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ルイの9番目の人生

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(原題:The 9th Life of Louis Drax 2016年/カナダ・イギリス合作 108分)
監督/アレクサンドル・アジャ 製作/ショーン・ウィリアムソン、アレクサンドル・アジャ、ティモシー・ブリックネル、マックス・ミンゲラ 原作/リズ・ジェンセン 脚本/マックス・ミンゲラ 撮影/マキシム・アレクサンドル 美術/レイチェル・オトゥール 衣装/カーラ・ヘットランド 編集/バクスター 音楽/パトリック・ワトソン
出演/ジェイミー・ドーナン、サラ・ガドン、エイダン・ロングワース、オリバー・プラット、モリー・パーカー、ジュリアン・ワダム、ジェーン・マグレガー、バーバラ・ハーシー、アーロン・ポール

概要とあらすじ
9年で9度死にかけた不思議な少年の物語を描いたベストセラー小説を映画化。「イングリッシュ・ペイシェント」の故アンソニー・ミンゲラ監督が映画化を望んでいた企画で、ミンゲラ監督の死後、息子で俳優のマックス・ミンゲラが、プロデューサー兼脚本家として映画化を実現した。少年ルイ・ドラックスは、大変な難産の末にこの世に生を受けてから、毎年のように必ず事故にあい、そのたびに生死の境をさまよってきた。そして9歳の誕生日に崖から転落したルイは、ついに意識不明の重体になってしまう。担当医のパスカルは必死にルイを救おうとするが、両親やパスカルなど周辺の人々の身に、不可解な出来事が次々と起こり……。少年ルイを演じるのはオーディションで選出されたカナダの子役エイダン・ロングワース。担当医パスカルに「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のジェレミー・ドーナン。監督は「ホーンズ 容疑者と告白の角」のアレクサンドル・アジャ。(映画.comより



概ねそれは男のだらしなさ

あまりいい例えではないかもしれないが、
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』みたいな
変わった設定のハートウォーミングな映画かと思っていたら
がっつりミステリーだった
『ルイの9番目の人生』
監督は『ホーンズ 容疑者と告白の角』
アレクサンドル・アジャ

前髪だらんでなかなか色っぽい少年
ルイ(エイダン・ロングワース)
生まれるときから8歳になるまで
毎年のように事故に遭い、瀕死の重傷を負っていたのでした。
そんな彼が9歳になる誕生日、
母親ナタリー(サラ・ガドン)
父親ピーター(アーロン・ポール)とともに
東尋坊みたいな断崖絶壁の場所へとピクニックに出かけ、
おあつらえ向きに「89」とプリントされたTシャツを着たルイは
どういうわけか海へと真っ逆さまに堕ちてしまうのです。
救助されたルイはすでに心肺停止状態。
検視によって死亡が確認されたと思ったら、
その2時間後に息を吹き返し、
植物状態ではあるものの、一命を取り留めたのでした。
かたや行方が解らない父親ピーターは
ルイを崖から突き落とした容疑者として
指名手配されるのです。

昏睡状態のルイによる回想形式で
物語が進む本作。
一度はルイの死亡を報された母親ナタリーは
激しく動揺するものの、
ルイが一命を取り留めたことを知ってからは
妙に落ちついた雰囲気で、どうもおかしい。
それどころか担当医のパスカル(ジェイミー・ドーナン)
絶妙な距離感を保ちつつ、迫ってくるのです。
「猫には9つの命がある」という
根拠がさっぱりわからない持論(?)に基づいて
すでに8回死んでいるルイに
「あとひとつの命だから大切にしてね」と諭すナタリーは
この時点で言っていることが腑に落ちないし、
ルイを連れて水族館に遊びに行ったピーターが
元妻の女性とその家族に偶然出くわしたことを知って
激昂するナタリーの姿をみても
まともな話が通じる人間ではなさそうだとわかります。
よって、わりと早い段階で
あ、この母親ナタリーが事件の真相を握っているんだな
察しがつきます。
「あいつが犯人だって、すぐわかったよ〜えへん」とか
間抜けなことをいいたいわけではなく、
本作をもってして
「ラスト9分に待ち受ける大どんでん返し!」などと評するのは
さすがに無理があるだろうと言いたいのです。

終盤でパスカルの口を借りて語られる真相は
予想通りナタリーが一枚噛んでいたという
種明かしそのものよりも
ナタリーの歪んだ自己愛とそれに答えようとするルイとの
いびつな共依存関係
にこそ
本作の魅力があるのではないでしょうか。
なんかややこしい病名の精神疾患を患っていたナタリーは
ひとから同情されることでしか自我を保てず、
同情を惹くためにルイを命の危険にさらしていたのでした。
ルイが天井から落ちてきたシャンデリアの下敷きになったり、
コンセントで感電したり、食中毒になったりしたのは、
すべてナタリーの仕業だったのですが、
じゃあ、叫び続けて呼吸が9分間停止したときは、
ナタリーはどうやって関与したのかといえば、
良心的に考えれるなら、
ルイがナタリーの望みを叶えるために自ら呼吸を止めた
ということなのでしょう。

セラピストから「父親を選べるなら誰がいい?」と質問されたルイが
冗談めかして「あなた」と答えるのは、
ルイが大人を喜ばせる術を知っているからでしょう。
ナタリーの異常な行動を理解したうえで
それに応えようとするルイは
なんとか母親の愛情をつなぎ止めようとしていたのかもしれません。
しかしその反面、
大人になるまで無事に生きていられないだろうという恐怖も感じていたはずで、
むしろ本当の父親ではないピーターに
本物の愛情を感じ、助けを求めていたのではないでしょうか。

本作に登場する夫婦は
ピーターの元妻の家族を除けばみな上手くいっておらず、
概ねそれは男のだらしなさに起因しているようです。
だからこそ事件を捜査する刑事に配役されたのは
男性に媚びる気がまったくなさそうな女性なのです。

それにしても、パスカルの情けなさときたら。
あっさりとナタリーにメロメロになるわ、
もともと夢遊病だったとはいえ、
ルイには紛らわしい手紙を書かされるわ、
とにかく操られっぱなしなのです。
とうとう妻から家を追い出されたパスカルが
精神病院に収容されたナタリーを訪ねると
彼女のお腹は大きくせり出し、臨月間近。
もちろんパスカルの子供です。
生まれてくる子供は、またしてもナタリーによって
死なない程度に痛めつけられるのでしょうか。
先が思いやられます。

大量の「ごはんですよ」を頭から浴びたようなクリーチャーが登場し、
デルトロ風味な楽しさもありましたが、
ミステリー的なひねりはいまひとつ、かも。





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