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海よりもまだ深く

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(2016年/日本 117分)
監督・原案・脚本/是枝裕和 製作/石原隆、川城和実、藤原次彦、依田巽 撮影/山崎裕 照明/尾下栄治 録音/弦巻裕 美術/三ツ松けいこ 装飾/松葉明子 衣装/黒澤和子 ヘアメイク/酒井夢月 音響効果/岡瀬晶彦 編集/是枝裕和 音楽/ハナレグミ
出演/阿部寛、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、吉澤太陽、橋爪功仁、樹木希林、中村ゆり、高橋和也、小澤征悦、峯村リエ、古舘寛治、葉山奨之、ミッキー・カーチス

概要とあらすじ
「海街diary」「そして父になる」の是枝裕和監督が、「歩いても 歩いても」「奇跡」に続いて阿部寛と3度目のタッグを組み、大人になりきれない男と年老いた母を中心に、夢見ていた未来とは違う現在を生きる家族の姿をつづった人間ドラマ。15年前に文学賞を一度受賞したものの、その後は売れず、作家として成功する夢を追い続けている中年男性・良多。現在は生活費のため探偵事務所で働いているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳していた。別れた妻・響子への未練を引きずっている良多は、彼女を「張り込み」して新しい恋人がいることを知りショックを受ける。ある日、団地で一人暮らしをしている母・淑子の家に集まった良多と響子と11歳の息子・真悟は、台風で帰れなくなり、ひと晩を共に過ごすことになる。主人公の母親役を樹木希林が好演し、共演にも真木よう子、小林聡美、リリー・フランキーら豪華な顔ぶれがそろう。(映画.comより



なりたかった大人になれるわけじゃない

『海よりもまだ深く』は、
いつもの是枝裕和監督らしい家族を巡る物語ですが、
監督が9歳から28歳まで暮らしていた
東京は清瀬市の旭が丘団地で撮影されているということで、
より監督自身の体験に基づいていると思われます。
(自分に近い主人公のときは
 「良多」という名前を使うようにしてるとか)

15年前に文学賞を受賞したきり、
小説家としてさっぱり冴えない良多(阿部寛)
団地でひとり暮らしをする母親(樹木希林)を訪れては
金目のものを物色するような
まあ、本当にうだつの上がらない男です。
生活のために探偵事務所で働いていますが、
それも「小説のための取材」だとごまかす良多は
小説家になる夢を捨てられず、
また、一度は文学賞をもらったりしてるもんだから、
余計に執着しているのです。

さらに、良多は
離婚した元妻・響子(真木よう子)への未練もあからさまで
小説への想いと同様に
かつて抱いていた「なりたかった大人」という理想に固執し、
現実への対応が出来なくなっているのでした。
是枝監督は十分に自己実現されたかと思いますが、
良多のように鬱屈した日々を送った経験もあるのでしょうか。
「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」という言葉は
ずしんと胸に響きます。

良多が息子に取り入ろうとするのは、
響子に近づくためでもあるでしょうが、
父親らしく振る舞い、頼られること
自己承認欲求を満たしてもいるのではないでしょうか。
(息子はかなり父親に気を遣ってるけど)
また、探偵事務所の同僚の池松壮亮との関係
疑似親子のようで微笑ましくもあります。

台風という、いくらか高揚感を伴う非日常が手伝って、
家族が再び結束するかのような予感を感じさせますが、
決定的に憎み合っているわけではないとはいえ、
家族の間にできてしまった溝は
一夜の台風で回復できるほど浅くないのでした。

一攫千金を狙う良多を見て育ったせいか、
野球をしている息子はフォアボール狙いで打席に立ち、
将来は公務員になりたいというほど、
挑戦するリスクを嫌い、安定を求めるのでした。
それでも良多に買ってもらった宝くじには強く惹かれ、
夢を抱くことの魅力にも気がついたようす。
「(自分がなりかたっかものに)なれたかどうかが問題じゃないんだ。
 大事なのは、そういう気持ちを持って生きてるかどうかなんだ」

という良多の言葉は、あいかわらずの自己弁護にも聞こえるけれど
一定量、人生に欠かせないものではあります。

良多と同じく、
「こんなはずじゃなかった」と思っている響子にも
宝くじに期待する気持ちは十分にあったはずですが、
現実を生き延びるために冷静な決断を下せる響子は
やはり、正しいのです。

「なりたかった大人」になれなかった自分としては
なかなかの「嫌な映画」でもありました。





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