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ザ・ブルード 怒りのメタファー

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(原題:The Brood 1979年/カナダ 91分)
監督/デビッド・クローネンバーグ 製作/クロード・エロー 製作総指揮/ピエール・デビッド、ビクター・ソルニッキ 脚本/デビッド・クローネンバーグ 撮影/マーク・アーウィン 編集/アラン・コリンズ 音楽/ブライアン・デイ
出演/オリバー・リード、サマンサ・エッガー、アート・ヒンドル、ヘンリー・ベックマン、ナーラ・フィッツジェラルド

概要とあらすじ
夫婦間や親子間の亀裂というテーマとともに、驚愕の科学実験が生んだ凄惨な恐怖を描いたデビッド・クローネンバーグ監督のホラー。幼少期に受けた虐待が原因で神経症を患うノラは医師ラグランの診療施設に入院する。しかしノラの夫フランクは彼女を隔離し面会させないラグランに不信感をいだく。一方、ラグランは人間の怒りを実体化する実験を行なっていた。ノラの体にできた腫瘍から異形の群れが現れ、やがて復讐を開始。ノラとフランクの娘キャンディスにも危険が迫る。2013年、クローネンバーグ監督の新作「コズモポリス」(12)公開にあわせた特集上映「コンセプション オブ デヴィッド・クローネンバーグ 受胎」でリストア版が公開。(映画.comより



べろ〜んとぺろ〜ん

クローネンバーグ先生による
『スキャナーズ(1980)』のひとつ前の作品、
『ザ・ブルード 怒りのメタファー』
なにやら本作の脚本は、
先生が前妻との間で離婚訴訟および親権争いをしていたときに
書かれたそうで、
思いっきり自己投影されているもよう。
「怒りのメタファー」という副題は、
ネタバレ警察が火を噴きながら起こりそうですが、
端的に本作のテーマを表現しています。

どういうきっかけでそうなったのか、よくわからないが、
精神を病んでいるノラ(サマンサ・エッガー)
「人間の憎悪という感情を肉体的に具現化させる」という
非常に胡散臭い「サイコ・プラズミック療法」を施す
精神科医ラグラン(オリバー・リード)に預けられて治療中。
ノラの要請に従って5歳の娘キャンディス(シンディ・ハインズ)
面会に連れて行った夫のフランク(アート・ヒンドル)
キャンディスの身体に傷があるのを発見し、
これはノラによる虐待があったと判断して激昂。
今後はキャンディスをノラに会わせないと主張するのですが、
それは法的に許されないようで、
次に面会する週末までの1週間のあいだに
ラグランの施術に問題があることを証明する
べく、
フランクは奔走するのでした。
(フランクがキャンディスと
 毎回口と口でキスするのが微妙にひっかかったが
 ああいうもんだろうか)

クローネンバーグ先生のことですから、
当然ねちょねちょぐにょぐにょするんだろうと思っていたら、
なかなかそうはならず、
前半はちょっとやきもきします。
しかし、これが離婚訴訟を巡る苦悩を表現していると考えれば、
これはフランク=クローネンバーグが抱えるジレンマだと納得できます。

やがて、ノラの母親と父親が
なにやら子供のような何かに殺され、不穏な空気に。
凶器として使われるのが、
肉たたきハンマーや飾りのガラス玉
だったりするのがナイス。
若干、大人が弱すぎないか? と思わないではありませんが、
そこは重要ではありません。
かつてラグランの治療を受けていたものの治療法に不審を抱き、
ラグランに復讐しようとしている男が登場し、
彼のノドにへばりついたおぞましいリンパ肉腫がちらっとみえると、
ほらきた! となるわけです。

ノラが精神に異常を来したのは
幼少期に母親から受けた虐待が原因で、
また、父親も母親の虐待を意図的に見過ごしてきたことが
彼女の中に「怒り」として蓄積されていたのでした。
この点において、ノラも被害者だったといえるわけで、
離婚訴訟でモメている妻に対する憎悪だけに留まっていないのは
クローネンバーグ先生の冷静な判断なのかもしれません。
だからといって、可愛い娘を渡すわけにはいかんのですが。

見事に「怒り」をため込んだノラと
サイコ・プラズミック療法を確立させたいラグランの思惑が合致して、
いつしかノラは「怒り」を出産できるようになるのです。
そうやって生まれた子供たち(ブルード=同腹児)が
ノラの心理状態とリンクして
邪魔になる相手を次々に殺していたのでした。
腹部からべろ〜んとぶら下がった袋(?)を自ら食いちぎり、
血だらけの赤ん坊をぺろ〜んと舐めてみせるノラ。

クローネンバーグ先生、全開です。

フランクがノラを絞殺するというクライマックスは
味気ない感じがしましたが、
助けられたキャンディスの腕にある小さな吹き出物をみせ、
不穏なエンディング。
キャンディスもまた、トラウマを抱えてしまったようです。

吹き出物が体調不良の表れなのは、誰しも認めるところでしょう。
それを最大限にデフォルメした本作。
症状が小さいからといって不調のサインを見過ごしてはいけないのでしょうね。
映画監督を志す前の大学時代に
生化学・生物学を専攻していたという
クローネンバーグ先生ならではの作品なのです。





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