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グランドフィナーレ

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(原題:Youth 2015年/ イタリア・フランス・スイス・イギリス合作 124分)
監督・脚本・原作/パオロ・ソレンティーノ 製作/カルロッタ・カロリ、フランチェスカ・シーマ、ニコラ・ジュリアーノ 撮影/ルカ・ビガッツィ 美術/ルカ・ビガッツィ 衣装/カルロ・ポッジョーリ 編集/クリスティアーノ・トラバリョーリ 音楽/デビッド・ラング
出演/マイケル・ケイン、ハーベイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポール・ダノ、ジェーン・フォンダ、スミ・ジョー、パロマ・フェイス、ビクトリア・ムローバ

概要とあらすじ
アカデミー外国語映画賞に輝いた「グレート・ビューティー 追憶のローマ」やカンヌ国際映画祭審査員賞に受賞した「イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男」などで知られるイタリアのパオロ・ソレンティーノ監督が、イギリスの名優マイケル・ケインを主演に迎え、アルプスの高級ホテルを舞台に、老境のイギリス人作曲家の再生を描いたドラマ。80歳を迎え、未来への希望もなく表舞台から退いた作曲家で指揮者のフレッドは、親友の映画監督ミックとアルプスの高級リゾートホテルにやってくる。そこで穏やかな日々を送っていたある日、エリザベス女王の使者という男が現れ、フレッドの代表作を女王のために披露してほしいと持ちかける。個人的なある理由から、その依頼を断ったフレッドだったが、ホテルに滞在する様々な人との出会いを通し、気持ちに変化が訪れる。(映画.comより



感動がすべてだ

劇場公開時に観ることが叶わなくて
やっとDVDで観られた『グランドフィナーレ』
どえらい映画を観てしまったというのが率直な感想です。
ポップでファンタスティック、豊潤かつ深遠。
さまざまな登場人物たちによるさまざまなエピソードが
独立しているようで絡み合っているような
非常に濃厚な作品です。
パオロ・ソレンティーノ監督の作品は
『きっと ここが帰る場所』しか観たことがなかったけれど、
とんでもない監督だということがわかりました。

冒頭、回転するステージで演奏するバンドが登場しますが、
その曲と歌手の歌声がなかなかよくて、うっとりするのはいいものの、
微妙に長い。映画の導入としては変な尺なのです。
夜の演奏シーンが終わり、
作曲家で指揮者のフレッド(マイケル・ケイン)がホテルの中庭で
女王陛下からの演奏会への招待を断るシーンへと移り変わりますが、
ぎくしゃくした会話に妙な居心地の悪さを感じます。
なんだか少しずつズレているのです。

フレッドと旧知の親友である映画監督のミック(ハーベイ・カイテル)
バカンスを楽しんでいるスイスのホテルは、
まるで高齢者を対象とした施設のようですが、
ロボット映画で名を馳せている俳優ジミー(ポール・ダノ)もいたりして、
つかみどころがありません。
ただ、年齢にかかわらず、なにかしら人生に行き詰まっている人々
集まっているようす。

80歳近いフレッドとミックは
常々小便の出が悪いことを口にしていますが、
老いがもたらす哀愁ばかりを
センチメンタルに強調しているわけではありません。
原題の「Youth」は単に年齢的な若さを意味するのではなく、
人生に対する意欲を刺しているのではないでしょうか。

生涯を音楽に費やしてきたフレッドは
浮気相手の「ベッドが最高」だという理由で離婚された
レナ(レイチェル・ワイズ)から
家庭を顧みなかったことを叱責されます。
ふたりは並んだベッドに横たわって泥パックをしているのですが、
レナが積年の思いをぶちまけた途端、
フレッドがベッドの高さをすーっと下げられる演出
文字通り落ち込んでいるようすを表していて楽しい。

しかし、フレッドが
女王陛下のために指揮して欲しいといわれていた
「シンプル・ソング」という彼の代表作は
彼の妻=レナの母親が歌うために作曲したもので、
だからこそフレッドはその曲の再現を固辞していたのでした。

かたや映画監督のミックは
自分の遺言とも言える作品の脚本作りに熱中していましたが、
昔なじみの女優ブレンダ・モレル(ジェーン・フォンダ)から
三行半を突きつけられて絶望し、自殺してしまいます。

オツムは弱いが、圧倒的な美貌を誇るミス・インターナショナル。
ミックのスタッフの若い恋人たち。
一言も会話しない夫婦。
ダンスの練習に余念がない看護師。
謎の娼婦と謎の少女。
テニスボールでリフティングするマラドーナ(!)
最後に空中浮遊するチベット僧……。
多種多様な人間がわずかに絡み合うこのホテルは
まるで小さな世界を形成しているようです。

牛を相手に妄想の中で指揮するフレッドと
さまざまな映画のヒロインたちが(血だらけのキャリーも!)
ミックの前に現れるシュールなシーンが面白いのですが、
突如ヒトラーに扮した俳優ジミーが吐く、
「欲望を選んだ。無意味な恐怖に時間を費やすな。
 感動がすべてだ」

という台詞こそ、本作の意志を示しているように思います。

反応を示さないほどすっかり痴呆が進行した妻を見舞った後、
女王陛下の前で指揮することを決意したフレッド。
バイオリニストのビクトリア・ムローバ
ソプラノ歌手のスミ・ジョーによる「シンプル・ソング」は
圧巻です。

自分で自分の人生を投げ出したり、諦めたり、
怖じ気づいたりするのはやめようよという
とても前向きにさせてくれる作品です。





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