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スイス・アーミー・マン

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(原題:Swiss Army Man 2016年/アメリカ 97分)
監督・脚本/ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン(ダニエルズ) 製作/ローレンス・イングリー、ジョナサン・ワン、ミランダ・ベイリー、アマンダ・マーシャル、エヤル・リモン、ローレン・マン 撮影/ラーキン・サイプル 美術/ジェイソン・キスバーデイ 衣装/ステファニー・ルイス 編集/マシュー・ハンナム 音楽/アンディ・ハル、ロバート・マクダウェル
出演/ポール・ダノ、ダニエル・ラドクリフ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド

概要とあらすじ
「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが死体役を演じ、「リトル・ミス・サンシャイン」「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」などで知られるポール・ダノ扮する青年が、死体を使って無人島からの脱出を試みる様を描いた異色のサバイバル劇。遭難して無人島に漂着した青年ハンクは、絶望して命を断とうとしたとき、波打ち際に男の死体が打ち上げられているのを発見する。死体からはガスが出ており、浮力があることに気付いたハンクは意を決し、死体にまたがり無人島脱出を試みるが……。CMディレクター出身の監督コンビ、ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート(通称:ダニエルズ)の初長編作で、サンダンス映画祭やシッチェス・カタロニア国際映画祭で受賞を重ねて話題を集めた。共演に「10 クローバーフィールド・レーン」のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。(映画.comより



一家に一台、ラドクリフ。

「人間離れした死体」であるダニエル・ラドクリフを
ポール・ダノが自在に操り、
森の中でサバイバルしている予告編を観たときから笑いがこみ上げて、
こんなもん、面白いに決まっとるがなと
大いに期待していた『スイス・アーミー・マン』

理由はよくわからないがとにかく遭難し、
流れ着いた無人島で助けを待っていたハンク(ポール・ダノ)
いよいよ絶望して首つり自殺しようとしたそのとき、
砂浜に流れ着いた死体(ダニエル・ラドクリフ)
一度は生存者かと思って喜んだハンクでしたが、
やたらとおならをすることを除けば、それは明らかな死体で
絶望を更に深めたハンクは改めて首をくくることに。
ところが、ぶりぶりぶりぶりおならを放っている死体が
ゆるゆると沖に向かって進み始めるのをみたハンクは
慌てて死体に飛び乗り、ジェットスキー化した死体にまたがって
無人島からの脱出に成功する
のでした。

馬鹿馬鹿しくも爽快感たっぷりな
このラドクリフ型ジェットスキーのシーンは
もっとあとで登場してカタルシスを与えてくれると予想していたのですが、
まあ、いきなり登場するのも悪くありません。
つかみはオッケー。
喉が渇いたと思えば、なぜか口から大量の水を吐き出す死体
まるでラドクリフ型ウォーター・サーバー。
このあたりまでは期待を裏切らない面白さで、映画館も爆笑でした。
死体そのものが与える気味の悪さと
死体をぞんざいに扱うことへの不謹慎さが相まり、
なおかつ、自らは動けない状態の死体が
過剰なパワーとスピードを発揮する荒唐無稽さが最高に面白いのです。

しかし、死体が喋り始めてメニーと名乗ったあたりから
正直、面白さが目減りしてしまいました。

メニーがどんどん饒舌になればなるほど
死体ではなく、
ちょっと体調の悪い人
くらいに感じられてしまうのが残念です。
あくまで死体であることが面白いのであって
生きてんだか、死んでるんだか、
ギリギリ曖昧な状態をキープして欲しかったところ。

また、メニーの身体の仕組みなんかについては
いくらあり得ない設定でもまったく気にならないのですが、
とくに性愛についての知識がないメニーが、
なにをどのあたりまで理解しているのか、
定義がいまいちあやふや
なのが気になりました。

しかし、その後も
髭剃りになったり、銃がわりになって狩りをしたり、
斧になったり、勃起したちんこがコンパスになったり、
ふいごになって火をおこしたりと
スイス・アーミー・ナイフどころかそれ以上に万能なメニーの使い方は
最高に楽しい。一家に一台、ラドクリフ。
女装したハンクとメニーの恋愛ごっこがあまりにも脳天気で
やっぱりメニーが喋ることができないほうが、
ハンクの狂気をもっと感じられたのになあとは思いました。
女性に縁のないふたりの男はやがて親友となり、
やがて、女の子が無理なら、こいつでもいいか〜! みたいな
なしくずしBL風味
も漂ってきます。

幼い頃に母親を亡くしたハンクは
微妙な距離を保っている父親を慕いながらも
すぐに「この低脳が」と口走る父親に萎縮してもいます。
そんなこんなでイマイチ世の中にうまくコミットできない彼は
バスで見かけたサラ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)
片思いするも、声をかけることも出来ずにいたのでした。
のちにサラが既婚者だと判明したことが
ハンクを遭難するような旅に出させたのかもしれませんが
それはともかく、このサバイバルを通じて
ハンクが自らを抑圧せずに素直に発揮できるような一人前に成長するか
というのが推進力となっております。

途中で熊に襲われたりしながら森を抜け、
サラの家までたどり着いたハンクとメニー。
まあなんせ、片方は死体ですから、
どん引きしつつも助けてくれるサラ。
ここでスマホを巡ってハンクとメニーが勘違いされるエピソードがあり、
なんと? じつはこいつがあいつであいつがオレでのどんでん返しか?
と思いましたが、ただの早とちり?

無縁仏として処理されそうになったメニー。
そんなことさせない! とメニーを連れて森の中へ逃げ込むハンク。
そして、砂浜へ……って、すいぶん砂浜近いな!!
森を抜けてくるの、2〜3日かかってたじゃん!!
サラの家族やハンクのおやじまで、ぞろぞろついてきてるし!!
別の砂浜ってことか? だとしたら解りづらいわ!
(記事アップしたあとになって、
 すべてがハンクの妄想による一人芝居という解釈をみて
 それなら砂浜の近さも納得がいくので、
 そういうことなのかなぁと思いましたが、
 でも、やっぱりいまいち解りづらいと思うなあ)

というわけで、イマイチお話の締め方に不満が残りますが
(サラが既婚者だというのも観客はラストでわかればいいと思うの)
立派に成長したハンクは人前で屁がこけるようになったし、
再び息を吹き返した(?)メニーが
微笑みながらおならの力で海に戻っていったのは
虚実をはっきりさせない寓話的な結末で気持ちよかったです。





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