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裏切りの季節

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(1966年/日本 75分)
監督/大和屋竺 製作/若松孝二 脚本/大谷義明(大和屋竺、田中陽造) 撮影/伊東英夫 編集/具流勘助 音楽/佐藤允彦 助監督/田中陽造
出演/立川雄三、谷口朱里、山谷初男、志摩みはる、寺島幹夫、曽根成光、一の瀬弓子

概要とあらすじ
報道写真家の中谷(立川雄三)が、ヴェトナムから帰国する。友人の長谷川を戦場で亡くした彼は、長谷川の恋人だった眉子(谷口朱里)のもとへ向かう。一方、長谷川の遺したフィルムを手に入れようとする組織が、中谷のあとを追ってくる。(wikipediaより



裏切りに裏切りを重ねる倒錯的精神世界

若松孝二の初プロデュース作品で
大和屋竺の監督第1作『裏切りの季節』

雑踏の中、ベトナムの戦場で
ベトコンの男の腹にナイフを突き立てる米兵を捕らえた写真
大きく引き延ばしたパネルを運ぶふたりの男。
観終わったいま思えば、
物語の鍵を握るこの写真を公然と晒すようなオープニングは
墜ちていく主人公に対する死刑宣告のようにも感じます。

ベトナムから帰国したばかりの戦場カメラマン、中谷(立川雄三)
その足で眉子(谷口朱里)が住むマンションへと向かいます。
眉子は中谷の恋人かと思われましたが、
じつは中谷と同じくベトナムで活動していた
カメラマン長谷川の恋人だったのですが、
中谷は眉子と再会するとすぐにベッドに押し倒し、
戦場で長谷川が死んだことを告げます。
ささやかな抵抗をみせる眉子でしたが、
中谷に身を任せ、翌朝には朝食まで作るのです。

中谷は新聞社とは別に、裏の組織と手を組んでいて
(この組織がどういう組織なのかよくわからなかったけれど)
戦場から持ち帰った長谷川の写真のネガを手渡すのですが、
最後の1本がないということで、拉致され、
同じく囚われた眉子は中谷の目の前で拷問されることに。
しかし、中谷はその拷問を楽しんでいると豪語するのでした。
眼と耳をふさがれていた眉子はそのことを知らず、
部屋に戻ると中谷に慰めを請うのでした。

長谷川が撮影した写真を自分の作品と偽って発表した中谷は
一躍時の人となりますが、
豊後浄瑠璃を歌うケンという名の黒人少年に出会い、
(顔を黒く塗った日本人のような気がするが……)
また、死んだはずの長谷川らしき人物の姿を雑踏の中にみつけて
戦場での記憶を甦らせ、怯えるようになります。

長谷川のところに連れて行けと詰め寄られたケンが導いたのは
なんと眉子の部屋。
テーブルには左手の義手が置いてあり、
壁一面に冒頭の写真が貼られています。
ここから映画はにわかにミステリー色を帯び、
拷問の最中に耳栓が外れていた眉子は
中谷が長谷川を裏切っていたことを知り、
ケンを使い、長谷川と似た男を使って
中谷への復讐を企てていた
のでした。
ロープで縛られたままの眉子を鞭打ちする中谷ですが、
あきらかに精神的に追い詰められているのは中谷のほうで
まるでSMプレイにおける主導権の移り変わりを描いているかのようです。

きわめて暗い部屋の中、
追い詰められるほど凶暴さを増す中谷。
長谷川に嫉妬した中谷は、戦場で長谷川を殺し、
死んでなおカメラを離さない長谷川の右手を切り落としたのでした。
中谷を怯えさせるために眉子が用意した義手が左手だったのは
眉子がそこまでは考え及ばなかったからでしょう。
しかし、中谷が雑踏の中に見つけて怯えた長谷川らしき男は
(すなわち眉子が仕込んだ男)
左腕がなかったので、
中谷がいかに動揺していたかがわかります。

自責の念に駆られた中谷は自分の右腕を切り落とし、彷徨います。
そこへ、例の謎の組織が現れ、
素っ気ないそぶりで中谷を銃殺。
壁に寄りかかっていた袋詰めの死体を車に詰め込んで走り去ります。
どうやら、袋詰めの死体の正体は
ベトナムから空輸された長谷川の死体ということらしいのですが、
なぜあの場所に放置され、なぜ彼らはそれを持ち帰ったのか……
うーむ、よくわかりません。
中谷の死体のそばに置かれた傘が
風に煽られてつつつと移動するラストショット
が印象的です。

若松孝二が「自分がプロデュースした中で最も衝撃を受けた作品」
公言している本作は、
戦場を経験したもののPTSDもののようであり、
戦争報道の欺瞞をつく面もあり、
裏切りに裏切りを重ねる倒錯的精神世界を描いているようでもあります。
とにかく、映像がかっこよく、
脚本家として名高い大和屋が
映像的にも才気溢れる人物だったことがよくわかる作品です。





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