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ハードコア

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(原題:Hardcore Henry 2016年/ロシア・アメリカ合作 96分)
監督・脚本/イリヤ・ナイシュラー 製作/ティムール・ベクマンベトフ、イリヤ・ナイシュラー、インガ・ベインシュタイン・スミス、エカテリーナ・コノネンコ 撮影/セバ・カプトゥール、ヒョードル・リャッス、パシャ・カピノス 編集/スティーブ・ミルコビッチ 音楽/ダーシャ・チャルーシャ
出演/シャルト・コプリー、ヘイリー・ベネット、ダニーラ・コズロフスキー、アンドレイ・デミエンティエフ、ダーシャ・チャルーシャ、スベトラーナ・ウスティノバ、ティム・ロス

概要とあらすじ
サイボーグ化された男性が愛する妻を救うべく壮絶な戦いに身を投じる姿を、主人公の一人称視点のみで描いた新感覚アクション。ロシア出身の新人監督イリヤ・ナイシュラーが制作したプロモーション映像がネット上で大きな反響を呼び、クラウドファウンディングによって長編映画化が実現。2015年トロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門でプレミア上映され、ピープルズチョイス・ミッドナイトマッドネス賞を受賞した。見知らぬ研究施設で目を覚ましたヘンリー。彼の身体は事故によって激しく損傷しており、妻と名乗る女性エステルによって機械の腕と脚が取り付けられる。さらに声帯を取り戻す手術に取り掛かろうとした時、施設を謎の組織が襲撃。脱出を試みたもののエステルをさらわれてしまったヘンリーは、超人的な身体能力を駆使して救出に向かう。「第9地区」のシャルト・コプリー、「イコライザー」のヘイリー・ベネット、「レザボア・ドッグス」のティム・ロスらが出演。(映画.comより



ひとつの映像的実験

FPS(ファースト・パーソン・シューティング)ゲームを
模したような全編主観映像の『ハードコア』
劇場公開されたとき、
それなりに話題になっていたので興味はあったのですが、
3DやIMAXなどの臨場感ありすぎな映像が苦手なボクは
やむなくスルーしたのでした。
そして遅ればせながらDVDで観てみると、
やっぱり映画館に観に行かなくてよかったと
胸をなで下ろしています。
これは酔うわ。うん、酔うね。

全編POVというのは、
やはりかなり大胆な挑戦ではあります。
イリヤ・ナイシュラー監督
FPSゲームだけでなく、古くからある主観映像表現を
十分に研究したうえで本作に挑んだとのこと。
低予算ホラー映画でよく用いられるPOVには
なんでとっとと逃げずに撮影してるの? とか、
で、この映像は誰が編集したの? とかいう
看過しがたい齟齬があったりするものですが、
本作はほぼサイボーグ化された主人公ヘンリーの
見ているものそのもの
ということで、
一応カメラの問題はクリアしているように思えます。
(ま、メガネにカメラが仕込まれているという設定の
 POVホラー映画もあったけど)
ただ、それなら『ヴィクトリア(2015)』のように
たとえ疑似でも全編ワンカットになるはずですが、
カットはわりとわかりやすく割ってあったりします。

冒頭、意識を取り戻したヘンリーは
どうやら科学者の女性によって失った左腕と左足に
超特別な義手&義足を取り付けてもらいます。
妻と名乗るその女性はヘンリーにやさしく話しかけますが、
声が出せないヘンリーは頷くしかできない……というのを、
カメラを上下左右に振って首の動き表現するのをみて
こりゃ、AVの「完全主観」シリーズやないかい!
と、突っ込んだのはボクだけではないはず。
主人公の顔を映さず、声も出さないというのは、
主人公の匿名性を確保し、
観客が自己投影する余地を設けるための手法でしょうが、
これに関しては
日本のAVのほうがかなり先を行っているんじゃないのと
思ったりました。

なぜか格闘スキルだけは高いヘンリーは
次から次へと襲ってくる刺客を蹴散らします。
次はどこへ行って何をしろという指南係の
ジミー(シャルト・コプリー)
が登場して、
まるっきりゲームのプレイ動画のよう。
かなりの部分でCGを使わず、人力でやっているらしく、
たしかに臨場感はこの上なく、
撮影にもかなりの創意工夫が感じられるのですが、
わりと早い段階で
このFPS的主観映像に飽きてしまいました。

なんといえばいいのでしょうか。
シーンの空気感を感じられない……とか
空気みたいなことをいっても仕方ありませんが、
臨場感を引き立てるはずの手法に
まったくのめり込めないのです。
まさにYoutubeに上がっているようなゲームのプレイ動画や
いやはや実際にゲームをプレイしたときのような
仮想現実感がどうしてもぬぐえないのです。
それは、大量のザコも含めた登場人物たちの死から感じる
軽さにも通じると思います。

結局なにがしたいのかよくわからない
エイカン(ダニーラ・コズロフスキー)という敵ボスが
なぜか超能力を使えるのはズルい気がしましたが、
この際、物語とか設定とかはどうでもよく、
映画の面白さとはなんぞや? みたいなことを
考えざるを得ません。

繰り返しますが、
本作は主観映像を貫徹するための
さまざまな創意工夫が感じられるものの、
撮影手法を前提としてアイデアを凝らすことが
そもそも本末転倒のように思います。
主観映像が非常に効果的な演出方法であることは
間違いありませんが、
時系列を変えられなかったり、
客観的な構図や抽象的なインサートができないといった
弊害も少なからずあるのではないでしょうか。

要は、臨場感を増せば
映画の面白さが増すということではない
ということが
本作を観ればわかります。
ことさら本作がダメってわけではありませんが、
あらたな映画の有り様を提示するというよりは、
ひとつの映像的実験くらいに留めるべきではないでしょうか。





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