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スポンティニアス・コンバッション 人体自然発火

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(原題:Spontaneous Combustion 1990年/アメリカ 97分)
監督/トビー・フーパー 脚本/トビー・フーパー、ハワード・ゴールドバーグ 原案/トビー・フーパー 製作/ジム・ロジャース 撮影/レヴィ・アイザックス 音楽/グレーム・レベル
出演/ブラッド・ドゥーリフ、シンシア・ベイン、ジョン・サイファー、ウィリアム・プリンス、メリンダ・ディロン

概要とあらすじ
核実験の結果、ある日突然自らの体が燃え上がるという超常現象に見舞われる主人公の姿を描くSF作。製作はジム・ロジャース、監督・原案は「スペースインベーダー」のトビー・フーパー、脚本はフーパーとハワード・ゴールドバーグの共同、撮影はレヴィ・アイザックス、音楽をグレアム・レヴェルが担当。出演はブラッド・ダリフ、シンシア・ベインほか。1955年、ネヴァダ砂漠で行なわれた水爆実験において抗放射線ワクチンを投与され実験台となったジョーンズ夫妻は無事男児を出産した。しかしその手には無気味な丸い腫瘍が…。数日後、夫妻は突然体から火を吹き出し焼死した。実験に参加した科学者チームはそれをワクチンの異常増殖による(SHC)=人体自然発火であると判断したが、なぜかその真実は闇に葬られた…(映画.comより抜粋



これぞ老害!

R.I.P トビー・フーパー。
火の気のないところで焼死体が発見されたことから
伝説のように語られている
SHC(Spontaneous Human Combustion)=人体自然発火
大胆な発想で描いた
『スポンティニアス・コンバッション 人体自然発火』
世の評価は決して高くない本作ですが、
いやあ、わりと面白いっすよ。

ネバダ州の砂漠で「サムソン計画」という
水爆実験が行なわれようとしておりました。
志願して実験台となり、
地下深くに埋められた核シェルターに入り込んだ若きベル夫妻は
実験による激しい爆風に怯えながらも
放射能の影響を受けることなく無事に生還。
核開発事業を営む会社や軍関係者から祝福されるも、
なんと、ベル婦人の妊娠が発覚。
シェルターの中でエッチしちゃったんですね。若いから。
想定外の事態に動揺する関係者たちでしたが、
計画の大ボス、ドクター・ルー(ウィリアム・プリンス)
鶴の一声で出産を許可。
右手の甲にアザがあることを除けば元気な男の子が
広島原爆投下と同じ8月6日に生まれ、喜びに浸っていたのも束の間、
体温計の水銀が漏れたのをきっかけに
突如、ベル夫妻の身体から炎があがり、
ふたりは炭になってしまう
のでした。

実験に挑むベル夫妻が
抗放射線ワクチンなるものを投与されたり、
放射能が伝染するみたいな表現があったり、

いろいろと設定がめちゃくちゃなのですが、
人体が自然発火するお話なので
そのあたりは未知のウイルスくらいの感じだと思えば
さほど気にはなりません。
ただ、ベル夫妻と生まれてきた赤ちゃんが
自然発火する体質になってしまったのは
放射能の影響ではなく、
投与された怪しいワクチンの副作用が原因という設定なので
そもそも放射能は関係ないがな、
とは思います。

時は過ぎて、成長した赤ちゃんは
サム(ブラッド・ドゥーリフ)となり、演劇の稽古中。
彼の演技力はどうやら不評のようですが、
美しい彼女リサ(シンシア・ベイン)とは
うまくいっているご様子。
ブラッド・ドゥーリフ(『カッコーの巣の上で』!)が
童顔でもあるし、サムとリサは
学校内でいちゃついているだけなので
学生かと思っていたら、サムは高校教師でした。
しかも、ドクター・ルーの孫娘レイチェル(デイ・ヤング)
すでに離婚しているにもかかわらず、
食事の待ち合わせをしたりしているので、
人間関係がいまいちわかりづらいです。
ほかにも、ドクター・ルーに
ドクター・マーシュ(ジョン・サイファー)に
ドクター・パーソンズに、と
ドクターだらけで混乱します。
さらに、サムが着ているジャケットの右腕には
反原発のマークをあしらったワッペンが付いていて
その後再稼働することになる原発に反対する活動グループに
属しているようなのですが、
それに関しても納得できるような説明はありません。

まあとにかく、サムの腕から
ぶすぶすと火が出たりするようになるので
力一杯テンパっているサムは
リサの勧めで占いのラジオ番組に相談してみたりするのです。
(ここで焼死するラジオ局職員は監督のジョン・ランディス)

あとはもう、どんどん事態がエスカレートし、
どんどん燃えるのです。わっはっは!
サムが興奮すると火が出ちゃうし、
人に触れたら火が出ちゃうし、
喋ってる電話の受話器からも火が出ちゃうし、
果ては遠く離れた原発までサムがコントロールしちゃうのです。
整合性を問うなど愚の骨頂。
漫画チックに人体から立ち上がる炎は
ちょっとクローネンバーグ味すら感じるシュールさで
だんだんと外連味すら感じはじめます。
俳優陣の熱演も相まって
荒唐無稽な描写に思わず胸が熱くなるのです。

結局、すべての黒幕はドクター・ルーで
ベル夫妻の夫(サムの父親)からして
ドクター・ルーに買収されていたことが判明。
ドクター・ルーの計画通りに夫婦に子供をつくらせ、
生まれた子供=サムを
(ちなみにサムの本名はデイビッドだったりしますが)
世界を抹消するシステムすなわち洗練された核兵器にすることが
目的だったのです。
そのために、やはり自然発火の体質を持つリサを手なずけ、
サムに接近させるという周到ぶり。
さらには自然発火チルドレンであるサムとリサの間に生まれるであろう
孫の誕生を待ちわびているのでした。
なんという、おじいちゃんの発想! これぞ老害!

とはいえ、
そもそもドクター・ルーはサムをコントロールできていないし、
なにかというと火が出るサムは
その都度焼けただれてぼろぼろになっていく
ので
兵器としてまったく役に立ちません。
なんという杜撰な計画!
あとから考えると、暗躍するドクター・マーシュは
ドクター・ルーの計画を阻止しようとしていたのかもしれないが、
負けず劣らずマッドサイエンティストな立ち振る舞いで
サムとリサを殺すことしか考えていないので
対立する構図として非常にわかりづらいのです。
ドクター・ルーの孫娘でサムの元妻、
かつ今はドクター・マーシュの恋人であるレイチェルにおいては
どういう存在なのか、さっぱりわかりません!

ともかく、
生まれたときから、いや、生まれる前から
人生を翻弄され続けてきたサムの絶望
を思うと
心が痛くなります。
腕から火を噴きながら泣きわめくリサを助けるため、
リサの炎を自らの体に吸い取って
(ということらしい)
アスファルトの地面に溶けて消えていくサム……
という、なし崩しのラストは
自分は一体何を見ていたんだろうという忘我の域に入り、
サムの無念に思いを馳せるのでした。





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