです。「国際ナッシュビル映画祭」とは名ばかりで、じつは映画オタクによる自主上映会だったのでした。

すっかり騙された気分のヴィックは飲んだくれ、翌朝には憤慨して自宅に帰ろうとします。ところが、リルに空港まで送ってもらう道中で「ノックスビル」の標識を目にして予定変更。ノックスビルはヴィックが生まれ育った故郷だったのです。ヴィックは自分が幼い頃住んでいた家を手始めに縁のある地を訪ねて回ります。人気者だった頃の自分と(合成で)妄想の中で共演したり、予約をしていない高級ホテルでスイートルームをあてがわれたりして、徐々に名誉回復していきます。それはもちろん彼の人生の想い出を辿る旅であり、終着点は最初の妻であり最愛の女性が入居している介護施設です。彼女はすでにアルツハイマーを患っていて、ヴィックのことを認識したかどうか定かではありませんが、とにかくヴィックは最愛の女性に償いをし、自分の人生に穏やかに感謝し、ヴィック不在で映画祭が続けられていたバーへと戻るのでした。

概ね好評を得ている本作は、バート・レイノルズの功績を称え、彼の死を悼むうえで、十二分にファンの期待に応えるものになっていると思います。しかし、正直に言うとボクはまったくノレませんでした。なぜならレイノルズ以外の登場人物たちの描き方があまりにもぞんざいだと感じたからです。

まず、「国際ナッシュビル映画祭」というものが「国際(インターナショナル)」と銘打ちながらたんに仲間内の上映会でしかないのは、明らかに詐欺です(こういう得体の知れない映画祭というものは少なからず実在するらしいけれど)。ヴィックの宿泊先となるモーテルも招待状では高級ホテルだと伝えていたようだし、事実を誤魔化して(盛って)でもヴィックに来てもらおうという魂胆がみえます。本来なら、規模は小さいし、少ない予算で運営しているのであなたに見合った十分なおもてなしはできませんが、それでもよければ来ていただけませんか? と正直に伝えるべきではないでしょうか。それが誠意というものでは?

泥酔し、憤慨したヴィックがモーテルの部屋に戻ったとき、つめかけた映画祭の主催者は「もう我慢できない!」と逆ギレし、ヴィックを罵倒します。老いさらばえてなおスター気取りのヴィックの高慢さを表現しようとしたのかもしれませんが、それにしても口ではファンだといいながらヴィックに対する敬意がまったく感じられません。お金がないのは仕方がないとしても、リルが運転する車のヴィックを乗せた後部座席がゴミだらけなのは、大スターであり大ファンの相手を迎え入れる人間の態度とは思えません。

もっとも記号的でつまらないキャラクターはヴィックの運転手を務めるメンヘラ少女リル。いかにも「今時の若者」らしく終始スマホをいじり、ぎゃーぎゃーわめいてばかり。しかもそれはずーーーーっとバカな恋人の浮気話に終始するので、ただただ能なしビッチにしかみえません。なぜか本作の登場人物たちはデブ率が高いのですが、デブで汚いメイクのリルには嫌悪感しかなく、それでもそのうち可愛くみえてくるのかもしれぬと耐えていたのですが、最後まで愛着が湧くことはありませんでした。

バート・レイノルズの自虐コメディでもありながら、気の利いた台詞も一切なく、非常にやぼったい印象でした。ドライブ中にリルが「○○という薬は○○で〜」と繰り返すシーンでは、あまりのメンヘラぶりにヴィックが「運転を代わろう」というのがギャグになっているのだと思いますが、前振り(リルの薬のくだり)が長すぎて効果なし。

ヴィックは「ノックスビル」の標識を目にしたことで、自分の人生を振り返る旅に出ることになるのですが、唐突すぎる気がします。むしろヴィックは最初からノックスビルに行くのが目的でこの映画祭に参加していたほうがよかったのではないでしょうか(まあ、ナッシュビルから3時間かかる距離にあるようだけど)。ヴィックが俳優になる前にアメフト選手として活躍したスタジアムに侵入するシーンで、無許可で鍵を開けてしまうのはヴィックではなく、リルのほうがよかったのではないかとも思います。それでこそ、ふたりの友情(共犯関係)がより克明になるのではないでしょうか。

結果的に、映画祭への招待がヴィックの人生巡りのトリガーにしかなっておらず、映画オタクたちの愛情によってヴィックが自らの役者人生に価値を見出したわけではないので、モヤモヤした気持ちだけがあとに残りました。まあ、映画オタクの身勝手さを表現したと言われればそれまでですが。

ハリー・ディーン・スタントンの「最後」を描いた『ラッキー(17)』で感じた愛おしさは伝わってきませんでしたが、とにもかくにもバート・レイノルズさんのご冥福をお祈りいたします。







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