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KUBO クボ 二本の弦の秘密

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(原題:Kubo and the Two Strings 2016年/アメリカ 103分)
監督/トラビス・ナイト 製作/アリアンヌ・サトナー、トラビス・ナイト 原案/シャノン・ティンドル、マーク・ハイムズ 脚本/マーク・ハイムズ、クリス・バトラー、 キャラクターデザイン/シャノン・ティンドル 撮影/フランク・パッシンガム 美術/ネイサン・クロウリー 衣装/デザインデボラ・クック 編集/クリストファー・マーリー 音楽/ダリオ・マリアネッリ
声の出演/アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ、ジョージ・タケイ、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、ブレンダ・バッカロ
(日本語吹き替え)矢島晶子、田中敦子、ピエール瀧、川栄李奈、羽佐間道夫、小林幸子

概要とあらすじ
「コララインとボタンの魔女 3D」などを手がけたアニメーションスタジオのライカが、中世の日本を舞台に勇敢で心やさしい少年の冒険を描き、第89回アカデミー賞で長編アニメーション部門にノミネートされたストップモーションアニメ。魔法の三味線と折り紙を操る片目の少年クボは、体の弱い母と2人で静かに暮らしていた。不吉な子どもとして一族から命をねらわれていたクボは、ある時、邪悪な伯母たちに見つかってしまうが、母親が最後の力を振り絞って放った魔法によって助けられる。たった1人残されたクボは、母の力によって命を吹き込まれたサルとともに、母が最後に言い残した「3つの武具」を探し、自身の出自の秘密に迫る旅に出る。旅の途中で記憶を失ったクワガタの侍も仲間に加わり、一行は数々の困難を乗り越えて武具を見つけていくが……。シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、レイフ・ファインズ、ルーニー・マーラらが声優として出演。(映画.comより



「物語」こそ今を生きる力

ストップモーション・アニメで名高いスタジオ、
ライカによる『KUBO クボ 二本の弦の秘密』

『コララインとボタンの魔女』
私的にはいまひとつだったけれど、
『パラノーマン ブライス・ホローの謎』は大好きな作品です。
さらに本作は日本が舞台の時代劇ということで
否が応でも期待が高まります。
トラビス・ナイト監督は本作を
「日本に対するライカ全員からのラブレター」
インタビューで語っておられ、
日本の浮世絵やアニメなどの文化が世界に与えた影響は
多大なものだなあと思う反面、
果たしていまの日本に彼らのラブレターを受け取る資格があるのか、
はなはだ疑問ではありますが、
まあ、とにかく。
高度なアニメーションを存分に堪能するため、
あえて吹き替え版を観てまいりました。

ライカのストップモーション・アニメの素晴らしさについては
いまさら語ることもありませんが、
それでもメイキングなどをみるにつけ
その途方もない労力に圧倒されます。
パペットを使ったストップモーション・アニメは
3DモデリングによるCGアニメとは明らかに違う質感があり、
実在するモノが有する説得力を改めて認識できますが、
(メイキングをみると、そのセットの大きさに驚きます)
本作くらいの精巧さになると
ストップモーションかCGかなどということを
まったく意識することはありません。
今後、あえてアニメーションの精度を落として
パペットらしさを多めに残すようなことも
あるんじゃなかろうかと思うほど、です。

生まれて間もない頃、
全能を自負する祖父=月の帝によって
左目を奪われたクボ
アイパッチをして前髪で片目を隠している
その鬼太郎ちっくな風貌から
子供ながらにして大人びたダンディズムを有する
キャラクターだと思っていましたが、
意外にも子供らしい幼さを持った少年でした。
(あと、クボは名字じゃなかった
また、クボが片目になった理由が
物語上の秘密にされていないのは
若干拍子抜けしました。
クボをはじめとする登場人物たちの目は
一様に一重まぶたの切れ長の目
日本人らしい特徴を備えていると同時に
とても危ういバランスのデザインだなあと思いましたが、
村の盆踊りのシーンで流れる「炭坑節」を耳にすると
監督をはじめとする制作スタッフたちが
日本風イメージに甘んじるのではなく、
文化の盗用(cultural appropriation)に陥る危険を慎重に回避しつつ、
がっつりと日本を描こうとする気概が伝わってきました。

クボが物語を語りながら折り紙を操るシーン
パペットが紙の人形を操るという二重の意味で
アニメーションをみる喜びに溢れていましたが
クボがなぜそのような特殊な能力を身につけているのかは謎。
ま、いいか。
ともかくストーリーはとてもシンプルで
死んだ父親=ハンゾウの魂と一目会いたいがために
母のいいつけを破ってしまったクボが
その代償として母を失い、
桃太郎よろしく口うるさい猿とオツムの弱いクワガタを従えて
3つの武具を探す旅に出るのでした。
いわずもがなクボの旅は彼の成長譚であり、
隠された過去を巡る謎解きのイニシエーションなのです。
いつも言い争っていた猿とクワガタが
いつしか子供のクボには理解しがたい親好を深め、
(クボが眠っている隙に……というシーンまである)
じつは猿=母親、クワガタ=父親という
灯台もと暗しな真実にたどり着きます。

タイトルの「二本の弦の秘密」は
母親の髪の毛と父親が持っていた弓の弦、
そしてクボの髪の毛を三味線の弦にして戦うクライマックス

明らかに。
灯籠流しに象徴されるように、
想い出=死者を悼む気持ちこそが生を生たらしめ、
記憶を紡ぐ「物語」こそ今を生きる力なのだという、
胸熱な展開に。
ま、家族愛を三味線の弦に喩えると核家族限定になるのでは?
という考えが0.001秒ほど頭をかすめましたが、
そんなことはどうでもよく、
クボとの戦いに敗れた月の帝がそれまでの記憶を失い、
村人たちに慰められることで生まれ変わるラストシーンは
悪を断罪して終わりとする悪しき二元論に陥るのを避け、
愛を知らなかったばかりに悪へ堕ちてしまったものに対する
すがすがしくも慈愛に満ちた幕引き
でした。

これまた楽しい2Dアニメが楽しめるエンドロールでは
ジョージ・ハリスン「while my guitar gently weeps」
カバーが流れ、え? ギター? と思いつつも
グッときました。

悪役の母の妹ふたり(双子?)のキャラクターが
かっこよかったし、
村人モブの繊細な動きやアクションシーンも素晴らしかったです。
これはさすがにCGだろうと思っていた海の荒波も
ストップモーション・アニメだったと知って腰を抜かしたのは
メイキングを観た後でした。









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