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ケンとカズ

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(2016年/日本 96分)
監督・脚本/小路紘史 プロデューサー/丸茂日穂、小路紘史 撮影/山本周平 照明/山本周平 録音/市川千裕、長谷川奈映、伊波航、日向真理、西山智裕 美術・衣装/尾身千寛 メイク/俵あずさ、森田優奈、平河理桜 特殊メイク/森田優奈 編集/小路紘史
出演/カトウシンスケ、毎熊克哉、飯島珠奈、藤原季節、高野春樹、江原大介、杉山拓也

概要とあらすじ
2015年・第28回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門の作品賞受賞作。ロッテルダム国際映画祭などで上映された2011年製作の同名短編を、小路紘史監督が自身のメガホンにより長編初作品として再映画化した。悪友であるケンとカズは自動車修理工場を隠れみのに覚せい剤の密売で金を稼いでいたが、ケンは恋人が妊娠したこと、カズは認知症である母親を施設に入れるため金を必要なことを言い出せずにいた。2人は密売ルートを増やすために敵対グループと手を組むが、元締めのヤクザに目をつけられ、次第に追いつめられていく。(映画.comより



狭くて陰鬱な日本

いくら政治家や役人が景気は回復しているとうそぶいても
そんなこととはまったく関係のない最下層の日本を描いた
『ケンとカズ』
韓国のように、ハリウッド的エンターテイメント作品は
なかなか作れないけれど
狭くて陰鬱な世界を描いた日本映画に良作が多いのは、
そこに切実なリアリティがあるからでしょうか。

ケン(カトウシンスケ)カズ(毎熊克哉)
ともに自動車修理工場で働く傍ら、
シャブの売人として日銭を稼いでいます。
彼らに人目を忍んで悪事を働いている感じがないのは、
自動車修理工場の社長と職場の後輩も
同じく売人稼業に一枚噛んでいるからで、
それが当たり前のような世界なのです。
そんな危ない橋を渡ってもケンとカズが手にする月給は
30〜45万
だというあたり、
彼らのどん底ぶりがわかります。

敵対する組織が無断でシャブをさばいていると知るや
ためらいなく襲撃するケンとカズ。
元締めのヤクザに飼われながらも
自分たちはヤクザではないただのゴロツキなのも
立場の弱さと無軌道ぶりを裏付けています。
やがて、安価で(粗悪な)シャブを
欲しがる客が多いことに目を付けたカズは
敵対するヤクザと秘密裏に手を結び、
どんどん泥沼へと沈んでいくのでした。

カズが元締めヤクザを裏切ってまで
金が欲しい理由は
彼が幼い頃虐待を受され、
父親の死後は痴呆症の傾向が見られるようになった母親を
養護施設に入れるため
でした。
カズは母親を殺して埋めたいと強がりはするものの、
わずかに残っている母親への愛情を
捨てきれないでいます。
かたや、ケンは同棲中の恋人が妊娠し、
今後は売人稼業から足を洗って
幸せな家庭を築きたい
と願っています。
しかし、暴走するカズとの腐れ縁を断つことが出来ず、
最悪の選択をしてしまうのです。

最下層の生活からの脱出を試みるふたりに
わかりやすいウェットな動機付けがなされているのは
ちょっと微妙ですが、それはともかく、
終盤にさしかかってから
彼らが中学〜高校と共に過ごした幼馴染みであることが
元締めヤクザのセリフによって明かされるまで、
ふたりがどれほど分かちがたい絆で結ばれているのか
いまいちわかりづらい
と感じました。
カズが勝手に始めた裏切り行為なのに
「今更やめんのか」と迫られるケンが
否応なく従わざるを得ない関係性が飲み込みづらいので
さほど彼らの心情に寄り添うことはできませんでした。

多用されるクローズアップによって
迫力は増すのかもしれませんが、
状況を把握しづらいシーンもあったし、
(それが登場人物たちの視野狭窄を表現しているのかもしれないが)
劇判が安っぽいのが気になったし、
ケンの恋人が彼の隠していた預金通帳を発見するくだりに
唐突さを感じたりもしましたが、
全体的には、新人監督とは思えない安定感を感じたし、
なにしろほぼ無名の俳優たちによる演技が
非常にナチュラルかつ巧みで
見応え十分でした。





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