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パターソン

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(原題:Paterson 2016年/アメリカ 118分)
監督・脚本/ジム・ジャームッシュ 製作/ジョシュア・アストラカン、
カーター・ローガン 撮影/フレデリック・エルムス 美術/マーク・フリードバーグ 衣装/キャサリン・ジョージ 編集/アフォンソ・ゴンサウベス
出演/アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、バリー・シャバカ・ヘンリー、クリフ・スミス、チャステン・ハーモン、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、永瀬正敏、ネリー

概要とあらすじ
ジム・ジャームッシュが「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」以来4年ぶりに手がけた長編劇映画で、「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー扮するバス運転手パターソンの何気ない日常を切り取った人間ドラマ。ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン。朝起きると妻ローラにキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マービンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない時間だ。そんな彼が過ごす7日間を、ジャームッシュ監督ならではの絶妙な間と飄々とした語り口で描く。「ミステリー・トレイン」でもジャームッシュ監督と組んだ永瀬正敏が、作品のラストでパターソンと出会う日本人詩人役を演じた。(映画.comより



おなじ1日などないのだ。

ジャームッシュの原点回帰かといわれている
『パターソン』は、
前作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』
エキセントリックなカッコよさと比べると随分穏やかで
初期作品に漂ういわゆるオフビートな軽妙さを感じさせるものの
やっぱり歳を重ねたぶんだけアップデートされた重厚さもございますね。

ニュージャージー州パターソン市出身の医師であり詩人の
ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの長編詩『パターソン』
題材にしている本作。
ウィリアムズの『パターソン』の主人公の名前はパターソンといい、
パターソン市を擬人化したような作品
だそうで
そこからジャームッシュは、
パターソン市に暮らすパターソン(アダム・ドライバー)という男の物語を
思いついたんだとか。
路線バスの運転手パターソンにアダム・「ドライバー」を起用したのは
あくまで偶然とのことですが、
いやぁでもあんた、シメた! と思ったろうよ。ジム。
だって、パターソン市に暮らすパターソンのみならず
何組も双子が登場する本作において
運転手の名前が「ドライバー」だなんて、
こんなシンクロニシティを喜ばないはずがありません。

バス運転手パターソンの
月曜日から日曜日までのある一週間の日常を淡々と綴る物語。
目覚まし時計なしで毎朝6時過ぎに起きるパターソンは
軽い朝食を摂った後、歩いて職場に向かい、
定時きっちりに仕事を終わらせて帰宅すると夕食を済ませ、
愛犬マーヴィンの散歩をし、
行きつけのバーで1杯ビールを飲んで帰宅する……
という、日々のルーティンを繰り返しています。
同じことを反復する毎日は退屈を象徴せず、
むしろ心地よく安定したリズムを感じさせます。
(とはいえ、毎日少しずつ目覚める時間が遅くなっているのですが)

単調に思える毎日には微妙なアクセントが加えられ、
バスの乗客の会話にほくそ笑むパターソンは
そのようなわずかな変化に刺激を受けて、
自作の詩を作る
のが楽しみなのです。
そしてなにより、こじんまりしたパターソン市の街並みが
おだやかに暮らすにちょうどいいと思わせてくれます。
(実際には治安が悪いらしいが)
パターソンが昼食で訪れるパセイイック滝
小さい鉄橋の向こうに流れ落ちる水の流れがミニマルな美しさ。
パターソンが自作の詩を読むときにオーバーラップする水の流れと
バスのフロントガラスに反射する街並みは
どちらも等しく移ろいゆく時の流れを象徴しているハズです。

そして、なによりパターソンにとって大切なのは
妻のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)
テヘラン出身のゴルシフテ姫の
なんと美しく、なんと可憐で魅力的なことか!!
毎朝毎朝、ベッドで目覚めたパターソンは
一緒に眠っているローラのおでこや肩にキスをするのです。
なんだよ、最高かよ。
上昇志向が強く活発なローラは
自分好みに部屋を塗りまくるし、家計が苦しいのにギターを買うし、
料理が不味いし
(市場ではカップケーキが評判)、
パターソンにとって難点がないわけじゃないけれど、
お互いが決して相手を否定せずに認め合い、愛し合っているのです。
なんだよ、最高かよ。
ふたりは決して裕福ではありませんが、
食べるのに困るわけではなく、
ごくたまに映画に行くくらいの余裕はあるのです。
……これ以上、なにが必要だと?
(ふたりが観に行った映画のアボットとコステロという漫才師の名前を
 わりと最近聞いた記憶があって、やっと思い出したのが
 『メッセージ』のイカタコ型エイリアンでした)
 
また、憎たらしくも愛らしいのが
ブルドッグのマーヴィン(ネリー)
元救助犬でメスのネリーの名演技は
カンヌでパルム・ドッグ賞に選ばれるほどでしたが
残念ながらすでに他界していて、エンドロールで追悼されています。

最後に、仙人かはたまた妖精かというように登場する
日本人の詩人(永瀬正敏)。
『ミステリー・トレイン』から27年ですか。ひゃぁ〜。
「Aha?」というセリフがアチラでは受けていたようです。

淡々と過ぎていく毎日を粛々と過ごす。
そこに訪れる僅かな変化を楽しんで、創作の喜びを忘れない。
おなじ1日などないのだ。





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