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ラブレス

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(原題:Nelyubov 2017年/ロシア・フランス・ドイツ・ベルギー合作 127分)
監督/アンドレイ・ズビャギンツェフ 製作/アレクサンドル・ロドニャンスキー、セルゲイ・メルクモフ、グレブ・フェティソフ 脚本/オレグ・ネギン、アンドレイ・ズビャギンツェフ 撮影/ミハイル・クリチマン 美術/アンドレイ・ポンクラトフ 衣装/アンナ・バルトゥリ 編集/アンナ・マス 音楽/エフゲニー・ガルペリン、サーシャ・ガルペリン
出演/マルヤーナ・スピバク、アレクセイ・ロズィン、マトベイ・ノビコフ、マリーナ・バシリエバ、アンドリス・ケイシス、アレクセイ・ファティフ

概要とあらすじ
「父、帰る」「裁かれるは善人のみ」などで世界的に高く評価されたロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督が、失踪した息子の行方を追う身勝手な両親の姿を美しくも冷ややかな映像で描き、2017年・第70回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したサスペンスドラマ。一流企業で働くボリスと美容院を経営するイニヤの夫婦。離婚協議中の2人にはすでにそれぞれ別々のパートナーがおり、新たな生活のため一刻も早く縁を切りたいと考えていた。2人には12歳の息子アレクセイがいたが、どちらも新生活に息子を必要としておらず、ある日激しい罵り合いの中で息子を押し付け合ってしまう。その翌朝、学校に行ったはずの息子がそのまま行方不明になり、彼らは必死でその行方を捜すが……。(映画.comより



「お前もな」

このところ気分がダウナーなので
スカッとした映画が観たいなあと思っていたにもかかわらず、
選んでしまった『ラブレス』
愛なし、もしくは愛不足……。
映画を見終わった後、泥のような気分で家路についたのは
言うまでもあるまいて。

一流企業の営業マン・ボリス(アレクセイ・ロズィン)
サロンを経営する妻のジェーニャ(マルヤーナ・スピバク)
極限まで関係が冷え切って離婚調停中。
それぞれにはすでに新しいパートナーがいて
とっとと別れて新生活を始めたいところですが
そうもいかないのです。
とくにボリスが勤める会社の社長は
キリスト教原理主義者で
離婚した社員は(死別の場合を除いて)クビにするという
いかれたカルト社長なのです。
これはロシアではあるあるなんでしょうか。

しかし、彼らにとって最大の問題は
12歳になる息子アレクセイ(マトベイ・ノビコフ)
どちらが引き取るか、なのです。
アレクセイは私の子供よ! いいや、俺が育てる!
……という子供の取り合いならまだしも、
この夫婦は互いに子供を押しつけ合って
なんとも醜い言い争いを繰り広げている
のです。
その一部始終をドアの後ろで聞いて号泣するアレクセイ。
まあ、夫婦なんて元々赤の他人ですから
関係が破綻すれば離婚しても一向にかまわないと思うのですが、
子供がいる場合は別です。
たとえ離婚することになっても
子供に対する親の責任は消えることがありません。

ボリスとジェーニャは
どちらも甲乙つけがたいほど身勝手な人間で、
いつも煮え切らない態度のボリスは
性懲りもなく愛人を妊娠させています。

ボリスのだらしなさにイライラさせられるのですが、
雄弁なぶんだけジェーニャの身勝手さのほうが
際立っています。

自分にふりかかる厄介ごとは
すべて他人のせい(とくにボリス)にするジェーニャ

そもそもボリスのことは愛しておらず、
口うるさい母親から逃れるためだけにボリスと結婚し、
望んでいない妊娠の果てに
想像を絶する痛みを伴ってアレクセイを出産したことを
自分が被った悲劇のようにとうとうと語り、
アレクセイを産んだことを「失敗」と言って
はばからない
のです。
ボリスを弁護するつもりはさらさらありませんが、
ジェーニャのクズっぷりは半端ないのです。

そして、アレクセイが失踪。
ボリスとジェーニャは
互いの愛人といちゃついていたため、
アレクセイがいなくなったことを
学校の担任の連絡で2日後に知る
というていたらく。
捜索願を出しても警察にやる気はないし、
アレクセイの特徴を聞かれても
友達や好きなスポーツすらはっきりと答えられない
ボリスとジェーニャ。
それでも一応、アレクセイの失踪に
ショックを受けている様子のふたりは
かろうじて良心の呵責を感じていたのでしょうか。
それともやはり保身ゆえでしょうか。

警察がまともに捜査してくれないために
ボリスとジェーニャはボランティアに
アレクセイ捜索をゆだねることになるのですが
ボランティアの理性的な奉仕精神によって
ボリスとジェーニャの利己的な感情が
さらに浮き彫りに。

想像しうる展開だと、破局した夫婦が
失踪した息子の捜索という共通の目的によって過去を省み、
再び絆を取り戻す……と、なりそうなものですが、
この夫婦に限ってはあいかわらずいがみ合うだけ。
本当に救いようがありません。
捜索の過程でジェーニャの母親が登場しますが、
これまた悪態をつくばかりの心がすさみきった人間で
この親にしてジェーニャありと、納得しました。

急遽病院に収容された少年も
遺体安置所にあった少年の遺体も人違いで、
結局アレクセイの行方はわからずじまい。
時がたち、それぞれの新生活を始めた
ボリスとジェーニャのなかでも
アレクセイの存在は風化してしまったかのようです。

愛人が産んだ子供を邪険に扱うボリス。
紛争を伝えるニュースから耳を背けるジェーニャ。
彼らはアレクセイ失踪から1ミリも学ぶことなく、
あいかわらず自己愛に浸り、
他者に対する無関心を貫いています。

最後にジェーニャがカメラ目線になるのは
観客に向けての「お前もな」という
メッセージなのかもしれません。





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