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ゲティ家の身代金

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(原題:All the Money in the World 2017年/アメリカ 133分)
監督/リドリー・スコット 製作/ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、クエンティン・カーティス、クリス・クラーク、リドリー・スコット 原作/ジョン・ピアソン 脚本/デビッド・スカルパ 撮影/ダリウス・ウォルスキー美術/アーサー・マックス 衣装/ジャンティ・イェーツ 編集/クレア・シンプソン音楽/ダニエル・ペンバートン
出演/ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォールバーグ、ロマン・デュリス、ティモシー・ハットン、チャーリー・プラマー、アンドリュー・バカン

概要とあらすじ
1973年に起こったアメリカの大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐された事件を、「オデッセイ」「グラディエーター」など数々の名作を送り出してきた巨匠リドリー・スコット監督のメガホンで映画化したサスペンスドラマ。73年、石油王として巨大な富を手に入れた実業家ジャン・ポール・ゲティの17歳の孫ポールが、イタリアのローマで誘拐され、母親ゲイルのもとに、1700万ドルという巨額の身代金を要求する電話がかかってくる。しかし、希代の富豪であると同時に守銭奴としても知られたゲティは、身代金の支払いを拒否。ゲイルは息子を救うため、世界一の大富豪であるゲティとも対立しながら、誘拐犯と対峙することになる。ゲイル役をミシェル・ウィリアムズ、ゲイルのアドバイザーとなる元CIAの交渉人フレッチャー役でマーク・ウォールバーグが出演。ゲティ役をケビン・スペイシーが演じて撮影されたが、完成間近にスペイシーがスキャンダルによって降板。クリストファー・プラマーが代役を務めて再撮影が行われ、完成された。(映画.comより



貧乏でよかった!

内容よりも先にスキャンダルで話題を呼んだリドリー・スコット監督作『ゲティ家の身代金』。クランクアップ間近で公開の1か月前まで差し迫った状況で主役のケビン・スペイシーによる少年に対するセクハラが発覚して、降板。急遽代役にクリストファー・プラマーを起用し、再撮とCGを駆使して完成にこぎ着けたいわくつきの一作です。さらには、マーク・ウォールバーグに支払われた再撮分のギャラが150万ドルだったのに対し、ミシェル・ウィリアムズに支払われたのは1000ドル以下だったことが判明。#metoo運動が盛り上がっている状況でこの格差(1500倍)も問題になりました(ウォールバーグは批判を受けて、再撮分のギャラをセクハラ撲滅運動の基金に寄付したとか)。

リドリー・スコット監督はインタビュー(映画秘宝2018年7月号)で「芸術家の私生活と作品は切り離して考えるべきだ」と語っていて、これはその通りだと思います。わが国では最近、ピエール瀧のコカイン使用が発覚して、彼の出演作が封印され、電気グルーヴの楽曲が配信停止および回収されたことが話題を呼びましたが、ピエール瀧が行なった違法行為に対する社会的制裁(法的ではなく)としては度が過ぎていると思いました。まさに「法の奴隷」たちによる快楽を伴うつるし上げ(もしくは引きずり下ろし)には、おぞましい日本的ヒステリーを感じます(薬物依存者に対するには刑罰より治療というような話は割愛します)。で、ケビン・スペイシーの場合はどうかといえば、降板もやむなしかと思いました。なぜなら、彼が犯した罪は違法かどうかが問題ではなく、それ以前に倫理的にアウトだからです。

映画の感想に戻りましょう。本作は事実に基づいています。夜のローマの街をふらついていたポール=パウロ(チャーリー・プラマー)が誘拐されます。ポールは石油で大儲けした世界的大富豪ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)の孫だったのです。

金持ちはドケチとはよくいわれることで、交渉術を武器に一代でのし上がったゲティは、自分で洗濯をするほどのドケチなのです。そのわりには高額な美術品の収集家だったりします。彼にとって最も信用(=クレジット)できるのは「モノ」なのでした。とはいえ、彼にはゲティ家を名家にしたいという想いもあり、家族や血筋を大事にしたいという気持ちもあるようです。

ポールが誘拐され高額の身代金を要求された母親のゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は、すでに薬中となったゲティの息子(アンドリュー・バカン)と離婚していましたが、誘拐犯たちの狙いでもあるゲティに身代金捻出を頼るのでしたが、ゲティはまったく身代金を払う気はないのでした。

誘拐された孫に対する身代金をケチる大金持ちのじいさんの話だとわかっていたので、どんなに嫌なじじいが出てくるんだろうと思っていたのですが、あっさり身代金を払ったらほかの孫たちも次々と誘拐されるというゲティが、断固として誘拐犯たちの要求に従わないのは筋が通っていると感じました。さすがは交渉術に長けた百戦錬磨のじじいだと。

しかし、ゲティは交渉役として元CIAだというチェイス(マーク・ウォールバーグ)をゲイルのもとへ派遣するだけで、ほかにはこれといった対策を取りません。そのかわりにボッティチェリが描いた聖母子像を購入したりしています。ポールがチンピラ集団の誘拐犯からマフィアへと引き渡され、耳を切られて脅されて、ようやく彼が身代金を払う気になったときでさえ、節税を目的としたポールへの貸付金であり、その見返りとしてゲイルから親権を剥奪しようとします。

ベッドサイドにポールの写真を飾るほど、ゲティがポールを愛していたのは間違いありません。しかし彼は最後まで愛情の計り方がわからなかったのではないでしょうか。ゲティは所有するということを愛情だと思っていたように感じました。しかも、愛とは交渉によって勝ち取るものではないはず。「無償の愛」とかいうように、そもそも愛は非合理的で、ときに歪で厄介ではありますが、それでもなくてはならないものなのでしょう。

観終わってみれば、ゲティ役はクリストファー・プラマーしか考えられません。マーク・ウォールバーグ扮するチェイスがあまりにも超然としていて都合よすぎる気はしましたが、リドリー・スコット御大さすがの演出でした。パパラッチ(≒ワイドショー)が見事に醜悪でした。

実際のポールは、誘拐がトラウマとなって薬物依存症になった末に車椅子生活となり、54歳という若さでなくなったんだとか。金持ちには金持ちの苦労があるんですね。ああ、ボクは貧乏でよかった!







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