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ディストピア パンドラの少女

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(原題:The Girl with All the Gifts 2016年/イギリス・アメリカ合作 111分)
監督/コーム・マッカーシー 製作/カミール・ゲイティン、アンガス・ラモント 原作/M・R・ケアリー 脚本/マイク・ケアリー 撮影/サイモン・デニス 美術/クリスチャン・ミルステッド 衣装/ライザ・ブレイシー 編集/マシュー・キャニングス 音楽/クリストバル・タピア・デ・ビール
出演/セニア・ナニュア、ジェマ・アータートン、パディ・コンシダイン、グレン・クローズ、アナマリア・マリンカ、フィサヨ・アキナデ、アンソニー・ウェルシュ、ドミニク・ティッパー

概要とあらすじ
M・R・ケアリーのベストセラー小説「パンドラの少女」を著者自身による脚本で実写映画化したSFスリラー。近未来、ウィルスのパンデミックによって人類のほとんどが凶暴な「ハングリーズ」と化し、生き残ったわずかな人々は壁に囲まれた安全な基地内で暮らしていた。イングランドの田舎町にある軍事施設には、ウィルスに感染しても見た目が変わらず思考能力も保ち続ける「セカンドチルドレン」たちが収容され、彼らからワクチンを作り出すべく研究が行われている。ある日、その子どもたちの中に特別な知能を持つ少女メラニーが現われる。オーディションで500人以の中から選ばれた新人セニア・ナニュアが主演を務め、シッチェス映画祭で女優賞を受賞。「007 慰めの報酬」のジェマ・アータートン、「ボーン・アルティメイタム」のパディ・コンシダイン、「アルバート氏の人生」のグレン・クローズらが脇を固める。監督は、テレビドラマ「SHERLOCK シャーロック」シリーズの「三の兆候」を手掛けたコーム・マッカーシー。(映画.comより



味わい深い誠実なゾンビ映画

「パンドラの少女」っていうのも
あんまりピリッとしないけれど、
だからって「ディストピア」なんてつけることないだろう……
という『ディストピア パンドラの少女』
ぼんやりしすぎてて、タイトルをすぐに忘れちゃいそうです。
でも、本作そのものは変化球ゾンビ映画で
なかなか味わい深いものになっております。
ちなみに本作のゾンビは走る系です。

ヒロインの少女メラニー(セニア・ナニュア)をはじめとする
20人ほどの子供たちが
なにやら軍事施設の中に監禁され、手足も拘束されています。
メラニーは頭がよくお行儀もよさそうなのに、
軍人たちが過度に警戒しているようすが面白い。
この子供たちは「セカンド・チルドレン」と呼ばれる
ゾンビ=ハングリーズに感染した母親から生まれてきた
「半ハングリーズ」なのでした。「半グリーズ」ですね。

「セカンド・チルドレン」はハングリーズ化する菌の抗体を持っているらしく、
コールドウェル博士(グレン・クローズ)らは
彼らの脳と脊髄にある物質からワクチンを作ろうとしていたのでした。
ま、それならそれで、
学校の真似事みたいなことはせずに
とっとと子供たちを解剖してワクチンを作ればいいような気もしますが
そうもいかないんでしょうねぇ。
(このへんはようわからん)

ほぼ正統的なゾンビの設定を受け継ぐハングリーズですが、
音に加えて人間の匂いに反応するところが特徴か。
ていうか、反応していないときはマネキンみたいに身動き一つしません。
ですから、消臭クリームを塗ってそ〜っと歩けば
ゾンビの群れの中でも移動できる
のです。
これがまた、なかなかの緊張感でナイス。
本作では、人々がハングリーズ化してしまう原因が
突然変異したタイワンアリタケの菌が体内に入ったことによる感染となっていて、
原因や感染経路をかなり律儀に設定してあります。
そのような設定の説明を冒頭で強引にやってしまうのではなく、
物語が進むうちに自然とセリフで語られていくので
気持ちいいなあと思いました。

やがて、軍事施設がハングリーズの攻撃に耐えられなくなり、
メラニーとコールドウェル博士、
パークス軍曹(パディ・コンシダイン)キーラン一等兵(フィサヨ・アキナデ)
そしてメラニーが大好きなジャスティノー先生(ジェマ・アータートン)の5人が
ロンドンにある拠点を目指して危険な旅に出るのです。
そこでハングリーズに襲われないメラニーが大活躍するのですが、
猫や鳥を見つけるとハングリーズ気質を抑えきれず、
飛びついてガブリといってしまうのです。
せっかくキレイな服に着替えてもすぐに胸元が血だらけになるのです。

いつしかハングリーズの姿は見えなくなるのですが、
どうやらハングリーズの死体が植物化して
そりゃあもう世界的なエラいことになりそうな気配が。
そして、メラニーと同じ「セカンド・チルドレン」が
生き延びていることがわかり、ちょっぴり『ザ・チャイルド』風味に。
ここでもやっぱりメラニーが活躍するのですが、
「セカンド・チルドレン」たちのリーダーをバットで撲殺するメラニーの狂気
彼女に対する印象をぐらつかせるのに十分です。

もう、かなり切羽詰まった状況なのですが、
あくまでワクチンを作ることを諦めようとしないコールドウェル博士。
そのためにはメラニーを解剖しなければなりません。
大好きなジャスティノー先生を助けるために
一旦は自分の身を投げ出す覚悟をしたメラニーでしたが、
「わたしは生きてるのに、なんで人間のために死ぬ必要があるの?」
ものすごーく根本的に正しいことをさらっと言い、
植物化したハングリーズの胞子をばらまくために火をつけるのでした。
要するに、世界中がハングリーズ化してしまえば何にも問題なくね?
という、素晴らしい結論を提示してみせるのです。
メラニーが黒人少女であることなどを含めて
排外主義に対する皮肉ととる深読みもできそうではありますが、
そもそもなんで人類が滅亡しちゃダメなの? という問いを
軽やかに放り投げてくるあたりがとても秀逸です。

ラストは「セカンド・チルドレン」に勉強を教える
ジャスティノー先生の講義でジ・エンド。
意表を突かれる肩すかしが心地いい、誠実なゾンビ映画です。







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