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新感染 ファイナル・エクスプレス

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(原題:Train to Busan 2016年/韓国 118分)
監督/ヨン・サンホ 製作/イ・ドンハ 製作総指揮/キム・ウテク 脚本/パク・ジュソク 撮影/イ・ヒョンドク 美術/イ・モグォン 編集/ヤン・ジンモ 音楽/チャン・ヨンギュ
出演/コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミ、マ・ドンソク、チェ・ウシク、アン・ソヒ、キム・ウィソン、チェ・グィファ、パク・ミョンシン、シム・ウンギョン、イェ・スジョン

概要とあらすじ
ソウルとプサンを結ぶ高速鉄道の中で突如として発生した、謎のウィルスの感染拡大によって引き起こされる恐怖と混沌を描いた韓国製サバイバルパニックアクション。ソウルでファンドマネージャーとして働くソグは妻と別居中で、まだ幼いひとり娘のスアンと暮らしている。スアンは誕生日にプサンにいる母親にひとりで会いにいくと言い出し、ソグは仕方なく娘をプサンまで送り届けることに。ソウルを出発してプサンに向かう高速鉄道KTXに乗車したソグとスアンだったが、直前にソウル駅周辺で不審な騒ぎが起こっていた。そして2人の乗ったKTX101号にも、謎のウィルスに感染したひとりの女が転がり込んでいた。主人公のソグ親子のほか、妊婦と夫、野球部の高校生たち、身勝手な中年サラリーマンなど、さまざまな乗客たちが、感染者に捕らわれれば死が待ち受けるという極限状態の中で、生き残りをかけて決死の戦いに挑み、それぞれの人間ドラマが描かれる。韓国のアニメーション界で注目を集めてきた新鋭ヨン・サンホ監督が初めて手がけた実写長編映画で、今作の前日譚となる物語が長編アニメ「ソウル・ステーション パンデミック」で明らかにされている。(映画.comより



これが「G」の壁か

2017年7月16日、
ジョージ・A・ロメロが77歳で亡くなりましたね。
残念ですが、まあ、仕方ありません。
ロメロが確立したゾンビ映画は今後も作られていくことでしょう。

随分前から評判が漏れ聞こえてきた
『新感染 ファイナル・エクスプレス』
やっと一般公開されました。
ていうか、話題を耳にしたときは
『釜山行き』ってタイトルだったのに
なんだか出がらしのお茶みたいな邦題がついちゃいましたねぇ。
『釜山行き』ってなかなか魅力的なタイトルだと思いますし、
朝鮮戦争において大韓民国軍が北朝鮮軍に追い詰められたのが
半島の南東に位置する釜山
だということが
本作の背景になっているそうなので
なおさら『釜山行き』にしないとマズいはずなんですがねぇ。

それはともかく、国策として映画製作に注力する韓国で
意外にもファンタジックなジャンルムービーは少ないんだとか。
韓国の観客たちは現実的な設定を好むようで
えげつない現実を描写した映画が多いのは周知の通り。
(もちろんホン・サンスみたいな例外はあるけれど)
で、本作のようなメジャーなゾンビ映画が作られるのはとても稀なことで、
それは日本も同じかもしれません。

ファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)
仕事漬けで家庭を顧みず、妻とは別居状態で
娘のスアン(キム・スアン)の世話も母親に任せっきりです。
誕生日を迎えるスアンが釜山で暮らす母親に会いたいと言い始め、
ソグはしぶしぶスアンを送り届けるために早朝のKTXに乗り込むのでした。
ところがこの日、暴徒化した民衆が破壊活動を行なう異常事態が
あちこちで発生し……というお話。
移動する密室である高速鉄道で繰り広げられるゾンビ・パニックです。

序盤は、ソグがいかに家庭を顧みない仕事人間で
娘からの愛情を失いかけているのかを
意外なほどじっくり律儀にみせていきます。
すでに感染している乗客が出発ぎりぎりのKTXに乗り込んでしまうまで
お約束のミルフィーユ。
以降、丹念に積み上げられていく映画的クリシェは
その律儀さがもたらす一定量の快感は味わえるけれど
予想を裏切るような新鮮な驚きはありませんでした。
というと、がっかりしたように聞こえるかもしれませんが
とても綿密に組み上げられたエンターテイメントだと感じ、
その点については高く評価したいと思っております。
そのくらいとても「ウェルメイド」な作品です。

……と、若干嫌みったらしい評価を下したところで、
「ウェルメイド」だからこその不満点を挙げていきますと、
すべてが「G:General Audience(すべての観客)」という
レイティングに集約するような気がします。
当然、映画を製作する側はひとりでも多くの人に観てもらいたいわけで
可能な限りレイティングを低くしたいのは理解できますが、
それによって失われたものも少なくないと感じてしまいました。

大量の「走る系」ゾンビが登場する本作には
驚くほどゴアシーンがありません。
噛みついている風の描写はありますが、
内臓が飛び出したり、手足が引きちぎられたりすることがないのです。
ゴア表現によるショック度は、R15+の『アイアムアヒーロー』
遠く及ばないといわざるを得ません。
また、ゾンビたちがおもに視覚によって行動するという特性を定義し、
それを利用したステルス行動がひとつの見所ではありましたが、
ゾンビが頭部を破壊されて動かなくなる(死ぬ)シーンがないため、
いくら登場人物たちがゾンビをなぎ倒しても
ゾンビの数が増えることはあっても減ることはなく、
ゾンビ退治の達成感を味わえないのは残念でした。
また、これは大目にみるべきなのかもしれませんが、
ゾンビに噛まれてから発症するまでの時間がまちまち
都合が良すぎる気がしました。
また、ゾンビ化した人たちは完全にモブと化し、
キャラが立ったゾンビがいなかったのも物足りませんでした。

終盤に近づくにつれ、
甘ったるいセンチメンタリズムがゾンビのように襲いかかります。
それを「泣ける」といえば、まあそうなのかもしれませんが、
あまりの凡庸さに笑いがこみ上げてきました。
とはいえ、
危機的状況に陥った人間が保身しか考えず、
過度に排他的な行動を起こす現実を象徴したあの連中
には
はらわたが煮えくりかえるほどムカつきました。
なかでも、バス会社の常務ヨンソク(キム・ウィソン)
こいつがいつまでもしつこく生き延びてやがんだ!
だからこそ、彼の悪行に見合った痛快な死に様で
溜飲を下げてほしかったのですが
やっぱりそこも「G」の壁が立ちはだかったのかどうか、
いえーい! と拳を突き上げるほどの痛快な最後ではありませんでした。

さりとて、ヨン・サンホ監督は与えられた条件の中で
いろいろと考えたのでしょうから、
ぼくが挙げ連ねた不満は無い物ねだりに過ぎないのかもしれません。
「鹿ゾンビ」というフレッシュで馬鹿馬鹿しい始まりかたにしては
湿っぽい着地が残念ではありますが、
ま、楽しい映画っすよ。





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