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IT イット “それ”が見えたら、終わり。

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(原題:It 2017年/アメリカ 135分)
監督/アンドレス・ムシェッティ 製作/ロイ・リー、ダン・リン、セス・グラハム=スミス、デビッド・カッツェンバーグ、バルバラ・ムシェッティ 原作/スティーブン・キング 脚本/チェイス・パーマー、キャリー・フクナガ、ゲイリー・ドーベルマン 撮影/チョン・ジョンフン 美術/クロード・パレ 編集/ジェイソン・バランタイン 音楽/ベンジャミン・ウォルフィッシュ 音楽監修/デイナ・サノ
出演/ジェイデン・リーベラー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウルフハード、ソフィア・リリス、ニコラス・ハミルトン

概要とあらすじ
スティーブン・キングの代表作の1つで、1990年にはテレビドラマ化された「IT」を、「MAMA」で注目を集めた新鋭アンドレス・ムシェッティのメガホンにより映画化。静かな田舎町で児童失踪事件が相次いで起きていた。内気な少年ビルの弟が、ある大雨の日に外出し、おびただしい血痕を残して姿を消した。自分を責め、悲しみにくれるビルの前に現れた「それ」を目撃して以来、ビルは「それ」の恐怖にとり憑かれてしまう。不良少年たちからイジメの標的にされている子どもたちも、自分の部屋、学校、町の中など何かに恐怖を感じるたびに「それ」に遭遇していた。「それ」の秘密を共有することとなったビルと仲間たちは、勇気を振り絞り、「それ」と立ち向かうことを決意するが……。(映画.comより



巧みに行き来する現実と虚構

並み居る傑作を退けて
アメリカホラー映画歴代興収No.1の大ヒットとなった
『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』
かつてティム・カリー主演したテレビドラマから
なんともウマいことに「27年」の時を経て映画化された本作。
50年代から80年代へとシフトされた時代設定や
スティーブン・キングによる1000ページ以上にも及ぶ長編小説を
子供時代に絞って映像化することで、
キング&スピルバーグ的ジュブナイルものの世界観を
存分に再現した内容となっております。
とはいえ、音楽にニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックや
映画館で『エルム街の悪夢』が上映中だったりするものの、
懐かしアイテムをことさら強調しないのは好感が持てました。
ちなみに町山智浩さんによると
「IT」を「それ」と訳すのは間違いで、
本来はかくれんぼやおっかけっこの「鬼」を意味するんだとか。

吃音症のビル(ジェイデン・リーベラー)
まだ幼い弟ジョージー(ジャクソン・ロバート・スコット)のために
紙の船を作ってやりました。
(ジェイデン・リーベラーはやっぱり80’sぽいSFの
 『ミッドナイト・スペシャル(2016)』で主演だった子。
 あっという間に大きくなるのう……)
どしゃ降りの雨の中、
ワックスを塗って水に浮くようにした船を持って
遊びに出かけたジョージー。
道路を流れる水に任せて進む船を追いかけていると
船が側溝から下水道へと落ちてしまいます。
下水の入口をジョージがのぞき込むと
そこにはクラウン=ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)
潜んでいたのでした。さっそく。
ビル・スカルスガルドは、
『アトミック・ブロンド』でシャーリーズ・セロンを
献身的に手助けする役が記憶に新しいイケメンなんですが、
本作ではほぼ原形をとどめていない狂演っぷりです。

で、ジョージーは
ペニーワイズの口車にまんまとひっかかるわけですが、
超自然的に下水道へと引きずり込まれるのではなく、
がっつり右腕をもぎ取られ、
現場に大量の血痕が残される
という描写が素晴らしい。
その後、「ルーザー(負け犬)クラブ」の面々が
ひとりひとりペニーワイズの餌食になる
(というか、挑発を受ける)シーンでは、
想像力たくましい子供ならではの恐怖心によって
自ら恐慌に陥るファンタジックな描写が続きはするものの、
実際に肉体が傷つき、血が流れるということを
最初のシーンで宣言することによって
現実と虚構の境界を曖昧にする効果があるのではないかと
思いました。

「ルーザー(負け犬)クラブ」のキャラ分けは絶妙で
ホラーシーンを除けば
思春期ちょい手前の甘酸っぱいエピソードが満載。
なかでもデブの転校生ベン(ジェレミー・レイ・テイラー)の
報われない恋が切ない。
子供たちはそれぞれ支配的な親によって苦しめられていて、
親離れ(親殺し)
ペニーワイズとは別の彼らが立ち向かうべき戦いとして
描かれていたのも本作に厚みを持たせたのではないでしょうか。
とはいえ、本作で描かれるのは抽象的な親殺しではなく、
実際に殺してしまっているので
現実の彼らはそのあと大変な目に遭うはずなのですが、
そこはファンタジーとしてぼんやりさせています。

喧嘩もしたけど僕たち仲間だよね♡と、
心をひとつにした子供たち。親も殺したし。
井戸のある廃屋に乗り込んだ面々が
ついにペニーワイズと対決するクライマックス。
これはペニーワイズいじめなんじゃないのかと思うほど
よってたかってペニーワイズを攻撃するのですが、
それぞれの恐怖心に合わせて姿を変えるペニーワイズが新鮮。
そもそもこの舞台となる街に27年おきに起こる惨事は
ペニーワイズという悪魔がひとりで行なった凶行というよりも、
街に刻まれた禍々しい過去によるもので
ある意味、ペニーワイズも被害者なのではないか?
なんてことが0.1秒くらい頭をよぎったりしましたけれど
ま、とりあえず成敗するしかありませんな。

ところで、ペニーワイズには
モデルとなったジョン・ヴェイン・ゲイシーという連続殺人鬼がいて
ピエロに扮して6年間で33人も殺害したんだとか。
赤い風船がトレードマークのペニーワイズが
「ふわふわ浮かぶ」という言葉を何度もささやいていましたが、
どうやらこのセリフの元ネタは
ジョン・ヴェイン・ゲイシーが自宅の床下に埋めた死体が
緩い地盤だったゆえにボコボコと浮いてきた
という事実に
インスパイヤされているとか。
現実、怖い。

すでに2019年公開で続編製作が決定しているとか。
「ルーザー・クラブ」はすっかり大人になっているはずで
本作のようなジュブナイルものとしての面白さは
期待できません。
そもそも大の大人がピエロを怖がるのか、という心配もありますが
どうなんでしょう。









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