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ヒトラー暗殺、13分の誤算

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(原題:Elser 2015年/ドイツ 114分)
監督/オリバー・ヒルシュビーゲル 製作/ボリス・アウサラー、オリバー・シュンドラー、フレート・ブライナースドーファー 脚本/レオニー=クレア・ブライナースドーファー 撮影/ユーディット・カウフマン 音楽/デビッド・ホームズ
出演/クリスティアン・フリーデル、カタリーナ・シュトラー、ブルクハルト・クラウスナー、ヨハン・フォン・ビューロー、ダービット・ツィンマーシート

概要とあらすじ
「ヒトラー 最期の12日間」のオリバー・ヒルシュビーゲル監督が、ドイツ国家が長年にわたって封印してきたヒトラー暗殺未遂の真相に迫ったドラマ。1939年11月8日、ミュンヘンのビアホールで演説を行なったヒトラーは、演説を予定より早く切り上げ会場を後にした。それからわずか13分後、ホールに仕掛けられていた時限爆弾が爆発。大胆かつ緻密な計画や爆弾の精密さから、秘密警察はイギリス諜報員の関与を疑うが、やがて田舎の家具職人ゲオルク・エルザーの単独犯行であったことが判明する。それを知ったヒトラーは、事件を起こすまでのエルザーの人生を徹底的に調査するよう命令を下す。出演は「白いリボン」のクリスティアン・フリーデル、「コーヒーをめぐる冒険」のカタリーナ・シュトラー、「コッホ先生と僕らの革命」のブルクハルト・クラウスナー。(映画.comより



これもまた「間違った正しさ」か

ナチスにまつわる事実に基づいた映画は
これまでも数多く作られてきましたが、
次から次へと明らかにされる衝撃の事実を知ると
いったいどれほど多くの悲劇が生まれたのかと
暗澹たる気分になります。

『ヒトラー暗殺、13分の誤算』が異色なのは
ヒトラー暗殺を計画した青年ゲオルク(クリスティアン・フリーデル)
ナチスの脅威に怯える被害者ではなく、
政治的イデオロギーの対立からナチスに対抗するのでもない
というところではないでしょうか。
家具職人でありミュージシャンでもあるゲオルクは
ただひたすら自由を愛し、
自由を阻害するからこそヒトラーを憎んだのです。
「13分の誤算」によってヒトラー暗殺は未遂に終わりましたが、
完全な単独犯であるゲオルクに対して
ヒトラーの命を受けた秘密警察は
彼には必ず黒幕がいるはずだと執拗に拷問を続けます。
実行力のある反対勢力の存在を恐れたのかもしれませんが、
黒幕の存在を認めさせたがっているように見える秘密警察の追求からは
むしろゲオルクが単独犯であることのほうを
恐れていたのではないか
、と思えてきます。
精巧かつ威力抜群の時限爆弾をたった一人でつくり、
暗殺を実行してしまう個人がいるという事実を
認めたくなかったのではないか。

ナチスに翻弄される人々の中で
もっとも嫌悪感を抱くのは
ナチスの制服を着て喜ぶ子供たちでしたが、
ユダヤ人の恋人がいる女性を辱める隣人たち、
すぐに寝返るお調子者や
捕らえられみすぼらしく衰弱するものがいるなかで
享楽主義的なゲオルクは独特の心の強さを見せています。
人妻に恋をして、その家に居候までしてしまうのは
さすがに自由すぎるだろうとは思いましたが、
ナチスのおかげで景気がよくなる、道が舗装されると聞いて
喜ぶ周囲の人々とは裏腹に
自由を奪うナチスの危険性を察知したゲオルクは
ヒトラー暗殺を決意するのでした。
それが第2次世界大戦に突入する前の1939年ということが
彼の先見性を示しているのかもしれません。

しかし、ゲオルクも真に正しい人間つは言えず、
ヒトラー暗殺を果たせなかっただけでなく、
その場にいた8人の犠牲者を出してしまいます。
秘密警察に逮捕された後、被害者に対する謝罪の意を表すものの、
ヒトラー暗殺という大義のためには
少しの犠牲は覚悟していたというゲオルクもまた
ナチスと同類の「間違った正しさ」に
囚われていたのかもしれません。

最後に映し出されるゲオルク本人の写真をみると
クリスティアン・フリーデルとよく似ています。
取調中に拷問を受けるゲオルクと
彼の回想シーンが交錯しながら進む本作はテンポが軽快で
見せられる場面の内容が深刻なわりには
重苦しさを感じることはありませんでした。
それがいいことなのかどうか、わかりませんが。





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