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シェイプ・オブ・ウォーター

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(原題:The Shape of Water 2017年/アメリカ 124分)
監督・脚本・原案/ギレルモ・デル・トロ 製作/ギレルモ・デル・トロ、J・マイルズ・デイル 撮影/ダン・ローストセン 美術/ポール・オースタベリー 衣装/ルイス・セケイラ 編集/シドニー・ウォリンスキー 音楽/アレクサンドル・デスプラ 視覚効果監修/デニス・ベラルディ
出演/サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スタールバーグ、オクタビア・スペンサー、デビッド・ヒューレット、ニック・サーシー、ナイジェル・ベネット、ローレン・リー・スミス、マーティン・ローチ、モーガン・ケリー

概要とあらすじ
「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を手がけ、2017年・第74回ベネチア国際映画祭の金獅子賞、第90回アカデミー賞の作品賞ほか4部門を受賞したファンタジーラブストーリー。1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。「ブルージャスミン」のサリー・ホーキンスがイライザ役で主演を務め、イライザを支える友人役に「ドリーム」のオクタビア・スペンサーと「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス、イライザと“彼”を追い詰める軍人ストリックランド役に「マン・オブ・スティール」のマイケル・シャノン。アカデミー賞では同年最多の全13部門にノミネートされ、作品、監督、美術、音楽の4部門を受賞した。(映画.comより



水に形などない

エロもグロもある怪獣映画が
オスカーを手にしたということで
最高に盛り上がったギレルモ・デル・トロ監督
『シェイプ・オブ・ウォーター』
賞レースに興味がない自分としては
オスカー受賞に奮い立つことはなかったけれど、
それはともかく、本作が紛れもない傑作だということに
疑いの余地はありません。
久しぶりに映画を観てうっとりしました。

よくいわれているように
本作の骨子は『美女と野獣』であり、『大アマゾンの半魚人』
そのシンプルで強固なメインプロットが
盛大に盛り込まれた現代的なサブプロットによってさらに引き立ち、
ことごとく魅力的で感動しました。
これほどの話題作ともなれば
どうしても事前情報が目に耳に入ってきてしまうので、
結果的に野獣がイケメンへと変貌する
『美女と野獣』へのアンチテーゼ
として
ありのままの姿を認めるべきだという
ギレルモ監督の主張は知っていたのですが、
あえて予想外だったといえば、
本作の半魚人がカッコよかったこと。
水泳選手をイメージしたという細マッチョなその身体に
つぶらな瞳とスマートな顎周り、そしてキス可能な唇。
これはどうみてもイケメン。
ヒロインのサリー・ホーキンス
そりゃあ、絶世の美女とはいえないかもしれないが、
とてもチャーミングで魅力的。
な〜んだ、ギレルモ監督といえども
出来ればかっこよくて可愛いほうがいいと思ってるじゃないか。
欺瞞だ! 欺瞞っ!
……という、精一杯の逆張りをしてみたところで
あとはもう、称賛する言葉しか思いつきません。

1962年という時代設定は
米ソ冷戦まっただ中のこの時代が
まるで現代の映し鏡のようだと監督が考えたからですが、
映像から受ける印象はさらに時代を遡った1950年代のようでもあり、
レトロ・フューチャーな近未来をも思わせます。
計算されたカラーコーディネートはもとより、
全編を貫いて、水中を漂うように
わずかでもつねに動いているカメラ

本作のコンセプトを全うしています。
そして溢れる映画愛。
なんとヒロインのイライザ(サリー・ホーキンス)が暮らすアパートは
映画館の上という徹底ぶり。
いわずもがな、
孤児のイライザがトラウマ(?)によって唖者なのは
発言権のない弱者=女性を象徴しています。
やがてイライザは南米はアマゾンから連れてこられた
「不思議な生きもの」=半魚人(ダグ・ジョーンズ)
恋に落ちるのですが、
当然、半魚人は人間の言葉を話すことが出来ず、
人間が心を通わすのに
言葉は必要ないことを示唆しています。

半魚人が南米からきたということからして
移民を象徴しているのは明らかですが、
イライザの隣の部屋に住む
イラストレーターのジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)
ミュージカル好きのゲイ。
彼はゲイだという理由で職を失っています。
また、イライザの同僚ゼルダ(オクタビア・スペンサー)は黒人女性で
タイムカードの列に並んでいる従業員は
みな黒人かラテン系の人たちばかり。
現代でも虐げられる「アザーズ(除けものたち)」の代表が
満遍なく散りばめられているのです。

「古き良きアメリカ」を体現するような
マチズモの象徴として描かれるのが
ストリックランド(マイケル・シャノン)
他者に対して高圧的に振る舞うしか
コミュニケーションのとりかたを知らない彼が
口がきけない(=文句を言わない)イライザを口説くおぞましさたるや。
キャンディを手放せないストリックランドの幼稚さも描かれますが、
終始、憎むべき悪役の彼もまた
統治システムの犠牲者であるかのように描くあたりに
ギレルモ監督の憐憫を感じます。
クライマックスで半魚人に反撃されたストリックランドが
喉を引き裂かれたものの殺されはしなかったことに
幾ばくかの情状酌量が窺えました。
また、ソ連のスパイで科学者の
ホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)
イライザの半魚人奪還に加担するのには
求道的な専門家に対する監督の愛情を感じました。

序盤で小さくタップを踏むイライザの可愛さに
すでに心ときめいていましたが、
半魚人を奪還すると決意したイライザが
必死の手話でジャイルズに手助けを請うシーンでは
胸が熱くなり、正直に言うと涙が溢れました。
壁をドンと叩き、
「彼(=半魚人)を助けないなら、私たちも人間じゃない」という
イライザの訴えに胸が痛みます。
人間らしさとは何かを問いかける名シーンだったと思います。
(あと、ストリックランドに手話で「FUCK」というシーンも最高)

ラストシーンで、半魚人に抱かれて海に潜ったイライザは
息を吹き返したようにみえます。
『人魚姫』で、人間になった人魚が言葉を失ったことを思えば、
イライザはもともと人魚だったのではないか
とさえ思えてきます。

「シェイプ・オブ・ウォーター(水の形)」とは
何を意味するのでしょうか。
水は器によって、さまざまに形を変えます。
だからといって、器の形で水を判断してはいけない
ということなのではないでしょうか。
そもそも水に形などないのですから。





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