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あなた、その川を渡らないで

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(原題:My Love, Don't Cross That River 2014年/韓国 86分)
監督・撮影/チン・モヨン
出演/チョ・ビョンマン、カン・ゲヨル

概要とあらすじ
結婚76年目の老夫婦の純愛を描き、韓国で大ヒットを記録したドキュメンタリー作品。98歳のチョ・ビョンマンと89歳のカン・ゲヨル夫婦。子どももすでに独立し、結婚76年目を迎えた老夫婦は、毎日おそろいの服に身を包み、恋人同士のように手をつないで歩くなど、川のほとりで仲むつまじく暮らしている。しかし、2人は愛にあふれた現在の生活に満足しながらも、老いから来るそれぞれの身体の異変に心を痛めていた。ある日、妻は夫の咳を聞きながら「天国でも着られるように」と夫の服をたき火にくべる。国内外20の映画祭に出品され、第21回ロサンゼルス映画祭最優秀ドキュメンタリー作品賞ほか、多くの賞を受賞。監督は本作がデビュー作となるチン・モヨン。(映画.comより



羨ましき哉、人生

落涙必至の感動作と評価の高いドキュメンタリー、
『あなた、その川を渡らないで』
観てみました。

生活するのは厳しそうではあるけれど、
のどかで風光明媚な韓国の山村に暮らす
98歳のおじいさんと89歳のおばあさん夫婦。
ふたり一緒に庭の落ち葉を掃いていると
ふざけたおじいさんがおばあさんに向かって集めた枯れ葉をかける。
あんまりしつこいのでおばあさんが機嫌を損ねたとみると
道ばたのヒナギクを摘んでおばあさんにプレゼントするおじいさん。
喜んだおばあさんは、おじいさんの眼鏡の蔓にもヒナギクをつけてやり、
「男前だね〜」なんてうっとり。
夜中におばあさんが屋外の便所にいくときは
おじいさんがついて行ってやり、
おばあさんが用を足し終わるまで歌を歌って待っています。
雪が降ればふたりで雪合戦……。

なんだ、この老夫婦のいちゃつきぶりは!
観ているこっちが気恥ずかしくなるような
うふふでおほほなそのさまは
あまりにも非現実的で芝居がかっているようにも見えます。
それを受けて本作をヤラセだというのは
短絡的な脊髄反射にすぎませんが、
心が荒みきったボクのようなものの目には、
いつもおそろいのカラフルな民族衣装を着て
75年以上の結婚生活を経てなお
こんなにいちゃついていられる老夫婦が
お互いにラブリーな夫婦という幻想を
演じようとしているのではないかとさえ見えてしまいます。

そもそも、本作がデビュー作となるチン・モヨン監督
このふたりに密着しようと思ったきっかけは
「いつもペアルックのかわいいおじいちゃんとおばあちゃん」として
テレビ番組に取り上げられたのを観たからでした。
この老夫婦は、単に仲が良くて可愛いねというだけでなく、
男尊女卑が根強い韓国において(日本も大差ないと思うが)
これほどまでに妻を気遣う夫がいるということにも
驚きがあったのでしょう。

まさか、このまま老夫婦のじゃれ合いを見続けることになるのか、
と不安になりましたがそんなわけもなく、
やがておじいさんの体調が悪化しはじめ、
おばあさんの誕生日を祝う会に集まった子供が
親の世話を巡って口論し、険悪な雰囲気が漂います。
おばあさんが12人産んだ子供のうち、6人が幼くして死んでしまい、
天国にいるその子たちのために寝間着を買いそろえるおばあさん。
当然ながら、おじいさんといちゃついているだけの人生ではないのです。

おじいさんの体調はどんどん悪化しているとはいえ、
まだ生きているうちから
おじいさんの伝統衣裳を燃やして、さきに天国に送るという風習
ちょっと驚きましたが、
おばあさんの看病の甲斐なく、
とうとうおじいさんは息を引き取ります。
当然、おばあさんと家族たちは悲しみに暮れるし、
こっちも自然と目頭が温かくなってきますが、
誰にでも等しく死が訪れます。こればっかりは順番。
おじいさんの死は悲しいけれど、悲劇ではありません。
それよりも、こんなにも連れ合いに愛され、
愛されたまま天に召される人生を送ったおじいさんに
羨望の眼差しを向けるひとのほうが多いのではないでしょうか。

まあ、残されたおばあさんが心配ですが
少なくとも、おじいさんは素晴らしい人生を
全うされたと思います。





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