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ぼくらと、ぼくらの闇

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(原題:Super Dark Times 2017年/アメリカ 103分)
監督/ケヴィン・フィリップス 脚本/ルーク・ピオットロースキー、 ベン・コリンズ 撮影/イーライ・ボーン 音楽/ベン・フロスト
出演/オーウェン・チャンベル、チャーリー・ターハン、エリザベス・カプチーノ、マックス・タリスマン、ソーヤー・バース、エイミー・ハーグリーヴス、イーサン・ボットウィック、ジャスティン・ローズ、サマンサ・ジョーンズ、ジェフリー・アラン・ソロモン

概要とあらすじ
ある悲惨な事故がもとで仲違いした10代の少年2人。親友という、かけがえのない存在のはずだった。でも今、恐怖と狂気が2人のきずなを引き裂いていく。(Netflixより



不可分なエロスとタナトス

ええと、多分ですが、
日本未公開の『ぼくらと、ぼくらの闇』
NETFLIXにゴロリとあったので
観てみましたとさ。

日が暮れようとしている時間の美しい映像に始まり、
大きく割れた建物のガラスへと移行、
床に落ちている血痕を辿っていくと
息絶え絶えの鹿が横たわっている……
というオープニングは
静謐かつ不穏な空気を漂わせています。
鹿が飛び込んでしまった高校の教室にやってきた警官は
まだかすかに息のある鹿に躊躇しつつとどめを刺すのですが、
このシーンがこれからの物語を
暗示しているのは明らか。
(宗教的な暗喩があるのかもしれないが、
 それはわからん)

ザック(オーウェン・チャンベル)
ジョシュ(チャーリー・ターハン)は大の仲良し。
中学の(?)卒業アルバムをみては
このコはヤレるだの、この先生はマジエロいだのと
童貞トークできゃっきゃいうとります。
なかでもアリソン(エリザベス・カプチーノ)という美少女には
ふたりとも密かに恋い焦がれているのでした。
子供らしくチャリで遊びに出かけると
デブのダリル(マックス・タリスマン)
中学生のチャーリー(ソーヤー・バース)と合流。
コンビニで買ったスルメを食べてみて
うへ〜まじ〜とか言ってはしゃいでいる
スクールカーストの下位に属するぼんくら仲間。
それでもまあ、なにも問題がないうちは
甘酸っぱくも楽しげな友人関係を築いているのです。
とくに説明はありませんが、
携帯電話がなく、みな固定電話でやりとりしているのは
テレビにクリントン大統領の演説が映ることから
舞台が90年代だからだとわかります。
なぜこの時代設定にしたのかは興味深いところ。

くすぐったい青春物語のような序盤のあと、
ぼんくら4人組は、海兵隊だというジョシュの兄の部屋で
日本刀(なぜか真剣)を発見。
「トキオ〜! フ〜ァック!」とかいいながら、
牛乳パックを斬って遊んでいると、
ダリルが兄の部屋から大麻をくすねていたことが判明。
逆上するジョシュと意地を張るダリルの口論がはじまり、
もみあったはずみに
ジョシュが手にしていた日本刀が
ダリルの喉を切り裂いてしまう
のでした。
泣きわめくジョシュ。
そして激しく動揺するザックとチャーリーでしたが、
彼らは落ち葉でダリルの死体を覆い、
事実を隠蔽しようとするのでした。
これは彼らの悪意によるものではなく、
事態の大きさに対処できないがゆえの
動揺がもたらした突発的な判断ではないでしょうか。
案の定、彼らはその間違った判断によって
この後苦しむことになるのです。

意外にも、年下のチャーリーが
もっとも冷淡な態度を見せていましたが、
演じるソーヤー・バースの演技は見事でした。
老け顔のザックはさておき、
ボサボサ頭でメガネ、
口元のニキビも青臭いジョシュの
神経質そうな演技は絶妙でした。

何事もなかったように過ごすつもりの彼らでしたが、
心配性のザックは気が気ではありません。
とくにその後のジョシュが引きこもってしまうため、
なおさらザックの強迫観念は増幅し、
夢にダリルの亡霊まで現れるように。
そんな心安まる暇がないにもかかわらず、
アリソンがザックに猛アタック。
願ってもないチャンスなのに気が乗らないザック。
ザックと彼の母親との関係も
彼の未成熟さを表しているのではないでしょうか。

本作は図らずも友人を殺してしまったという
サスペンスに加え、もしくはそれと同等に
思春期の性衝動が描かれます。
ジョシュがのりで手をべとべとにした女子に興奮したり、
シャーペンの芯を出し入れしながら
あへあへとあえぐ女子がいたり、
ザックにいたっては
ダリルの死体が埋まっている落ち葉の下に
下着姿のアリソンをあてがい、
身体を重ねることまで妄想
します。
エロスとタナトスが不可分なものとして描かれているのです。
ところで、武器として使われるのが日本刀というのも
アメリカ人にとってのファンタジー=倒錯を
象徴しているようにも思います。

ひきこもってウジウジしていたと思ったら
どういうわけかタナトスに取り憑かれたジョシュは
捨てたはずの日本刀を取り戻し、
ダリルの死体をさらに切り刻み、
かねてから憎らしかったいじめっ子を殺し

ついにアリソンまで標的にします。
ていうか、アリソンはまじめそうな外見とは裏腹に
結構やんちゃで危なっかしいのです。
危険を察知したザックが助けに現れるものの、
なにかに憑かれたジョシュに返り討ちに遭います。
ザックがしっかり滅多刺しにされるのも
日本刀の怖さを物語っていてナイス。

かろうじて生き残ったアリソンは授業に復帰していましたが、
首の後ろの切り傷を気にして
まとめていた髪の毛をときました。

まるでそれは、羽目を外したひとときを
恥じるようでもあり、懐かしむようでもあり。
幾分晴れやかな表情にもみえました。
思春期とは、概ね無残なものです。





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