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神々のたそがれ

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(原題:Hard to Be a God 2013年/ロシア 177分)
監督/アレクセイ・ゲルマン 原作/アルカージー・ストルガツキー、ボリス・ストルガツキー 脚本/アレクセイ・ゲルマン、スベトラーナ・カルマリータ 撮影/ウラジミール・イリイン、ユーリー・クリメンコ 美術/セルゲイ・ココフキン、ゲオルギー・クロパチョーフ、エレーナ・ジューコワ 衣装/エカテリーナ・シャプカイツ 編集/イリーナ・ゴロホフスカヤ、マリヤ・アモーソワ 音楽/ビクトル・レーベデフ
出演/レオニド・ヤルモルニク、アレクサンドル・チュトゥコ、ユーリー・アレクセービチ・ツリーロ、エフゲニー・ゲルチャコフ、ナタリア・マテーワ

概要とあらすじ
「フルスタリョフ、車を!」「わが友イワン・ラプシン」などで知られるロシアの巨匠アレクセイ・ゲルマン監督の遺作で、アンドレイ・タルコフスキー監督作「ストーカー」の原作者ストルガツキー兄弟のSF小説「神様はつらい」を15年の歳月を費やして映画化。完成を目前にして急逝したゲルマン監督の遺志を継ぎ、息子の映画監督アレクセイ・ゲルマン・Jr.が完成させた。地球より800年ほど発展が遅れた惑星を調査するため、30人の学者たちが派遣された。しかし惑星では文明の発展を拒むかのように圧政や虐殺、知識人の抹殺が繰り返されていた。惑星の人々から神のように崇められる存在となった地球人の男ドン・ルマータは、権力者たちの蛮行を傍観し続けていたが……。主人公ルマータ役に「ミッション・イン・モスクワ」のレオニド・ヤルモルニク。(映画.comより



神はさじを投げたのか

構想から35年、撮影6年、編集5年という
壮大なる大作『神々のたそがれ』
完成直前に鬼籍に入ったアレクセイ・ゲルマン監督の意志を継ぎ、
妻と息子が完成させた本作は
想像通りの難解な神話的世界、
しかも決してそうは見えないけれどSFなのです。

地球より800年ほど遅れたどこかの惑星。
街並みが初期ルネサンスを思わせることから
調査のために知識人30人が派遣されたものの、
反動化が進んだ都市では大学が封鎖され、書物は燃やされ、
知識人たちに対する弾圧が行なわれていたのでした。

『フルスタリョフ、車を!』
まあ、さっぱりわからない映画でしたが、
本作はあれをさらに混沌とさせた地獄巡りのような作品です。
冒頭から延々と降り続ける雨によって
至る所が汚泥まみれ。
それが糞尿と混ざり合い、
人々は唾を吐き、盛大に手鼻をかみ、
つねにジメジメびちょびちょとしている画
それだけで気が重くなるのに十分です。
さらには、やたら天井からぶら下がっている道具が画面を遮り
非常にストレスが溜まります。
カメラの前を横切る人々が
唐突に第4の壁を破ってこちらに視線を投げかけてくるので
まるで自分がその世界に紛れ込んだ闖入者のように
居心地が悪くなったりもします。

そんな気分が沈む不衛生極まりない世界でありながら、
やたらと臭いをかぎたがる人々は体臭を気にし、
清潔でいたいと思っているようす。
なかでも主人公のドン・ルマータ(レオニド・ヤルモルニク)
風呂に入り、頻繁に布で顔をぬぐいます。

物語や登場人物をすんなり把握するのはなかなか困難ですが、
『フルスタリョフ、車を!』に比べれば
ほんの少〜しだけわかりやすい……ような気がします。
王室に対して反乱を起こした大臣たちは
商人による灰色隊を結成し、
知識は悪だという考えのもと、弾圧と処刑を繰り返しています。
やがて黒ずくめの僧団が灰色隊を殲滅し、
新たに為政者として力を及ばそうとしているという図式。
邪悪な者は黒や灰色で表され、
無垢な者やドン・ルマータが顔をぬぐう布は白
という色分けも
わかりやすいと言えばわかりやすい。

ドン・ルマータは地球から派遣された知識人のひとりで
弾圧に苦しむ知識人をかくまったりしているのですが、
この惑星からすれば、
ドン・ルマータは宇宙人であり、すなわち神なのです。
地域の異教神ゴランの非嫡出子であるとされている彼は
(↑このことは公式サイトを読んで初めて理解したのだけれど)
だからこそ人々にあこがれと恐れを抱かせるのでしょう。
(余談ですが、ドン・ルマータが
 戦いの時、敵を殺さずに耳を削ぐという逸話を聞いて
 「取」という漢字の成り立ちを思い出したり)

グロさが増す終盤では、
切り取られた首が転がり、
かろうじて心臓が動いている男の腹からは腸があふれ出します。
娼婦は陰茎型の処刑台で身体を切り裂かれ
絞首刑にされた死体には、鳥に目玉をついばませるために、
頭から魚の鱗がかけられます。

強者が弱者を虐げ、たとえ強者を駆逐したとしても、
弱者のなかの比較的強い者が
新たな強者として振る舞うようになる
という
延々と繰り返される愚かな歴史に対して
神はどう対処するのか。
そこで、原作のタイトルでもある
「神様はつらい」なのです。
ドン・ルマータは「神は無力だ」とも言います。
神は人間に対して、さじを投げたのでしょうか。
街が死屍累々となった戦いのあと、
神と呼ばれたドン・ルマータは疲れ果てた表情で
少し眠りたいというのでした。

ほぼ3時間という上映時間はたしかに長いし、
理解しづらいことも多いのですが、
濁流のように流れ続ける濃密な映像は
取り憑かれたように魅入ってしまうこと、請け合いです。





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