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ウイラード

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(原題:Willard 1971年/アメリカ 95分)
監督/ダニエル・マン 脚本/ギルバート・A・ラルストン 原作/スティーブン・ギルバート 製作総指揮/チャールズ・A・プラット 製作/モート・ブリスキン 撮影/ロバート・ハウザー 音楽/アレックス・ノース
出演/ブルース・デイビソン、アーネスト・ボーグナイン、ソンドラ・ロック、エルザ・ランチェスター

概要とあらすじ
小動物の突然の集団異変による恐怖を描いた作品。この作品にはネズミの大群が現われ、次々と殺人を犯していくというスリラーとなっている。製作総指揮はチャールズ・A・プラット、監督は「愛は心に深く」のダニエル・マン、スティーブン・ギルバートの小説「ネズミ男の手帖」をギルバート・A・ラルストンが脚色、撮影はロバート・ハウザー、音楽はアレックス・ノースがそれぞれ担当。気はいいが、自閉症ぎみの青年ウイラード(ブルース・デイヴィソン)は、ひとつ屋根の下で暮らしている老母ヘンリエッタ(エルザ・ランチェスター)と、会社の上司アル(アーネスト・ボーグナイン)を特に嫌っていた。というのも、アルは数年前、ウイラードの父の事業を乗っ取った卑劣漢で、老母は、裏庭に出てくるネズミを退治しろとうるさいからだ……(映画.comより抜粋



パワハラ&モラハラ寓話

ヒッチコックの『鳥』をしのぐとまで言われた(らしい)動物パニック映画『ウイラード』

気の優しい青年ウイラード(ブルース・デイヴィソン)は、どうやら仕事の能力に劣るようで、社長のアル(アーネスト・ボーグナイン)をはじめとして社員からも嘲笑の的となっておりました。仕事が終わって予想外に豪奢な自宅に帰ってくると、身体が不自由な母親と近隣の知り合いたちがウイラードの27歳の誕生日パーティを催して待ち受けているのです。まあ、ウイラードは可愛がってもらっているのかなと思ったのも束の間、「もうちょっとお前がしっかりしていれば副社長になれるのに」などと説教が始まるのです。

この状況は、相当ウザい。しかも、話が進むにつれて元はウイラードの父親が起業した製鉄会社をアルが半ば乗っ取り、ウイラードに過剰な量の仕事を押し付けていたことがわかってきます。アルという油ギッシュ(←古い?)な社長は恫喝と懐柔以外のコミュニケーションの方法を知らない、簡単に言えば麻生太郎のようなクズなのですが、誇張された演出と演技とはいえ、まあ、ものの見事に腹立たしい。

身体が不自由なウイラードの母親は、ウイラードに対する愛情ゆえとはいえ、神経を逆なでするように呼び鈴を鳴らし、やれ屋根を直せ、やれヒーターを直せと口うるさいのです。

そんなストレスマックスな生活の中で、ウイラードは偶然見つけたネズミに心惹かれ、やがて名前を付けて手名付けるようになります。なかでも、白いネズミのソクラテス黒いネズミのベンがお気に入りでした。で、本作のネズミが演技というか演出というか編集の妙というか、とにかくなにかしら意志を持って行動しているようにみえる素晴らしい出来映えなのです。これには感嘆いたしました。

飼い慣らしたネズミたちを使ったイタズラで溜飲を下げていたウイラードでしたが、死んだ母親が残した遺産は家だけ、それどころか母親に借金があったことで経済的な窮地に陥るのです。しかし、ネズミたちを飼っているウイラードは家を手放したくありません。さらにはネズミたちの数は文字通りねずみ算式に増えていき、生活の困窮とともに彼に支配欲が頭をもたげてくるのです。

自分の思うがままにネズミを操れるようになるのと裏腹に、数が増えすぎて手に負えなくなるとウイラードは不満を爆発させるようになります。これがなんとも、本作の奥深いところで、彼は初めてリーダー(=経営者)の苦悩に直面することとなり、社長アルと同様の傲慢さを垣間見せるのでした。ま、だからといってアルを弁護する気にはなれませんが、経営者と従業員の関係は支配・被支配の関係ではなく、相互の信頼によって成り立つべきだということが暗に示されているように思います。

ウイラードはネズミたちのおかげでアルに対する復讐を成就させることができましたが、白ネズミのソクラレスを見殺しにしたことを黒ネズミのベンは忘れていませんでした。しかもウイラードは、お役御免とばかりに大量のネズミたちを水に沈めて殺してしまいます。そんなことをベンが許すはずもありません。

ベンはかつてのウイラードを象徴する存在でしたが、もはやベンとウイラードとの間に友情はありません。ネズミの群れに襲われたウイラードが「友達だったのにー!」という断末魔を挙げますが、友達という対等な関係を反故にしたのはウイラード自身なのでした。

単純な娯楽作だと思っていると、現代にも通じるパワハラ&モラハラの要素がぎっしり詰まった寓話です。日本でリメイクすればいいのにね。モデルは電通とかで。







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