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レッド・スパロー

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(原題:Red Sparrow 2017年/アメリカ 140分)
監督/フランシス・ローレンス 製作/ピーター・チャーニン、スティーブン・ザイリアン、ジェンノ・トッピング、デビッド・レディ 原作/ジェイソン・マシューズ 脚本/ジャスティン・ヘイス 撮影/ジョー・ウィレムズ 美術/マリア・ジャーコビク 衣装/トリッシュ・サマービル 編集/アラン・エドワード・ベル 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演/ジェニファー・ローレンス、ジョエル・エドガートン、マティアス・スーナールツ、シャーロット・ランプリング、メアリー=ルイーズ・パーカー、ジェレミー・アイアンズ

概要とあらすじ
アカデミー賞女優のジェニファー・ローレンスが、「ハンガー・ゲーム」シリーズのフランシス・ローレンス監督と再タッグを組んだスパイサスペンス。元CIA局員という経歴を持つジェイソン・マシューズによる同名小説が原作で、捜査対象を美貌で誘惑する「スパロー」と呼ばれる女スパイの活躍を描く。事故でバレリーナになる道を絶たれたドミニカは、ロシア政府が極秘裏に組織した諜報機関の一員となり、自らの肉体を使った誘惑や心理操作などを駆使して情報を盗み出す女スパイ「スパロー」になるための訓練を受ける。やがて組織の中で頭角を現したドミニカは、ロシアの機密情報を探っていたCIA捜査官ナッシュに近づくというミッションを与えられる。接近したドミニカとナッシュは互いに惹かれあいながらも、それぞれのキャリアや忠誠心、国家の安全をかけてだまし合いを繰り広げていく。(映画.comより



ボンドガールの逆襲

きな臭くなってきている世界情勢を反映してか、
はたまた、かつて隆盛を極めたジャンルに対する
ノスタルジーか、知らんけど、
ここ最近、スパイ映画が多く作られるようになっている
ような気がします。

ジェニファー・ローレンス主演の『レッド・スパロー』は、
2017年に盛り上がりを見せた
『アトミック・ブロンド』と同じく女性スパイもの。
もはや性別を超越したかっこよさを纏う
シャーリーズ・セロンが
男勝りの(という表現自体が旧時代的な)アクションによって
物理的な「強い女性」を表現していたのとは対照的に、
本作のドミニカ(ジェニファー・ローレンス)
男性社会のなかで女性の性的魅力を武器に戦うヒロインです。
いわばボンドガールの逆襲とでもいうべき物語。

これは、ハリウッドのワインスタイン騒動に端を発する
#MeToo運動と無縁ではないはず。
本作に登場するのは地位を利用し、
優遇と引き替えに性的関係を迫る男たち。
女性の価値は性的魅力だけとでもいわんばかりの設定は
現実を反映してのことでしょう。
ジェニファー・ローレンスは#MeToo運動に積極的で、
俳優の男女におけるギャラ格差を訴えたりもしていたので、
本作に女性の不当な扱いに対する抗議
含まれているのは間違いないでしょう。

重い病を患う母親を養いながら
ボリショイのバレエ団で活躍するプリマのドミニカが
ある日、ライバルダンサーの妬みによって脚に大けがを負わされ、
バレエを続けることが出来なくなってしまう……という
かつての少女漫画的悲劇。
原作者が元CIA局員というだけあって
スパイ訓練などのディティールはリアルなんでしょうが、
派手なアクションやカーチェイスや爆発、
めちゃくちゃエロいシーンがあるわけではなく、
いたって地味な心理戦が繰り広げられるのですが、
要所要所で登場する痛さ表現はなかなかのもの。
拷問シーンにおける、
タオルをあてた上からこん棒でばしーんや、
薄皮ぺろ〜んなど、身がよじれるシーンは随所にあるのですが、
序盤のドミニカが相方ダンサーの足を踏まれるシーン
かなりショッキングです。これは痛い……。

果たしてバレエを続けることが出来なくなったドミニカは
ロシア政府情報局に勤める
叔父エゴロフ(マティアス・スーナールツ)の誘いを
否応なく受け入れ、
スパロー(=雀)の養成学校へと入学するのでした。
そこでは、古くは『陸軍中野学校』
最近では『悪女』のようなスパイ訓練が施されるのですが、
本作で重点が置かれているのは相手の心理を読む力と
エロの耐性を鍛えること。

『陸軍中野学校』で女性をその気にさせるテクニックが
語られていたのに比べると、
(本当に有効かどうか知らないが)
エロ授業がSMビデオを観ることくらいだったのは
残念なところ。
実際、ドミニカが与えられた任務は少ないので
彼女がいかにハニー・トラップの達人なのかが
わかりづらかった点があるのは否めません。
ま、とくに濃いアイメイクをしたときの
ジェニファー・ローレンスが
ゴージャスでセクシーなのは疑いようがなく、
それが説得力になっているといえばそうなのかも。
『ウィンターズ・ボーン』のころの初々しさが懐かしい……)

アメリカCIAのスパイ、
ネイト(ジョエル・エドガートン)と関わり初めてから
恋愛感情を絡めた心理合戦が展開。
上司に↓
「あいつは私のことを信じてるから、使えるわ!」
ネイトに↓
「『あいつは私のことを信じてるから、使えるわ!』って
 思わせてるから、あいつらは使えるわ!」
上司に↓
「『『あいつは私のことを信じてるから、使えるわ!』って
 思わせてるから、あいつらは使えるわ!』って
 思わせてるから、あいつは使えるわ!」

……てな具合に、正体を隠したうえでの騙し合ではなく、
ドミニカの真意を巡る攻防戦なのです。
「映画を観ているこっちも騙された!」というのは
さすがにどうかと思いますが、
ドミニカの真意をいまいち判断できないまま物語が進むのは確かです。

モグラ(内通者)を探す物語は
最終的に叔父エゴロフに全ての罪を被せるという
一応のどんでん返しが用意されています。
真のモグラであるジェレミー・アイアンズが語る
「少なくともアメリカには個人の自由がある」というセリフは
眉唾な気がしないではありませんが、
本作が組織 vs 個人がひとつのテーマであると思われ、
叔父のパワハラに対する復讐に燃え、
個人の自由を手にしようと奮闘していたドミニクが
結果的にロシア情報局内で異例の出世を果たしたという結末には
それなりの皮肉が困られているのでしょう。

セリフでSNSが登場するあたり、
ほぼほぼ同時代と考えていい時代設定のわりには、
PCのデータをコピーするのに数枚のディスク(フロッピー?)を使ったり、
ぎくしゃくしたところがないわけではありませんが、
女性が現行の男性社会を生き抜くための
現実的な対処法のひとつを示しているのかもしれません。
でもまあ、やっぱり根本的な問題の解決には
なりそうにもありませんが。





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