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ドッグマン

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(原題:Dogman 2018年/イタリア・フランス合作 103分)
監督/マッテオ・ガローネ 製作/マッテオ・ガローネ、ジャン・ラバディ、ジェレミー・トーマス、パオロ・デル・ブロッコ 製作総指揮/アレッシオ・ラッツァレスキ 原案/ウーゴ・キーティ、マッシモ・ガウディオソ、マッテオ・ガローネ 脚本/ウーゴ・キーティ、マルリツィオ・ブラウッチ、マッテオ・ガローネ、マッシモ・ガウディオソ 撮影/ニコライ・ブルーエル 美術/ディミトリー・カプアーニ 衣装/マッシモ・カンティーニ・パリーニ 編集/マルコ・スポレンティーニ 音楽/ミケーレ・ブラガ
出演/マルチェロ・フォンテ、エドアルド・ペーシェ、ヌンツィア・スキャーノ、アダモ・ディオニージ、フランチェスコ・アクアローリ、アリダ・バルダリ・カラブリア、ジャンルカ・ゴビ

概要とあらすじ
「ゴモラ」などで知られるイタリアの鬼才マッテオ・ガローネ監督が、1980年代にイタリアで起こった実在の殺人事件をモチーフに描いた不条理ドラマ。イタリアのさびれた海辺の町。娘と犬を愛する温厚で小心者の男マルチェロは、「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営している。気のおけない仲間たちと食事やサッカーを楽しむマルチェロだったが、その一方で暴力的な友人シモーネに利用され、従属的な関係から抜け出せずにいた。そんなある日、シモーネから持ちかけられた儲け話を断りきれず片棒を担ぐ羽目になったマルチェロは、その代償として仲間たちの信用とサロンの顧客を失ってしまう。娘とも自由に会えなくなったマルチェロは、平穏だった日常を取り戻すべくある行動に出る。主演のマルチェロ・フォンテが第71回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を獲得したほか、イタリア版アカデミー賞と言われるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞・監督賞など9部門を受賞した。(映画.comより



ドラえもんはいなかった

ゴモラ(08)』のマッテオ・ガローネ監督による『ドッグマン』。「海辺の街」ということらしいですが、港町というわけではなく、いまにも朽ち果てそうな団地(公団住宅?)みたいな場所が舞台です。

牙をむきだし、鼻の上に皺を作って吠え、激しく威嚇する犬。本作で描かれる暴力を暗示するかのようなシーンから始まります。「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営しているマルチェロ(マルチェロ・フォンテ)は、抵抗する犬を叱りつけるでもなく、穏やかに犬を手名付けています。小男のマルチェロはいつもニコニコと機嫌よさそうに笑い、ご近所さんとの関係も良好。妻とは別れたものの、時折娘と会うのがなにより楽しみで、貧しいながらも堅実に今の人生を楽しんでいるようす。

しかーし、面倒くさいやつがひとりいるのです。それはシモーネ(エドアルド・ペーシェ)。マルチェロの古い友人であるシモーネは頑強なガタイの持ち主で、しかも暴力的。というか、暴力以外になにもないひたすら凶暴なジャイアンなのです。気が向いたときに現れてはマルチェロにコカインをせびり、ゲームセンターでは癇癪を起こしてゲーム機を破壊し、相手が誰だろうととにかく殴って黙らせるような人間です。絶対に関わりたくない男。

マルチェロ以外のご近所さんも長年シモーネの傍若無人ぶりに辟易していて、シモーネ暗殺を計画するまでに。あきらかな器物破損や傷害事件を起こしているにもかかわらず、警察に訴えでないというのはなにか事情があるのか、警察も信用していないのか。

帰宅しようとしていたら、突然シモーネに呼び止められて強盗の運転手役にされたりするマルチェロ(「うるさい子犬を冷凍庫に押し込んでやったぜ」と聞くと、わざわざ犯行現場まで戻って子犬を助け出すほどの優しすぎる犬好き)ですが、シモーネを迷惑がりながらも一緒にいるときはそれなりに楽しそう(に見える)のが不思議。でも、こういう不可解な人間関係は日本の地方などでもあるのかもしれないな……と思いました。地元の高校を卒業して地元で就職し、子供の頃からの力関係そのままに大人になってしまったジャイアンとのび太……。しかし、ここにドラえもんはいないのです。

やがてシモーネはマルチェロの店の隣にある貴金属店に目を付けます。マルチェロの店から壁を破って強盗に入ろうと言うのです。もちろん、マルチェロは拒否しますが「友達だろ?」と恫喝されてやむなく店の鍵をシモーネに渡してしまいます。マルチェロよ……本当の「友達」は「お前の店の壁を破って強盗に入るから鍵を貸せ」なんて言わないよ……。

翌朝、マルチェロが店に行くと警察が駆けつけ、店の壁には穴が開いています。実行犯はシモーネだと見当がついている警察は、真相を話すようマルチェロを諭しますが、なんと彼はそれを拒否。マルチェロが刑務所送りとなってしまいます。さすがに、このときのマルチェロの心理は理解できません。実刑をくらうし、ほかの仲間たちの信用をなくすし、商売もできなくなるし、可愛い娘とも会えなくなるし、なにひとつマルチェロにとってメリットはないと思うのですが。マルチェロはシモーネのことを本当に友達だと思ってかばったのか、その後の報復を恐れたのか……。

一年後、出所したマルチェロは案の定仲間たちから罵倒されます。シモーネはどうやらグレードアップしたらしいバイクに乗って爆音を轟かせながら行ったり来たりしています。ああ、まさに田舎の不良がやりそうなこと! 世界中どこでもバカがやることって同じですね。せめて強盗の分け前をもらおうとするマルチェロでしたが、シモーネに軽くあしらわれ憤慨。彼の自慢のバイクを壊すものの、すぐにシモーネにボコボコにされてしまいます。

ここにきてようやく腹をくくったマルチェロは、コカインをダシにしておびき出したシローネを犬用の檻に閉じ込めます。それでも怪力のシモーネは脱出しようとしますが、格闘の末ついに死に至ります。シモーネの死体を人目のないところまで運び、火を付けるマルチェロ。ところが、彼の耳にサッカーに興じる仲間たちの声が聞こえてくるのです。みんなが殺したがっていたシモーネをオレが殺したんだ。みんなに報せよう。きっと褒めてくれるはず!

慌ててシモーネを包む炎を消し、息絶え絶えになりながら重い死体を担いで運ぶマルチェロ。しかし、仲間の声がしていたはずのサッカー場には誰もいませんでした。小心者であまりにも気が優しいマルチェロが気の毒でなりませんが、彼の意志薄弱さにも不幸の一因があるようにも思われ、なんとも理不尽でやり場のない脱力感が余韻として残るのでした。







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